Illustrator CS6でマルチプルアートボードはかわったのか



 Illustrator CS4以降を使うと、マルチプルアートボードでマルチページドキュメントが作成できる。マルチページドキュメントInDesignで作成するほうが簡単だが、商業印刷物で扱うような会社案内やパンプレットでページ数の少ないものはIllustratorでも十分だ。Illustrator CS5ではアートボードパネルが追加されたが、CS6でもマルチプルアートボードの機能強化は行われたのであろうか。

  だいぶまえのことで恐縮だが、業界の新聞紙の連載記事を書かせていただいたことがあった。ある程度まとまったので、連載終了後に小冊子にしてもらった。文庫本程度の大ききさで100ページくらいであった。中身はほとんども文字で多少図版が入る程度だ。しかしこの小冊子、すべてIllustratorで作成されていた。Illustrator 5.5Jの時代だったと思うが、QuarkXPressは使われていなかった。

 QuarkXPressはドングルがついていたので、レイアウトソフトとしてのインストール数は少なく、プロテクトのなかったIllustratorは巷にあふれていた。印刷関係ではQuarkXPressは導入されていても、たいていは大貼りソフトとして使われていた。IllustratorのEPSを張り込んで出力するためのものである。

 たとえ100ページあっても、使い慣れたIllustratorを使おうとするのは大阪だからかもしれないが、実際にはページ物を頻繁に作成することはあまりなく、ページレイアウトソフトを覚えるよりも、勝手知ったるIllustratorで作成する方が簡単というわけだろう。版面設計をきっちりしたレイアウトではページレイアウトソフトの方に部があるが、直感的にレイアウトする場合はIllustratorで完結させるほうが簡単だからである。版面設計が必要なものでも無理矢理Illustratorを使う方が現実的には早いということなのである。

 マルチプルアートボードはページ数のすくないパンフレットで、直感的にレイアウトしたい場合は、たいへん便利である。なんだかんだいっても、InDesignでは表現できない描画機能はたくさんあるし、それらをIllustratorで作成してInDesignに張り込むのは面倒な場合も少なくない。というわけで、Illustratorのマルチプルアートボードを使ってマルチページPDFを作成する方法を解説した書籍を作成し、実際に作成したテンプレートもバンドルした。それが

Illustratorマルチプルアートボード使いこなしツールキット

である。マルチプルアートボードの効率的な使い方を解説するだけでなく、そのまま使えるテンプレートを用意したので、ツールキットとした。テンプレートは、100ページのiPhone用とiPad用、そしてA4の中綴じサイズで32ページまでのテンプレートを作成した。中綴じのテンプレートは実際の作成方法をYouTubeにアップしたのでご覧いただきたい。こつがわかればアートボードを自由に作成できる。



 マルチプルアートボードが使いにくいのは、アートボードの作成が直感的ではないからである。Illustratorユーザーのための機能であれば、アートボードも直感的に作成し扱いやすいものにしなければならない。ところがアートボードはそうではない。オブジェクトのように自由にカスタマイズできないのである。

Illustrator_bookimage_100.gif アートボードの移動は、アートボードツールのオプションで座標値を指定する必要がある。しかもサイズ指定値に変更する場合も同じで、オプションを開くかコントロールパネルから指定する必要がある。そうではなく、変形パネルで指定するように、アートボードエリアは指定できるべきである。つまり移動の基準点は9つにし、同じバネルでサイズも指定できる。さらに、オブジェクトと同じように、コーナーが吸着したり、移動ツールで移動できるようにするべきではないか。

 『Illustratorマルチプルアートボード使いこなしツールキット』ではアートボードをレイアウトするにあたり、先に矩形ボックスでアートボードを作成し、アートボードに変換した。しかしこの方法は先割り付けするのと同じなので、Illustratorユーザーには向かないだろう。また、オブジェクトから作成したアートボードをオブジェクトに戻す設定も欲しいところだ。ガイドをオブジェクトに戻すようにである。

 さらにいえば、アートボード整列機能も欲しいところだ。アートボードの整列やアートボードの分布である。再配置では不十分であろう。もちろんオブジェクトの同期して移動させる。もっとも現在は複数のアートボードにまたがるオブジェクトはオブジェクトの移動を同期させても予想外の結果になることがあるが、そのあたりも踏まえた機能強化を期待したい。

 Illustrator CS6ではその辺りの機能強化はあるのかと思って触ってみたが、CS5からの機能強化は全く見当たらなかった。残念である。Adobe Creative Cloudになれば、自在にアップデートできるはずであり、次のバージョンを待たずに実装されることを期待したいものだ。

 さてIllustrator CS6ではマルチプルアートボード関係の機能強化は行われていない。CS5でも追加されたのはアートボードパネルと再配置、アートボード名の指定、すべてのアートボードにペーストくらいしかない。それ以外はCS4にも用意されている。

 マチルプルアートボードはページレイアウトためにあるわけではなく、同じプロジェクトのドキュメントを1つにまとめておける機能である。最初はバラバラで作成しても最後は1つのドキュメントに集約させておく。そうすれば過去のファイルにアクセスしやすくなり、ファイルのバージョン管理も簡単になる。同じオブジェクトのデータの最新バージョンは1つになるからである。

 そうなると、もう一つ欲しいのは、データを別のドキュメントにコピーするときだろう。レイヤーは保持してコピーで決めるが、アートボード領域もあわせてペーストするという機能があってもいいはずだ。アートボード領域ごとコピーできれば、複数のドキュメントであっても、1つのファイルでアートボードで管理することが可能になるのではないだろうか。

 いまはまだ発展途上のマルチアートボード機能だが、バージョンを重ねるごとに機能が強化されることを期待したい。ちなみにCS6でマチルプルアートボードを使うメリットは、Adobe Mercury Performance System での

64 ビットネイティブサポート


だといえそうだ。高速処理と大容量メモリに対応し、マルチプルアートボードでデータサイズを肥大化させても、快適に動作しそうである。

 ちなみにIllustratorで作成したデータをInDesignに貼り込む場合でも、同じInDesignドキュメントに貼り込むデータは1つのIllustratorドキュメントに集約しておく方が扱いやすい。PDF保存して、指定したPDFのページ番号で貼り込めばいいからである。


◆Illustratorマルチプルアートボード使いこなしツールキット
http://bit.ly/Lj8gDh

◆Illustrator CS6使いこなし動画チュートリアル:中綴テンプレートを作る
http://youtu.be/WWehcPv8JFA

◆中綴テンプレートを作るで使用したサンプルファイルはこちら
http://bit.ly/KD15mA

◆Illustrator CS4以降でするiPhoneと中綴じマルチページPDF作成テンプレートの
 お申込はこちらから[無料です]
 http://bit.ly/JihyAn
*iPhone用が案内されますが、両方ダウンロードいただけます。

 



posted by 上高地 仁 at 11:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | Illustrator CS6
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