Illustratorのマルチプルアートボードは、アートボードにアートボード番号が振られている。PDFに書き出すときPDFはマルチページになり、ページはアートボード番号の順番に構成される。同じサイズのアートボードを並べてアートボード順にページを作成していけばよい。
アートボードを作成するときのコツは、アートボードの間隔をきりのいい数値にしておくことだ。iPhone用のPDFではサイズは
横 49.86 mm
縦 74.80 mm
となる。したがって、隣のアートボードの送り幅を「100 mm」にしておく。そうすれば、オブジェクトを別のアートボードの同じ位置にコピーするとき、きりのいい数値で移動させることができる。たとえば「アートボード13」から「アートボード27」にオブジェクトをコピーするとき、左に「400 mm」下に「100 mm」移動コピーすればよい。CS5からは選択したオブジェクトをすべてのアートボードにペーストする機能があるが、移動値がわかりやすければ移動コピーで十分可能だろう。

*100のアートボードを「100 mm」送りで配置したアートボード。オブジェクトの移動コピーが簡単に行える。
本文はアートボード内に本文用のテキストボックスを作成し、すべてのアートボードに配置する。それらをアートボードの順番にスレッドテキストにしていけばよい。最初のアートボードにテキストをペーストすると、テキストが切れるまで貼り込むことができる。スレッドを切断するときはスレッドのボックスをクリックすればよい。
本文テキストは当然ながら段落スタイルを適用しておく。そうすれば、フォントやテキストサイズの変更は簡単にできる。テキストはスレッドを切断してもいいが後からの変更することを考えると、すへてのテキストは連続させておき、前面に回り込みオブジェクトを配置してページ位置を調整しておく。そうすれば、トピックごとでページが増減しても対応可能だ。ただしテキストボックス内のテキストが増えるとIllustratorの動作は緩慢になる。
Illustratorにはノンブルをアートボードに追加する機能はない。基本的にそれぞれのページで手動で貼り込むしかないが、タブ機能を使って一度にすべてのページにノンブルをペーストすることも可能だ。
アートボードにノンブル用テキストボックスを作成し、アートボード番号順にテキストボックスをスレッドする。左右に合わせたテキストボックスを作成すると、ノンブル位置はタブで指定することが可能になる。スレッド化したテキストを選択し、ノンブルテキストをペーストすればよい。スレッドから次のスレッドへのタブで移動できる。

*本文テキストとノンブルと柱をスレッドにしておく。本文やノンブル、柱はすべてレイヤーを別にしておく。
ノンブルテキストはテキストエディタで作成する。行番号とタブ記号が表示されるエディタを使う。ここではJeditを使っているが、フリーのエディタでもよい。Macintosh版ではmiがフリーで利用できる。アートボード番号に対応した行にタブとノンブルを入力する。入力方法は
タブ(行頭)、ノンブル、タブ(行末)、タブ(次のスレッド)
と入力する。最後にテキスト内の改行コードを削除して、Illustratorでスレッドテキストをすべて選択しペーストするだけでよい。Jeditではツールメニューの[改行/プリフィックスの削除]で一括削除できる。miではツールメニューの[選択範囲から改行コードを取り除く]を指定する。柱テキストも同じ方法で貼り込むことができる。タブ位置は段落スタイルにしておけば後から一括して変更可能だ。不要な部分はあとからIllustrator上で削除するほうが簡単だろう。

↓

*タブで送ると次のスレッドテキストに移動する。アートボード一つにスレッドテキストを一つにする方が扱いやすい。
最後にプレビューを確認するために、最上位のレイヤーにアートボードサイズで複合パスを作成しておくと、InDesignのようにプレビュー表示することができる。アートボードサイズの矩形オブジェクトとそれより一回り大きいオブジェクトを作成して複合パスにする。レイヤーのプリントをオフにし、デフォルトは非表示にしておけばよい。
というわけで、Illustrator CS4のiPhoneサイズのテンプレートを用意した。ここには100個のアートボードが配置されていて、アートボード上のテキストはスレッド化してある。また、実際にIllustratorで「印刷営業、明日はどっちだ」の一部を組んでみた。Illustratorなので文字数が多いと動作は快適とはいえないが、Illustratorだけでページ物のPDFが作成可能だ。

*テキストを表示しないときは、白いボックスを配置してテキストを回り込ませておく。ノンブルや柱は後からテキストを削除するほうがわかりやすい。
ページ数が多い場合は、書き出したPDFを結合する。Acrobatですると簡単だが、PDFのページをマージするフリーのソフトも探せばある。ただし、しおりはAcrobatで作成するしかなさそうだ。WindowsではPDFにしおりを追加するユーティリティソフトはあるようだが、Macintoshでは見つからなかった。
サンプルテンプレートは無地のiPhoneサイズ100アートボードのものと、開業前のノンブルと柱のテキストサンプル。そしてこのテンプレートで作成した「印刷営業、明日はどっちだ」のサンプルファイルである。書き出したPDFも同梱した。下記の中綴じテンプレートと同じページからダウンロードできる。すでにお申込みいただいた方は、タウンロードページからダウンロードできる。お申込みいただいていない方は下記からお申込みいだたくと、ダウンロードページをご案内する。

*ダウンロードいただけるサンプルファイルの一覧。
◆Illustratorマルチプルアートボード使いこなしツールキット
http://bit.ly/Lj8gDh
◆Illustrator CS6使いこなし動画チュートリアル:中綴テンプレートを作る
http://youtu.be/WWehcPv8JFA
◆中綴テンプレートを作るで使用したサンプルファイルはこちら
http://bit.ly/KD15mA
◆Illustrator CS4以降でするiPhoneと中綴じマルチページPDF作成テンプレートの
お申込はこちらから[無料です]
http://bit.ly/JihyAn
*iPhone用が案内されますが、両方ダウンロードいただけます。
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