必要なものは満たされたあと、欲しいものが求められるようになった。「ライフスタイル」が闊歩した時代である。右にならえから個性が芽生えはじめた。人々が欲しがるものを提供すると売れるようになった。
そして、とうとう欲しいものがなくなった。というより、売る側からすると、「どうしても欲しい」とものが少なくなり、人々が欲しいものが見えなくなったわけである。もちろん、欲しいものはあるとが、マスで捉えることができなくなったのである。
それでも売らなければならない、ということで、生まれたのがダイレクト・マーケティングの手法だろう。
客を分類すると
商品やサービスを知らない客
商品やサービスを知っている客
商品やサービスをよく知っている客
に分類できる。したがって、マーケティングの最初のステップとしては、「商品やサービスを知らない客」や「商品やサービスを知っている客」に商品やサービスをよく知って貰うになる。
「商品やサービスをよく知っている客」を分類すると、どうなるかというと、
欲しくない、必要ない
条件があえば欲しい
すぐに欲しい
という具合に分けることができる。「欲しくない、必要ない」人は無視すればよい。「すぐに欲しい」人は商品を知って貰えば買って貰えるので、販売上はあまり考慮しなくてもよい。ここでは知って貰うためのスキルが必要になる。USPがその最大のツールだろう。効果的なUSPがあれば知らない人に、より詳しく知って貰えるので売上はアップする。
売上をさらにアップするには「条件があえば欲しい」という客を、「すぐに欲しい」という客に変換することが重要になる。つまり、迷っている人に買って貰うのである。その手法として
特典を付ける
値上げする
顧客の声を掲載する
などの手法があるわけだ。まあしかし考えてみると、本当に欲しいかどうかわからない人の背中を押して買わせるわけだから、悪徳商法とは紙一重かもしれない。ただし現実には「迷い客」を「いますぐ客」にしなければ、買って貰えないものは少なくないのである。
悪徳商法であれば、売り切り御免の売り逃げで済むが、実際のビジネスは、リピートオーダーが重要なので、商品と価格に納得して貰えなければ、ビジネスを継続することは難しいだろう。
ダイレクト・マーケティングの本はたくさんあるが、全体を見渡してわかりやすく書いてある本は少ない。『究極のマーケティングプラン』は、ここ数年日本で取り上げられてきたマーケティング手法がことごとく網羅されている。というより、この本がネタ本なのである。
ただ、いまこの本を読んで思うのは、モノを売るのはけっこう大変だ、ということだ。緻密にマーケティングプランを組み上げていかないと結果につながらない。適切なメッセージをお腹の空かせた見込み客に伝え、買って貰うために商品やサービスの価値を圧倒的な証拠を提示する。そして、キャンペーンを張って背中を押すのである。
まるでジグソーパズルを組み立てるように、マーケティングを展開しなければならないのである。ひとつ間違えれば、売上は大きく変わってしまうことになる。しかし逆に言うと、企業のスケールメリットが生かすことができず、後発であってもトップに立つことが可能になるのだ。
印刷業界でも、ネット受注が増え、ダイレクト・マーケティングは必須になるに違いない。受注単価が低くなれば、訪問営業することはできないからだ。
ダイレクト・マーケティングは関係ない
と考えている印刷会社は早晩、印刷業から撤退することになるだろう。訪問営業して売り込みをかける手法は、確実に効率的ではないから、いずれ採算が取れなくなる。受注確率の高い見込み客を探してから訪問する方法を編み出さないといけないに違いない。
受注確率の高い見込み客を探す方法も、ダイレクト・マーケティングの手法になる。訪問せず、モーションをかけ、モーションをかけ、モーションをかけ、そしてクローズする。売り込まないでも、売れる方法を身につける必要があるだろう。
もし印刷業から撤退して、別のビジネスをはじめるとしても、それは逃げられない。ダイレクト・マーケティングのノウハウは、どの分野で勝負するにしても、知っておく必要はあるのだ。
というわけで、神田昌典監訳で、ダン・ケネディ本が3冊発行されています。これからの営業・販売の「常識」に取り残されないように、是非目を通していただきたいですね。
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