前バージョンに比較して売れている理由は、簡単です。CNETでは
この成功について、同氏は、AdobeとMacromediaが合併して可能になったそれぞれの製品を連携させるという戦略が顧客に受け入れられたのだと説明している。
「連携が改善されたためクリエーターや開発者の作業時間が大幅に短縮した。だから、みんな競ってこの製品を買っている」。たとえば、写真を編集するパッケージPhotoshopのファイルをウェブ制作ツールDreamweaverで使うなどといったことができる。
(販売に「火が付いた」Adobe Creative Suite 3--NPD調べより引用)
としています。もちろん、Macromedia製品がスタンダードだったWebアプリケーションと連携できるようになり、WebとDTPと両方のアプリケーションを使うユーザーにとっては、価値あるバージョンです。
Webアプリケーションの場合は、ファイルの互換性はあまり関係ありません。DTPアプリケーションのように、レイアウトの絶対性は必要ありませんから、新しいバージョンに移行するのは、それほど難しくないでしょう。DreamweaverやFlashのユーザーにとっては、画像をクリックすると、Photoshopが起動するのは、それだけでも便利な機能だからです。
ただ、Creative Suite3を購入している層は、DTPユーザーがメインというわけではなく、Webユーザーが多いように思いますね。Dreamweaverをアップデートするついでに、Creative Suite3にアップデートしているのではないでしょうか。
小売りが好調なのは、Webに軸足をシフトした個人もしくは小規模のデザイナーやプランナーなどが、積極的にCreative Suite3を導入しており、ついでに、PhotoshopやIllustratorやInDesignを含んだスイートを選択しているのではないでしょうか。ただし、よく売れてるいるのが、InDesignを含む
Design Premium
であって、InDesignを含まなくてFireworks をバンドルした
Web Premium
ではないところが、興味深いところです。InDesignとFireworksを比較すると、InDesignを選択するようです(もっともFireworksは単品買いかも)。
もう1つの理由は、バージョンアップを三世代まえからに制限したことでしょう。あれはある意味ではユーザーに突きつけた踏み絵でした。古い革袋に古い酒を入れたまま朽ち果てていくのか、新しい革袋に新しい酒を入れるのかという選択を、ユーザーに迫りました。
Adobeのアプリケーションをつかって、ビジネスを続けるためには、新しい環境、新しいバージョンを選択するしかありません。古いアプリケーションを使い続けるというモラトリアムの時代は終わりを告げようとしているのかもしれません。
私はバージョンアップの制限は、今回、小売りが好調な理由としては、大きな要素ではないように思います。おそらく、バージョンアップの制限は、これからボディブローのようにジワジワと効き目をあらわしていくのではないでしょうか。となると、単価の高いCreative Suiteの販売は、これからも上向きになると思いますね。Adobeの売り上げはさらに上方修正され、株価は上がるかも。
ところで、日本ではどうなんでしょうか。アリメカでこれほど売れていれば、
日本法人にも強い販売圧力がかかるでしょうね。アマゾンで見ると(2007/10/27)、ソフトウェア部門で
Creative Suite 3 Web Premium Macintosh版 3,035位
Creative Suite 3 Design Premium アップグレード版 Macintosh版 3,117位
となっています。まあ、アマゾンでCreative Suiteを買う人は少ないか? たしかに日本でも、Creative Suite3導入機運は高まっている気はします。来春にかけて、AdobeはAppleはタッグを組んで、プロモーションをするのでしょうか。
なお、販売はMacintosh版が75%を占めるそうで、Creative Suite2でも同じだったようです。いまのところ、Adobe製品のユーザーがWindows環境にシフトするということはなさそうですな。
◆販売に「火が付いた」Adobe Creative Suite 3--NPD調べ[CNET]
http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20359681,00.htm
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