たとえば、Illustrator 9.0では、グラデーションと乗算とオーバープリントテキストを重ねて、透明を分割・統合すると、3つのオブジェクトが合成された画像に対して、アウトライン化されたテキストでテキスト部分をマスク処理します。
そのあたりの仕組みを調べたものが「Acrobat 8 Proでする透明テキスト分割の精度とは」です。テキストの処理とAPPEの関係を取り上げます。
テキストをアウトライン化せずに透明を分割統合するAPPE
Acrobat 8 Proからは、透明の分割・統合処理でAPPE(Adobe PDF Print Engine)が使われています。APPEは透明効果の処理方法については、現在のところもっとも完成されたものと考えていいでしょう。
PDFの出力は、PostScript 3からネイティブ出力になったといわれていました。PostScript 3はPDFをそのままイメージに変換して出力できるはずでした。しかし、実際には違いました。PostScript 3はPDFをそのまま受け取って出力することができましたが、内部でPDFをPostScriptに変換して出力していたのです。PDFをホットフォルダに放り込んで出力可能なのが、PostScript 3だったのです。
そして、完全にPDFネイティブで出力できるRIPが登場しました。それがAPPEです。APPEは、インプットされたPDFをPostScriptファイルに変換せずに出力することが可能です。
APPEのもっとも大きな特徴は、透明を処理するとき、テキストをアウトライン化しないまま分割・統合することができることです。テキストをアウトライン化すると、フォントのヒント情報が失われ、字形が太くなります。
通常、2400 dpi程度の高解像度であれば、ヒント情報が失われたり、文字が太ってもごくわずかなので実質的には問題ありません。すべてのテキストをアウトライン化していれば、同じように見えるからです。
ただし、透明部分のテキストのみがアウトライン化されてしまう場合は、どうでしょう。透明の影響を受けないテキストはアウトライン化されずに、透明の影響を受ける部分についてはアウトライン化されてしまうことになります。
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AcrobatでするPDF出力のツボ4
Acrobat 8 Proでする透明テキスト分割の精度とは
http://www.incunabula.co.jp/dtp-s/AcrobatDTP/PDF_tubo/
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