2011年04月20日

Acrobat X Proにバージョンアップするメリットはあるか

 AcrobatがバージョンアップしてAcrobat Xになって久しい。が、Acrobat 9 ProからAcrobat X Proへのバージョンアップでは驚嘆するような新機能は用意されていない。いくつかの機能がブラッシュアップされて使いやすくなったり、精度が高くなったりしている程度である。Acrobat X Proにバージョンアップするメリットはあるのだろうか。

 続きはこちらからご覧下さい
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2008年08月08日

Acrobat 9 公開の真実(8)─Acrobat.comはAcrobat差別化の切り札

 Acrobat 9 の新機能でAdobeがもっとも力を入れているのは、「Acrobat.com」ではないでしょうか。コラボレーションメニューとAcrobat.comについて考えてみました。「Acrobat.comはAcrobat差別化の切り札」といえそうです。



 Acrobat 9の最大の新機能は、「Acrobat.com」かもしれない。Acrobat.comは、Acrobat 9のユーザであれば無料で利用できるサーバである。サーバ上にPDFをアップロードしておけば、複数のユーザーがAcrobat.comにサインインすることで、互いの注釈情報をやり取りできるのである。
 いままでは注釈を追加したPDFを受け取って確認するしかなかった。複数のレビュー担当者がいれば、複数のPDFを入稿してそれらの注釈を整理するしかなかった。Acrobatには注釈のみを読み込む機能もあり、複数のPDFから注釈を読み込めば、すべての注釈を1つのPDFにまとめることは可能だ。
 また、Acrobat 7.0からは、同一ネットワーク内のサーバやWebDAVサーバにPDFをおけば、サーバ上のPDFに注釈をアップロードする機能が追加された。ただし、同一ネットワーク内のサーバやWebDAVサーバでは敷居が高い。もっと汎用に誰でもが使えるように編み出されたものが

Acrobat.com

なのである。ただし、無料で利用できるのはパブリックベータ版としてであり、有償化に向かうことは火を見るより明らかだ。そのときに機能が制限されていても、無償のサービスが残るかどうかはわからない。【ショット付きの続きはこちらから】

ラベル:Acrobat 9 Pro
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2008年07月24日

Acrobat 9 公開の真実(7)─Acrobat 9 になっても「PDF 1.7」の不思議

 Acrobat 9ではPDFの仕様が拡張されています。しかし、PDFバージョンはAcrobat 8と同じ「PDF 1.7」のままです。今回は、AcrobatのバージョンとPDFバージョンの違いと「Acrobat 9 になっても「PDF 1.7」の不思議」を取り上げてみました。



 Acrobat 9になって、PDFの仕様が追加された。Acrobatのバージョンアップに合わせて、Acrobatの機能拡張が行われ、PDFの仕様も拡張されるのが通例となっている。ところが、Acrobat 9でもPDFの機能が拡張されているにもかかわらず、PDFバージョンは、Acrobat 8と同じ「PDF 1.7」となった。
 Acrobat 9で追加されたPDF仕様には、次のようなものがある

PDFポートフォリオ
セキュリティで256-bit AES
FLASH動画の再生


の3つである。これらの機能はAcrobat 8以前のバージョンでは対応していない。Acrobat 8は対応するPDFバージョンが同じであるにもかかわらず、上記の機能を利用している場合、PDFが開かなかったり、正しく動作しないことになる。
 PDFバージョンは、PDFが対応している仕様を指す。バージョンを重ねるにつれて、対応する仕様が増えていく。たとえばカラー関係では「PDF 1.1(Acrobat 2.0)」で

Deviceカラー(CMYK、RGB、グレースケール)
CalGray、CalRGB
Labカラー
インデックスカラー


に対応した。Acrobat 1.0(PDF 1.0)ではカラーという概念はなかったらしい。【ショット付きの続きはこちらから】

ラベル:Acrobat 9
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2008年06月27日

Acrobat 9 公開の真実(6)─実装されたPDF/-4の正体とは

 Acrobat 9 Proでは、PDF/X-4に正式に対応しました。Acrobat 8 Proではドラフトでした。PDF/X-4は、透明に対応しレイヤーを認めています。原則的にDistillerでは透明を保持したままPDFを作成できません。そこで、Acrobat 9 Proは、プリフライト機能でPDF/X-4を作成するようになっています。実装されたPDF/X-4に変換してみました



 Acrobat 9 ProになってPDF/X-4に対応した。PDF/X-4の作成はDistillerでは行わない。少なくともプレス向けのベータ版のDistillerには、規格パネルにPDF/X-4は用意されていない。PDF/X-4は透明を許容しているので、透明が分割されてしまうPostScriptファイルに書き出してPDFを作成するDistillerではあまり意味はないのかもしれない。
 PDF/X-4の作成はプリフライトで行う。出力インテントを「Japan Color 2001 Coated」に指定する場合は、プリフライトの「PDF/X準拠」にある「PDF/X-4(Japan Color Coated)に変換」というプロファイルを適用してフィックスアップすればよい。
 PDF/X-4では透明とレイヤーが許容される。PDF/X-4のPDFバージョンは「PDF 1.5」だと思っていたので

レイヤーとはいかに

と思っていたら、どうやら思いこみだったらしい。PDF/X-4のPDFバージョンは「PDF 1.6」だった。【ショット付きの続きはこちらから】

ラベル:Acrobat 9 Pro
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2008年06月17日

Acrobat 9 公開の真実(5)─プリフライトウィンドウから消えた編集ボタン

 Acrobat 9 Proプリフライトですが、見た目には大きな違いはわかりにくく、Acrobat 8 Proと比較して大きな違いはなさそうです。しかし、使い勝手を高めるために、細かいところに手が入り、かゆいところにも手が届くようになっています。それではその違いとは・・・第五回の「プリフライトウィンドウから消えた編集ボタン」で



 バージョンアップして、Acrobat 9 Proのプリフライト機能は大きく変貌したのだろうか。[出力プレビュー]や[色を置換]が大きく変わったように、プリフライトも大きく変わっていても不思議ではない。
 印刷工程ツールからプリフライトのウィンドウを開いてみよう。ウィンドウのレイアウトは多少変わっているものの、見た目には大きな機能の違いは読み取れない。Acrobat 8 Proと同じようなプリセットのプロファイルがカテゴライズされてリストされている。
 Acrobat 8 Proではウィンドウ上部にオプションメニューを除いて5つのボタンがあった。その中の3つのボタンが削除されているのだ。削除されているのは【ショット付きの続きはこちらから】

ラベル:Acrobat 9 Pro
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2008年06月11日

Acrobat 9 公開の真実(4)─詳細かつ複雑になった[色を置換]

 4回目は大幅に強化され、複雑な処理ができるようになった[色を置換]です。「Acrobat 9 公開の真実(4)─詳細かつ複雑になった[色を置換]」では、Acrobat 9 Proの[色を置換]パネルを取り上げます。



 印刷関係のツールで大幅にレイアウトが変わったのが、[色を置換]である。従来のように、文書内のカラーを選択してカラー変換を行うというシンプルな手順ではなく、カラー変換するプリセットを作成してプリセットを適用するという方式に手順が変更されている。
 プリセット化された理由は、設定する内容が詳細になったためだろう。変換対象のオブジェクトタイプカラータイプをポップアップメニューから選択して変換することができる。【ショット付きの続きはこちらから】

ラベル:Acrobat 9 Pro
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2008年06月09日

Acrobat 9 公開の真実(3)─強化された[出力プレビュー]その2

 「Acrobat 9 公開の真実」はDTP-Sに移行しました。3回目はDTP-Sにある「Acrobat 9 公開の真実(2)─強化された[出力プレビュー]その2」を御覧下さい。1回目と2回目もショットを追加してあります。



 「警告の不透明度」は[カラー警告]でハイライトするカラーに不透明度を設定する。[カラー警告]のオーバープリントリッチブラックのハイライト色は、きつめの色で、なおかつ背景が見えなくなってしまう。そこで、アラートでハイライトするカラーに不透明度を与えることで、背景のオブジェクトを透過させるのである。確かに「30 %」とか「50 %」にする方がわかりやすそうだ。
 「オブジェクトインスペクタ」は、選択した部分のオブジェクトの属性を表示するものだ。「オブジェクトインスペクタ」を選択し、カーソルをPDF上に置いてクリックすると、その部分の情報が表示される。
 画像では画像のカラーや解像度(単位が「mm」になっているのはベータ版の愛嬌か)やピクセル数、圧縮方法とオーバープリントの有無を知ることができる。テキストではカラー値やフォント名が表示される。この機能があれば、プリフライトを使う必要はかなり少なくなる。ついでにTouchUpのプロパティを開くボタンを用意しておくと、そのまま選択したオブジェクトのカラー変換も可能になる。【ショット付きの続きはこちらから】

ラベル:Acrobat 9 Pro
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2008年06月06日

Acrobat 9 公開の真実(2)─強化された[出力プレビュー]その1

 Acrobatの印刷用の機能は、7.0 Proで印刷工程ツールとして集約して大幅に強化された。Acrobat 8.0 Proではフィックスアップ機能が追加されて、PDFを自動的に変換・編集する機能が追加された。それでは、9 Proではどのような新機能が追加されたのだろうか。
 結論から言うと、印刷に関する機能では、瞠目するような大きな機能の追加はない。それぞれの機能を強化しブラッシュアップして、より使いやすいオプションが追加されている。

080606-01.gif

 もっとも機能が追加されたものは[出力プレビュー]である。[出力プレビュー]には8.0よりいくつものオプションが追加され、PDF内のカラーだけでなく、オブジェクトの詳細も知ることができるようになった。[出力プレビュー]に追加されたものには

オーバープリントをシミュレート
表示リストの追加
警告の不透明度
オブジェクトインスペクタ
サンプルサイズ
ページの背景色を設定


がある。「オーバープリントをシミュレート」は、オーバープリントのプレビュー機能を[出力プレビュー]に追加したものである。もともと、オーバープリントプレビューは、アドバンズトメニューの印刷工程に置かれているが、[出力プレビュー]に移行して、モニタでの確認をしやすくした。オーバープリントの事故が印刷では多いからだという。
 カラー警告でもオーバープリント部分を知ることはできるが、オーバープリントのシミュレートも[出力プレビュー]で確認するほうが、オーバープリントチェックの導線としては妥当である。
 いずれ、印刷事故を引き起こすオーバープリントをAI機能で判断して、自動的に修正する機能が当たり前になるだろうが、当分は、目視でオーバープリントが適正かどうかを調べるしかなさそうだ。

 「表示リストの追加」では表示されるカラーやオブジェクトの種類を豊富になった。8.0の「すべて」を含めて14種類が、9 Proでは21種類に増えているのである。RGBは「DeviceRGB」も表示できるようになっている。ただし、キャリブレーションRGBのみをリストすることは、ベータ版ではできないようだ。「デバイスCMYKと特色ではない」という選択も可能になっている。「レジストレーションカラー」「テキスト」「ラインアート」などとも個別に表示可能だ。

080606-02.gif

 欲を言えば、[表示]内容をカスタマイズするオプションがあるとさらにいいかもしれない。「デバイスCMYKと特色ではない」だけでなく、「デバイスCMYKと特色とレジストレーションカラーではない」という設定がカスタマイズできれば使い道は広がるだろう(なお、「デバイスCMYKと特色ではない」を選択した場合、レジストレーションカラーのトンボは表示されないようだ)。
(ショットはAdobe Acrobat 9 Pro Pre-Releaseより)



ラベル:Acrobat 9 Pro
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2008年06月05日

Acrobat 9 公開の真実(1)─失われたStandard版

 Acrobat 9 Proがアナウンスされた。当初の予定より早く、アドビストアでは6月末には発売されるという。前回のバージョンが2006年の11月なので、1年半強でのバージョンアップということになる。
 バージョンアップの大きな部分はビジネス用の機能であり、ビジネスユースでのプラットフォームを目指すAcrobatが、PDF以外のファイルフォーマットを取り込み

PDFポートフォリオ

という機能を搭載したのは順当だといえそうだ。
 PDFポートフォリオは、Acrobat 8にあったPDFの結合機能を進展させてPDF以外のファイルも1つのパッケージに収録するものである。PDFだけでなく、WordExcelPowerPointなどのファイルも同梱できる。InDesignやIllustratorも可能だ。PDF化する前の元データだけでなく、参考資料としてのデータも含めることができる。
 おそらく、ビジネスユーザーからヒアリングでPDF以外のファイルもパッケージ化したいという要望が多かったに違いない。当然ながら、PDFポートフォリオで同梱したPDF以外のファイルを開くためには、オリジナルのアプリケーションが必要である。
 PDFポートフォリオが対応しているのはAcrobat 9 Pro(Professionalとはいわず、Proと表記するようになったようだ)以降である。以降というのは、いままでのAcrobat 3D Version 8を含めた機能強化した

Acrobat 9 Pro Extended

という上位バージョンが登場したからである。この「Acrobat 9 Pro Extended」と「Acrobat 9 Standard」は、Windows版のみになった。つまり、MacintoshのStandard版は消失したのである。
 Pro版にあってStandard版にない機能は

PDFファイルの最適化
PDFポートフォリオ
PDFレビュー権限
PDF/Xなどの作成


などとなっている。Standard版にある主な機能は、フォームの作成と収集セキュリティPDFの結合などである。印刷関係で使う場合は、Standard版はほとんど不要といってよい。Pro Extended版は、3Dデータを扱いたいときには便利だろう。
 また、レビュー機能をさらに推し進めて、PDFをネットワーク上で共有できる仕組みが

Acrobat.com


である。現在のところベータ版だが、PDFを「Acrobat.com」にアップロードして複数のメンバーで共有して、編集したり注釈を追加したりできるようである。説明会ではこの機能を「リアルタイムコラボレーション」と呼んでいたように記憶している。Adobeが提供する無償のサーバを利用し、共有できるのは3名までのようだ。

080605-01.gif

 Adobeが力を入れていた機能は、フォーム機能である。Web上のCGIなどを使った機能と同じように、PDFのフォームでもデータの送信が可能だ。プレス用の説明会の申込みも、フォームで申し込むようになっていたくらいである。フォームフィールドを自動的に認識する機能や、フォームの集計機能も強化されている。
 できれば、ネット上の受注にも使えるように、フォーム内容を自動返信したり、自動的に計算したりする機能があればもっと面白い(ひょっとすると既にある?)が、いまのところ、「アンケートに使いましょう」程度のようである。
 さて、欧米では浸透しているAcrobatだが、日本での普及どうだろうか。新しいバージョンへのシフトだけでなく、Acrobat自体のさらなる普及が進むかどうかについては、新しい機能を追加する以外の施策が必要かも知れない。
(ショットはAdobe Acrobat 9 Pro Pre-Releaseより)

ラベル:Acrobat 9 Pro
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