カラーマネージメント出力の不思議1〜InDesign編〜



 IllustratorやInDesignにAdobe Color Engineが搭載されたことで、アプリケーション側でターゲットのCMYKにカラー変換して出力することが可能になっています。たとえば、ドキュメントに「Japan Color 2001 Coated」を割り当てて作成し、プリンタプロファイルで変換して出力すれば、カラーマネージメントしてプリントアウトすることが可能だからです。

 しかし、実際には、InDesignでは貼り込まれた画像によってはカラーマネージメントされずに出力されることがあります。つまり、どんなデータでもアプリケーション側でカラーマネージメント出力できるわけではないのです。
 たとえば、InDesign 2.0がカラーマネージメント出力可能な画像フォーマットは

Photoshop形式(PSD)
Photoshop TIFF
Photoshop JPEG

で、一般的によく使われているPhotoshop EPSは、カラーマネージメント出力対象外でした。

 InDesign CSではどうでしょうか。InDesign CSではもう少し対応がよくなって、Photoshop EPSもカラーマネージメント出力できるようになっています。ただし、できないものが1つあります。それは、

Illustrator EPS

を貼り込んだファイルです。Illustrator EPSについては、強制的にカラー変換しても変換されないのです。たとえば「グレー40%」濃度のデータを作成します。InDesignの塗り設定と画像データとPDFです。

InDesignの塗り設定
PhotoshopでEPS保存
PhotoshopでPDF保存
PhotoshopでPSD保存
PhotoshopでTIFF保存
PhotoshopでJPEG保存
Illustratorの塗り設定をEPS保存
Illustratorの塗り設定をPDF保存
Illustratorの塗り保存をDistillerでPDF変換


したものを、InDesign CSに貼り込み、カラーマネージメント出力のテストをしてみました。画像やPDFにはICCプロファイルは含めていません。

 InDesignで「プリプレス - 日本2」を割り当てます。ドキュメントには「Japan Color 2001 Coated」が適用されます。そしてプリンタから書き出します。

 InDesignでプリントします。プリントする際に、プリンプロファイルを割り当てて、「InDesignでカラーを決定」してプリントします。プリントすると手間がかかるので、ここではPostScriptファイルを書き出して、Distillerでカラー変換せずにPDF化して比較してみます。


●InDesign CS3のプリントウィンドウでカラーを変換して書き出す
090722-01.gif
[プリンタ]で「PostScriptファイル」を選択すると、用紙サイズが「レター」になります。用紙サイズを指定するときは、「Adobe PDF 8.0」などのAcrobat用のPPDファイルを選択してファイル保存します。

 ICCプロファイルを割り当ててカラーを変換すると、グレースケールのカラーは、CMYKのかけ合わせに変換されるはずです。変換してみると、なんと、カラーが3種類もあります。Illustrator EPSファイルはやはり変換されずに「グレー40%」のままでした。

 ところが、それだけではありません。変換されたオブジェクトの中に、CMYKに分解された濃度が異なっているものがあるのです。1つは

シアン26%,マゼンタ20%,イエロー17%,ブラック0%


のもので、これはInDesignの塗り設定と同じものでした。もう1つは

シアン29%,マゼンタ20%,イエロー20%,ブラック1%

で少し墨っぽいものでした。

 貼り込んだ種類で見ていくと、InDesignの濃度と同じものは、PhotoshopのPSD、TIFF、JPEGでした。それと異なっているのは、すべてPDFファイルでした。IllustratorのPDFだけでなく、Photoshopで保存したPDFの画像ファイルも、少し墨っぽく変換されていたのです。

●InDesign CS3からカラー変換したPDF
090722-02.gif
赤く囲んだ部分がInDesignの塗り設定と同じカラーで変換されたもの。「シアン26%,マゼンタ20%,イエロー17%,ブラック0%」の濃度。3つのPDFは「シアン29%,マゼンタ20%,イエロー20%,ブラック1%」で変換され、少し墨っぽく変換されていることがわかります。


 これはどういうことでしょうか。InDesignに貼り込んだファイルが画像であれ、PDFであれ、ICCプロファイルを埋め込んでいないまま、カラーマネージメント出力すれば、InDesignで指定した塗り設定と同じカラーで変換されるはずではありませんか。そうでなければ、カラーマネージメント出力の価値は大きく損なわれることになります。

 EPSファイルのみが対応しないのであれば、それは仕方がないでしょう。EPSを(OCFと同じように)時代遅れのファイルフォーマットだと決めて、非対応にするのはある意味では仕方がないことなのかもしれません。しかし、それ以外の画像とPDFが同じ出力にならないのでは、実質的にアプリケーションからのカラーマネージメント出力は

使い物にならない


と言うしかありません。それとも、PDFは貼り込まない方がいいまでしょうか。あるいは、InDesignからカラーマネージメント出力するのではなく、PDF保存して、Acrobatからカラーマネージメント出力するしかないのでしょうか。
















posted by 上高地 仁 at 13:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | カラーマネージメント出力
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  鉄則03:最新版にアップデートしよう 10.0〜CS2
  鉄則04:カラーマネージメント機能を使おう
  鉄則05:貼り込まれた画像のカラーはどうなる?
  鉄則06:透明効果の分割・統合をベクトル側で変換する
  鉄則07:透明分割とスポットカラーの怪しい関係
  鉄則08:ラスタライズ効果設定は「200 ppi」に設定する
  鉄則09:Illustrator CS以降で使うOpenType機能
  鉄則10:フォントはアウトライン化してPDF保存する
  鉄則11:PDF保存ではフチククリ文字はアウトライン化しない
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カラーマネージメント出力

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