白オブジェクトのオーバープリント『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ』





 白のオーバープリントは、まあいえばIllustratorだけの問題である。Illustratorでは属性パレットでオーバープリントを指定する。白にオーバープリントすると、簡単に言うと「透明」になる。Illustratorでは白いオブジェクトにオーバープリントを指定できるが、InDesignではオーバープリントできないようになっている。
 Illustratorで白いオブジェクトにオーバープリントすると、アラートが現れる。Illustrator 9.0以降では次のようなアラートウィンドウが表示される。

この選択範囲にはプロセスホワイトオブジェクトが含まれています。
このようなオブジェクトのオーバープリントは、
透明効果と組み合わせる場合のみ便利です。

080421-01.gif

という文言のアラートである。「透明効果と組み合わせる場合のみ便利」と書かれているが、正直いって意味不明である。白のオブジェクトをオーバープリントするのは、描画モードで「乗算」するのと同じなので、そういう意味ではないかと思うが、実はよくわからない。
 白にオーバープリントを指定して、プリントするとどうなるのかというと、デフォルトでは、オーバープリントは反映されない。プリンタダイアログで[コンポジットプリントでのオーバープリントを無視]がチェックされているからである。
 Illustrator CS以降、プリントダイアログが大きく変わった。複数のパネルでプリント設定を指定するようになって[コンポジットプリントでのオーバープリントを無視]というチェックはなくなった。それでは、どこでオーバープリントのプリント指示を行うのかというと、[詳細設定]にある[オーバープリントおよび透明の分割・統合オプション]で行なう。[オーバープリントおよび透明の分割・統合オプション]には

保持
破棄
シミュレート


の3つのオプションがある。デフォルトでは「保持」になっていて、「保持」もしくは「破棄」では、プリントアウトにオーバープリントは反映されない。「シミュレート」を指定したときにのみ、プリント出力でオーバープリントは反映されるのだ。

Illustrator 10のプリントウィンドウ
080421-02.gif

Illustrator CS3のプリントウィンドウの詳細設定パネル
080421-03.gif

 PDF保存すると、オーバープリントはどうなるのだろうか。Illustratorの内部的にはオーバープリントは基本的に透明と同じ扱いになる。つまり、「Acrobat 5.0互換」で保存すると、そのままオーバープリントになる。もし「Acrobat 4.0互換」で保存すると、Illustrator CS以降は、オーバープリントを破棄して保存できるのだ。
 Illustrator 9.0とIllustrator 10では、PDF保存時にオーバープリントの書き出しを設定することができないのだが、Illustrator CS以降は、オーバープリントを指定可能なのである。PDF保存時の詳細設定パネルの

オーバープリントおよび透明の分割・統合オプション

「破棄」を選択して書き出せば、オーバープリント指定はすべて廃棄される。もちろんその場合、白オブジェクトのオーバープリントだけでなく、すべてのオーバープリントが削除される。しかし、特別な場合を除いて、Illustratorではオーバープリント指示をすることはない。墨ベタのオーバープリントであれば、Acrobat 8 Proフィックスアップや、RIPの機能で行えばよい。したがって、通常は[オーバープリントおよび透明の分割・統合オプション]は「破棄」を選択しておく方が間違いなさそうである。

Illustrator CS3のPDF保存の詳細設定パネル
080421-04.gif

 オーバープリントを保持したままPDFを書き出し、Acrobatで開くと、アドバンストメニューの[印刷工程]にある[オーバープリントプレビュー]のオンオフで、オーバープリントがモニタに表示されるかが決まる。
 したがって、[オーバープリントプレビュー]がオンになっていると、Illustratorでのモニタ表示とAcrobatでのPDF表示が同じものにならない。Illustratorでは背面にオブジェクトがあっても白のオブジェクトのオーバープリントは、オーバープリントを反映せずに表示してしまうが、Acrobatでは[オーバープリントプレビュー]がオンでは、オーバープリントを反映して、白オブジェクトのオーバープリントは表示されずに透明になってしまうからである。
 Acrobatのプリフライトでは、白オブジェクトのオーバープリントを調べて、フィックスアップでオーバープリントを解除することが可能だ。これはきわめて簡単に設定できる。ただし、適用した場合は、モニタもしくはプリンタでの再チェックをしたほうがいいだろう。
 しかしとはいえ、InDesignでは指定できないにも関わらず、Illustratorでは白オブジェクトに対するオーバープリントの指定は、CS3になっても可能になっている。ということは、白いオブジェクトにオーバープリント指定することで可能になるレイアウトがあるのかも知れない。
 できれば、PDF保存時に、白オブジェクトにオーバープリントがある場合は、アラート表示して欲しいものである。一応、PDF保存時に[互換性のある形式]で「Acrobat 4(PDF 1.3)」を選択していると、

透明部分が含まれる範囲のオーバープリントは保持されません

Illustrator CS3のPDF保存の設定内容パネル
080421-05.gif

という警告が表示される。不要なオーバープリントをチェックするには、PDF保存時に[互換性のある形式]で「Acrobat 4(PDF 1.3)」にしてみて確認するという方法もあるだろう。

 




タグ:Acrobat 8 Pro

posted by 上高地 仁 at 23:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | AcrobatでするPDF出力のツボ
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