2007年10月19日

フォント年間ライセンスのシェア:Mac Fanで見るDTP環境の変化

 Mac Fanのアンケートには、フォント年間ライセンスについてのアンケートもあります。フォントワークスジャパンが2002年の7月にLETSをはじめてから、もう5年、のちにモリサワも2005年の8月からMORISAWA PASSPORTで参戦し、認知度も高くなってきました。

  フォント年間ライセンスというアイディアを私が思いついたのは、もうかれこれ6年前です。いまはなき、工学社のProfessional DTP誌に「目指せ!印刷営業の達人」として掲載した「フォントはレンタルサービスに戻ればよいのだ」という記事に書きました。

 もっとも、言うは易く行なうは難しで、最初に始めたフォントワークスジャパンの勇気には脱帽します。正直言うと、本当にそういうサービスを始めるとは予想外でした。フォントベンダーとして採算がとれるかどうかは、わかりませんからね。

 たぶん、こういうことを言い出したのは、私が最初でしょう。当時はフォントは買うものであり、「貸す」という考えはありませんでした。もっともDTP以前の写植時代は、フォント(書体)は借りるものでしたけどね。

 フォントをパッケージで買っていくと、新しいフォントフォーマットが登場するたびに、ユーザーの困惑度は高まり、フォントベンダーはリスクを抱えて新しいフォントフォーマットに対応しなければなりません。DTP環境をよりリッチなものにするためには、OCFからCID、そしてOpenTypeへと変わっていくことは頭では理解できても、

新しいフォーマットの新機能の役に立つのか
バージョンアップするコストに見合うのか


と考えると、頭を抱えざるを得ないのが現実でしょう。利用できるグリフ数が増えたり、フォント内部にメトリクス情報を持たせたしても、それがバージョンアップフィーに見合うものなのかは、見えにくいのです。

 数年おきに繰り返されるフォントフォーマットに進化に付き合っていくと、設備投資コストが冗漫になります。規模の大きい印刷会社や制作会社ではインストールされているフォントは半端ではありませんから、コスト負担は小さくありません。新しいフォントフォーマットにその都度対応していくと、原価を切り下げて、価格競争に打ち勝つことが難しくなっていきます。

 そういうわけで、フォントは「買う」より、年間固定した費用を払って「借り」た方が、コストが読みやすくなり、同時に新しいフォーマットにも対応可能になります。モリサワが参入してもう2年ですから、フォント年間ライセンスが定着してきてもよさそうです。

 Mac Fanのアンケートによると、導入済みは約30%で「前年のアンケートの数値と変わらない」と結論づけていますが、この「約30%」にはけっこう大きな違いがあります。

2006年 → 26.6%
2007年 → 34.2%


となっており、対前年比を比率にすると、なんと

128%

も伸びていることがわかります。たしかに、四捨五入すると、「約30%」なんですけどね。モリサワが参入してたった2年で、30%以上も普及したということは、多くのユーザーが求めていたサービスだったということでしょう。

 要するに、イノベータからアーリー・マジョリティあたりまで層が拡大しつつあるということでしょう。ロジャース理論では、普及率のラインを16%としていますから、これから急激に普及していく可能性は否定できません。

 来年あたりから、レイト・マジョリティ(後期多数採用者)が導入を始めると、フォントのライセンス無しでは、DTPはできなくなるといわれるようになるかもしれませんね。


 →LETS、MORISAWA PASSPORTのお申込はこちらから
  (MORISAWA PASSPORTについてはお問い合せ下さい)


 → 詳しくはMac Fanの11月号を御覧下さい。


◆Mac FanのWebサイト
http://macfan.jp/
 











posted by 上高地 仁 at 11:59 | Comment(0) | TrackBack(1) | ニュース&トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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