Yahoo!の新着雑誌記事に『iPhone6「期待値大きかっただけに期待外れの印象拭えず」の声』という記事があり、その内容に唖然とした。こんな薄っぺらいレベルでYahoo!のトップページを飾るよなという低レベルの内容で、説得力がかけらもない。俺もこんな記事を書いて原稿料が欲しいものだ。
この記事は最初から階段を踏み外している。なんとiPhone 6の最大の特徴は
NFC(近距離無線通信)によるモバイル決済サービス(Apple Pay)ができるようになったこと
だというではないか。正気か。記事を書いた記者が物事の本質を見抜く力が本当にあるのであれば本当に「うましか」だし、わかっていて書いているのであれば極めて悪質だ。ちゃんとした出版社の記者が「うましか」とは考えにくいので、考えられるのは後者しかない。
誰もアップルにおサイフケータイは期待していないって、そんなこと当然だろ。もしiPhoneにモバイル決済サービスを搭載するとしたら、アップル製のものでなく、キャリアのサービスを搭載しなければ意味がない。もっともアップルがキャリア独自のおサイフケータイを許すかどうかは疑問だ。アップルはサービスについてはど素人だからである。ど素人ほど、仕切りたがる。しかしこんなものがiPhone 6最大の特徴であるはずがない。なぜそこを外すのか、まったくもって謎である。
さらに木暮祐一・青森公立大准教授の発言を援用して
国内通信キャリアのネットワークに対応し、通信速度は速くなりますが、これも想定の範囲内。期待値が大きかっただけにやや期待外れの印象は拭えない
という。アップルが日本国内のキャリアの通信速度を上回る手段を持っているというのであれば、ぜひその現実的な方法を開示してほしい。10年前の中古車を買って、衝突被害軽減ブレーキがなくて期待はずれというのと同じくらい無知に近い。期待する先が間違っている。
ついでに言っておくと、ジョブスは情報のリークを極端に取り締まり、プレゼンでの驚嘆を最大限にするように演出してユーザーの期待を上回った。しかしそういう手法も見えていて、取材側があらゆる手段を利用し外から機密情報を攫ってくるようになったので、新製品について隠し通せなくなったことが大きい。情報の漏洩を防ぐには、工場を無人島か、いっそ月の裏側や火星にでももっていくしかなそさうだ。
iPhone 6の最大の特徴は大きくなったことだけであり、あとの機能は十分条件といっていい。大型化こそが最大の特徴であり、乱暴に言えばあとの新機能はどうでもいい。iPhoneイノベーターの欲しいものも、大型化が最大のものなのである。サイズの大型化については
前作の「5」は4インチディスプレイに留め、大型化する他のスマホと一線を画してきた。
というではないか。アップルはAndroidと差別化するために、大型化してこなかったらしい。そういう事なのか。それは初めて知った。どこからそんな情報を仕入れてきたのだろう。おそらく秘密のリーク先をアップル社内に持っているに違いない。でなければ、こんな大胆な発言はできないのではないか。
アップルがiPhoneを大型化してこなかったは、技術的な問題やコストの関係もあるが、もっとも大きな理由はジョブスが組んだスケジュールに従ったということだろう。最初から大型化はする予定でいたが、iPhoneに追いつきたいAndroid陣営が5インチサイズにニッチを見つけて、先を越しただけにすぎない。iPhoneが5.5インチをリリースしたとことで、Androidのこれらのニッチは失われるか縮小を余儀なくされる。
iPhone 6がリリースされても、iPhone5が失われてしまうわけではなく、当分は併売されるから、小さいiPhoneが欲しいユーザーは、安くなったiPhone 5sやiPhone5cを選択すればいいだけ。いつからiPhone 5xが買えなくなったというのか、教えて欲しい。
この記事は「アンチiPhone 6」というタイトルでアクセスを狙っただけの視座の著しく低い内容だった。タイトルの文字間に「アクセスが欲しい」と書いてあるのが透けて見える。記事の内容が「アンチiPhone 6」でもいいんだけど、もっと具体的なデータを用意するなど、説得力のあるものにしてほしいものだ。ニュースにするのなら「の声」が多数でなければ意味がいない。記者が捏造したかのような「声」では、この記事を読まされた時間を返してほしいと言いたくなる。
文章の構造は小学三年生でもかけそうなくらい陳腐だろう。いやいや小学三年生の方が読ませる文章を書くのではないか。発言を援用された木暮祐一准教授は電話で取材されて発言をいいように書き換えられて、取材文を使われているのではないか。そうであればいい迷惑だろう。記事を書いた記者にこそ、腐った卵を投げつけるべきだろう。
◆iPhone6「期待値大きかっただけに期待外れの印象拭えず」の声