2013年09月07日

「ドコモに乗り換えれば、iPhone本体代の残債引き受けます」?!

 とうとうドコモがiPhoneを導入するという。まだこの時点では正式な発表はないが、9月6日にドコモの株価が上がって始まっているところを見るとほぼ間違いなさそうだ。もっともドコモがiPhoneを売ったからといってドコモの業績がすぐさま上伸するわけではない。ドコモはiPhoneを扱わなければ、今後の業績向上は見込めないと考えている投資家が多いのだろう。

 東京株式市場では一時3.8%の上昇があったというから、大口の買いがあったと想像できる。インサイダーまがいの内部情報が流れた可能性はある(インサイダーでなくても間接的に知ることは可能)。その後は売りに押されて下がっているが、もしガセでなかったら、月曜日もさらに上がることは確実とみてよい。6月くらいからじりじり上がってきているので底は固そうだ。

  7月末にドコモの2013年第1四半期の決算が発表された。ただしその数値だけでは比較できないので過去四年分の同じ期の決算も調べてみた。こんな感じ。

2010年第1四半期 売上1兆0892億 営業利益2405億 純利益1422億
2011年第1四半期 売上1兆0473億 営業利益2677億 純利益1587億
2012年第1四半期 売上1兆0723億 営業利益2626億 純利益1643億
2013年第1四半期 売上1兆1135億 営業利益2474億 純利益1580億


 四年間で見ると売上も利益も「微増」といえるが、業績としては横ばいなのである。成長産業である携帯電話キャリアとしてはお粗末な数字といわれても仕方がない。ドコモ株の63.32%はNTTが持ち、NTTの株のうち政府もしくは地方自治体が最大株主で32.63%をシェアしている。国民としては利益を上げてより多く納税してほしいところだ。

 携帯電話は日本では許認可事業であり、実質3社しかない寡占状態となっている。過剰な競争もない。本体代が実質タダであっても、それでも営業利益は20%以上はある。自動車メーカーにすれば、為替リスクも少なくカントリーリスクもない携帯電話サービスは天国のようなマーケットだろう。たとえばソフトバンクの同じ期の業績は

2012年第1四半期 売上7642億 営業利益1758億 純利益  947億
2013年第1四半期 売上8810億 営業利益3910億 純利益2382億


となっている。ドコモよりも儲かっている。この期はガンホーの営業利益が1500億円があるので、それを除けば昨年とほぼ同じレベル。通信という原価の見えないサービスで、個人から年間7〜10万円も売り上げるわけだから、儲かるのは当然だろう。

 この3〜4年ドコモはiPhoneの扱いを拒否してきた。経営陣のいい分は

ドコモのやり方でやる

ということだった。この3〜4年はドコモのやり方で結果を出そうと努力した。それはおそらくいままでの成功体験から導きだしたやり方だろう。しかし横ばいを維持するのが精一杯だった。ドコモはすべての手札を使ったが、もう手持ちの札が切れてしまったのではないか。

 iPhoneを扱ったら業績は向上するのかというのとそれは難しい。ドコモの売上が横ばいなのは、現行のやり方では期待される結果を望めないということだろう。そうなると大きく方向転換するしか選択肢はなさそうである。

 ソフトバンクだけでなくKDDIが業績を伸ばしてきたことも大きいに違いない。KDDI(au)の第1四半期は

2011年第1四半期 売上  8650億 営業利益1401億 純利益719億
2012年第1四半期 売上  8661億 営業利益  942億 純利益512億
2013年第1四半期 売上1兆0024億 営業利益1819億 純利益682億


となっていて、2012年はiPhoneを扱い始めたすぐあとで売上はほとんど動いておらず、利益も設備投資を先行させたために減っている。しかし2013年は売上と経常利益は大きく伸びている。iPhone 5効果だといえなくはない(売上の増加分の半分以上はJ:COM連結によるもの)。

 ソフトバンクやKDDIとドコモの大きな違いは大きなM&Aを行って成果を出せていないこともあるかもしれない。しかし逆に言うと、ドコモはそういう判断ができなかったということでもある。ドコモが総務省の管轄下にある限り、経営陣がしたくても難しいという一面もあるかもしれない。何れにしても経営は結果(数字)がすべてなので、ドコモはKDDIにもソフトバンクにも数字で捕捉されており、このままだと業界一位の座を明け渡すしかない。確実にお尻に火がついているのである。

 携帯電話がガラパゴスといわれて久しいが、ドコモがiPhoneを扱うことで日本のガラパゴス度はかなり小さくなる(Androidもガラパゴス化して売られている)。携帯電話業界は護送船団で官僚とキャリア、メーカーが手を組んで高価な端末を作り続けてきた。2008年に黒船iPhoneがやってきて、日本製の高価で高性能端末は最新鋭のクールな端末ではなくなった

 iPhoneの登場以来、5年をかけて護送船団方式は崩壊した。2011年にauが、2013年にドコモが参入して、ガラパゴス解体のソフトランディングを行ったといえそうだ。総務省か経済産業省あたりにソフトランディングのシナリオを書いた官僚がいそうだが、果たしてどうなのだろうか。もしそうだとすると、ドコモは本当はもっと早くiPhoneを扱いたかったが、国の意向に縛られていた可能性もある。

 ドコモがiPhoneを扱えば

iPhoneを持たねば人にあらず


というような品のない匂いを漂わせた記事が溢れそうである。とはいえ、日本がいままで以上にiPhone大国になることは間違いなさそう。

 ドコモには「ドコモに乗り換えれば、iPhone本体代の残債引き受けます」などという思い切ったプロモーションに期待したい。残債1年以内なら、本体代を割り引いてさらに現行の残債分も割り引くというサービスである。純減から純増に転換させるにはそのくらいのプロモーションは当然ではないだろうか。

 


posted by 上高地 仁 at 19:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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