DRMなしの方が音楽ビジネスは成り立つのだ



 Appleのスティーブ・ジョブズの呼びかけに応えて、EMIがiTunes Storeでダウンロード販売されている楽曲のコピープロテクト、DRMを解除して販売することにした。DRMフリーのプレミアム版のダウンロード価格は、少し高いようだが、音質もよく売れ行きもいいらしい。

 コピーが自由になると、著作権が侵害されると考えると人は少なからずいる。DRMフリーになると音楽ビジネスが成り立たないという懸念は拭いきれないようだ。 しかし、一方では、いたちごっこになるコピープロテクト技術には、将来的な不安もあり、楽曲の著作権を保護しつつ、音楽ビジネスが生き残っていく道を模索せざるを得ないのもまた現実である。懸念を抱きつつも、AppleとEMIの取り組みを固唾を呑んで注視するしかないということだろう。



 過去の歴史からいうと、プロテクトフリーになったからといって、著作権が一方的に侵害され、ビジネスが成り立たないわけではない。パソコンを巡る問題多くには、プロテクトを巡る議論が絶えなかったからである。

 もっとも大きなものは、MicrosoftのBASICだろう。当時は技術的にOSのインストールにプロテクトを施すことは無理(たぶん)だったが、コピーフリーだったため、MicrosoftのBASICは当然のようにコピーされて利用されていた。だから、IBMがパソコンを発売したときに、デファクト・スタンダードになっていた、MicrosoftのBASICを採用したのである。

 コピーフリーであったことが、Microsoftを帝国に導いたのである。もし、あのときBASICにインストールプロテクトがあったなら、Microsoftは存在しなかったかもしれないのである。



 楽曲の販売において懸念されるのは

DRMなしで音楽ビジネスは成り立つのか

ということであろう。ただ、時代の流れの中で、著作権のプロテクト(DRM)は過渡的なものにすぎない。おそらく、コピーを自由にすることで、楽曲の露出度は高くなり、ビジネスも拡大するからである。DRMフリーは、

音楽ビジネスのWeb2.0的に展開

をもたらす可能性がある。つまり、コピーフリーの楽曲がコピーが、ある意味では草の根的なプロモーションにつながる可能性を孕んであるのである。そうなると、楽曲のPVをYouTubeにアップすることは当然になってくるに違いない。

 もちろん音楽ビジネスも変わってくる。ダウンロードで楽曲を配信して、それによって、別の製品やサービスを提供し利益を生む構造に変わってくるに違いない。EMIでも

高音質でDRMフリーの楽曲は、コピー防止機能付きで音質の劣る楽曲よりも
10倍よく売れる


だそうである。となると、ダウンロートできない別バージョンをCDにしたり、有料でコンサートやトーク番組を配信するようなサービスも増えてくるだろう。

 音楽業界のスタンスとしては、楽曲を販売して、その販売代の利ざやをもらうのがわかりやすく、簡単でいいわけだが、いまどき、ものだけを売るサービスは成り立たない。フリーで提供するフロントと、利益を生み出すバックエンドを使い分けたビジネス構造に展開していくしかないに違いない。



◆国内の著作権団体、アップル・EMIらの「DRMフリー」サービスを牽制[CNET]
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20346627,00.htm

◆EMIのDRM撤廃で音楽業界に広がる波紋[ITmedia]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/04/news076.html

◆EMI Group、iTunes StoreでDRMフリーの楽曲を販売へ[CNET]
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20346281,00.htm


◆著作権についてはこちらも御覧下さい
デファクト・スタンダードの真実
http://www.incunabula.co.jp/dtp-s/defect_standard/




posted by 上高地 仁 at 20:16 | Comment(0) | TrackBack(1) | 著作権で燃える
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DRMフリーの音楽をiTunes Storeに!
Excerpt: EMIが提供するDRMフリーの楽曲が5月からiTunesで購入可能に! 2007年4月2日、カリフォルニア州クパティーノ、アップルは本日、EMI Musicのデジタルミュージックカタログ..
Weblog: iPodくろくんの奮戦記
Tracked: 2007-04-08 10:59





Illustrator使いこなしの鉄則

  鉄則01:異なるバージョンでは開かない
  鉄則02:最新版にアップデートしよう 8.0〜9.0
  鉄則03:最新版にアップデートしよう 10.0〜CS2
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  鉄則05:貼り込まれた画像のカラーはどうなる?
  鉄則06:透明効果の分割・統合をベクトル側で変換する
  鉄則07:透明分割とスポットカラーの怪しい関係
  鉄則08:ラスタライズ効果設定は「200 ppi」に設定する
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  鉄則11:PDF保存ではフチククリ文字はアウトライン化しない
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  鉄則15:RGBのEPS画像はそのままCMYKに変換される
  鉄則16:PDF保存ではICCプロファイルは埋め込まない
  鉄則17:Illustrator 10までは画像はダウンサンプルしない
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  番外編2:インテリジェンスなカラー変換
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カラーマネージメント出力

  カラーマネージメント出力の不思議1〜InDesign編〜
  カラーマネージメント出力の不思議2〜Illustrator編〜
  カラーマネージメント出力の不思議3〜解答編〜

Vistaフォント、混乱の真犯人は誰だ

  その1:包摂はどこまで本当か
  その2:解き放たれた文字数の制限
  その3:JISの包摂に明確な基準はあるか
  その4:使われている文字は字形であっても拒否するのは非現実的だ
  その5:ユニコードは字形を追加するためにあるのだ

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