2007年07月09日

■Illustratorの鉄則06:透明効果の分割・統合をベクトル側で変換する

あなた:印刷業界で使われているIllustratorのバージョンが8.0から、新しいバージョンに移行しないのは、どういう理由でしょうか。最新バージョンの新機能で、印刷する上でどうしても必要なものはあまりないような気がします。

マスターヨーダ:新しいバージョンを使うリスクが、新機能を使うメリットより大きんじゃろう。いくら便利でも、トラブルを招くことになれば、誰しもが及び腰になるであろう。

あなた:新しいバージョンへの移行には、そんなにリスクがあるんですか? バージョンアップフィーも馬鹿にはなりませんけどね。マスターヨーダ:バージョンアップフィーも必要じゃが、マシンも買い換えないといかんじゃろ。それに、バージョンアップするのはIllustratorだけというわけにはいかんからのう。マシンを買い換え、OSをバージョンアップすると、インプットメソッドのようなユーティリティも買い換えねばならんぞ。けっこう費用が嵩むんじゃ。

あなた:それはそうですね。新しくしたいけど、なかなか現実がついてこないわけですね。

マスターヨーダ:それに新しい機能も、トラブルを招く可能性があるじゃろ。特に「透明効果」じゃな。透明効果を印刷用として利用するには、正しく「分割・統合」せねばならん。「分割・統合」しないまま出力すると、出力環境によって結果が異なる可能性がある。透明効果は、印刷でのリスクが高いんじゃな。

あなた:透明効果ですね。ややこしそうですね。

マスターヨーダ:透明効果はのう、PostScriptでは扱えんのじゃ。PostScriptはもともと線画を作成するためのものじゃから、透明のような画像処理で使われていた機能には対応しておらんのじゃな。不透明度とか描画モードとか、もともとPhotoshopの機能じゃ。

PhotoshopでもEPS保存するときは、そのまま保存できんじゃろ。Illustratorでもそれと同じなんじゃ。画像に透明効果を適用して1枚ものの画像にするように、「分割・統合」が必要なんじゃ。

あなた:なるほど。それでは、Illustratorではどうすれば、トラブルを引き起こさずに透明効果を利用できるんでしょうか?

マスターヨーダ:そんなには難しくはないんじゃ。書類設定の[透明]というウィンドウがあるじゃろ。そこにある[プリント・データ書き出し]で「高品質 / 低速」が選択されておればいいんじゃ。かんたんじゃろ。

●Illustrator 9.0の書類設定にある[透明]ウィンドウ
06-01.gif
  

06-02.gif
[プリント・データ書き出し]の[画質/速度]を「高品質/低速」にします。これで、透明が適用された部分のみが分割・統合されます。


それと、同じ書類設定の[プリント・データ書き出し]の

ラスタライズ解像度は「400」程度
グラデーションメッシュ解像度は「200」程度


になっておれば十分じゃ。Illustrator 9.0では[オプション]にあるが、Illustrator 10では[ラスタライズ解像度]は[透明]ウィンドウにある。Illustrator CS以降では、編集メニューの[透明の分割・統合設定]で同じように指定するんじゃ。

あなた:[グラデーションメッシュ解像度]というのは、何なんですか。グラデーションメッシュの解像度を指定するものですか。

マスターヨーダ:グラデーションメッシュとは記されておるがな。グラデーションメッシュだけでなく、グラデーションやドロップシャドウなどの解像度じゃ。

透明部分を分割・統合するとき、どうしても画像化しなければならないオブジェクトがあるじゃろ。分割・統合する必要があるのは

透明部分と透明でない部分が重なっているところ
透明部分と透明部分が重なっているところ


なんじゃ。

もし、グラデーションの上に、乗算を指定したテキストがあると、グラデーションとテキストが重なった部分は、分割・統合して画像化するしか、印刷する方法はないんじゃな。

つまり、透明を分割するとき、どうしても画像しなければ印刷できないグラデーションやグラデーションメッシュ、ドロップシャドウなどのラスター効果の解像度を指定するものじゃ。

あなた:ドロップシャドウもなんですか? ドロップシャドウも透明効果を使っていますからね。そうなら、[グラデーションメッシュ解像度]っていうのは、紛らわしいですね。

マスターヨーダ:そうじゃな。[グラデーションとラスター効果の解像度]という方がわかりやすいかもしれんのう。

あなた:そうですね。ところで、私のIllustratorでは、マスターのいわれた設定になっています。変更する必要はないようですね。

マスターヨーダ:なんじゃ、使っているのはIllustrator 10かな。実はIllustrator 10からは、ちゃんとした設定になっておるが、Illustrator 9.0ではそうはなっておらんのじゃ。9.0で透明の分割・統合処理のデフォルト値が不評だったので、10.0以降は印刷用に最適化された設定をデフォルトにしたんじゃよ。

あなた:ということは、Illustrator 9.0を使うときは、[透明]や[プリント・データ書き出し]の設定を最初に変更する必要があるんですね。

マスターヨーダ:そのとおりじゃ。Illustrator 9.0からドキュメントのカラーモードを設定できるようなっておる。Adobeはどうやら、IllustratorをWeb用のデータ作成ソフトしてアピールしたかったようで、想像するに、透明の分割・統合設定のデフォルトをWeb用にしたんじゃろう。

あなた:Illustrator 9.0の[プリント・データ書き出し]ウィンドウのデフォルトでは、スライダーが真ん中にきているんですが、この設定だと、どんな問題があるんですか? もしもこれといったトラブルがあるのであれば、教えていただけませんか?

マスターヨーダ:[画質 / 速度]を真ん中にしたときの、具体的なトラブルじゃな。それはな、分割時に画像に変換される部分が多くなるんじゃ。たとえば、[画質 / 速度]で「低画質 / 高速」にするじゃろ、PDF保存するとどうなると思う。

あなた:えぇー、どうなるんでしょう。わかりません。





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posted by 上高地 仁 at 21:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | Illustrator使いこなしの鉄則 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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