アニメのDVDを買うような層は、だいたいマニアックな層ですから、動画以外の特典が充実していれば、「買わない」という選択肢は選ばないでしょう。買わなくなったのは、動画が簡単にコピーできるようになったことに最大の原因があるのではなく、手垢にまみれたキャラクター設定とハーレクイン・ロマンスのように紋切り型のストーリーに飽きられたのではないかと思いますけどね。
ITmedaで紹介しているGDHというアニメ制作会社では、アニメの売れない原因を外部に求めるのではなく、つまり著作権問題の“犯人探し”をするのではなく、逆にYouTubeの積極活用した手法を取り入れています。自社のアニメを自らYouTubeにアップし、そこから集客しようと取り組んでいます。
違法サイトが証明した世界のニーズ
という見出しがこのトピックにあります。日本のアニメを違法に月額固定で配信していめサイトがあって、それが成り立っているそうです。つまり、費用さえ合えば、動画の配信サイトは収益をあげることができることを証明しているわけです。
YouTubeに動画がアップされるというのは、その動画がアップされるだけの価値があるということを証明しています。アップされた動画のビュー数が多ければ、そこからアクセスを稼いで、コンテンツから派生する製品に誘導することが可能になります。
コンテンツホルダーは、いたずらに著作権問題の“犯人探し”をするより、現状を受け入れて、そこから次の展開を考えるしか道はないでしょう。犯人を決めつけたところで、現実は変わらないからです。
デジタル化するということは、コピーのコストをほぼ「ただ」にすることです。その流れは変わりません。コンテンツを「ただ」にしたとき、その上で成り立つビジネスモデルを見つけていくしかありません。
実際そういう取り組みがすでにあるというのは、
世の中の変化は予想より早いのかも
と思わせますね。大手のコンテンツホルダーも、いまのところ様子見なんでしょう。もうすこし「動画がただ」でも儲かるビジネスモデルが見えてきたら、動画を巡る著作権問題は雲散霧消しようですな。
■DVDが売れない時代のアニメビジネス GDHに聞く[ITmedia]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0708/27/news020.html
■著作権についてはこちらも御覧下さい
デファクト・スタンダードの真実
http://www.incunabula.co.jp/dtp-s/defect_standard/index.html