2012年05月15日

マルチプルアートボードでするマルチページテンプレート無料ダウンロードのご案内

 IllustratorはCS4からマルチプルアートボードという機能が用意された。Adobeが2005年にMacromediaを買収したときFreeHandもAdobeの製品となり、ユーザーの多くは、Illustratorのマルチページ機能搭載に期待した。FreeHandはIllustratorの対抗馬であり、マルチページ機能を持っていたからである。

  しかし、Illustratorにはマルチページ機能は搭載されずユーザーの多くは肩すかしを食らった。AdobeにはInDesignがあり、Illustratorにマルチページ機能を持たせる必要はなかった。さらにIllustratorにマルチページ機能を搭載すると、InDesignユーザーを増加にストップがかかるからだろう。要するにページ物を作成するのであれば、InDesignを使ってくれというAdobeのメッセージであった。

 ページ物を作成する場合は、InDesignは便利になった。多くの機能が搭載されるようになったが、逆に言うと簡便な操作性を失い、スキルの点ではハードルが高くなった。Illustratorはマニュアルを読まなくても直感的に扱える部分が少なくないがInDesignではそうはいかない。InDesignは使う以前に必要な知識やノウハウも少なくない。

 もちろんページ物を作成するには、InDesignを使いこなすべきかもしれない。その意見は正論のように聞こえるが、それは印刷会社や制作会社の実態を知らない空論に過ぎない。はっきり言ってIllustratorとInDesignの両方をらくらくと扱えるユーザーはそれほど多くはないのである。

 毎日のようにInDesignを起動するのであれば、InDesignの操作を覚えることは難しくないが、たまにページ物を作成する程度であれば、InDesignを覚える方がデメリットも大きい。書籍のようにテキスト主体のものであればInDesignは便利だが、レイアウトが複雑になると必ずしもそうではない。ページの数だけマスターページが必要なレイアウトであれば、Illustratorですべて作成してしまう方が簡単なことがある。

 レイアウトが定型でページ数が多い場合は専業のバッチ処理システムを使うのが現実的で、完全な定型化がしにくくページ数がそれほどではない場合にはInDesignが便利なのである。しかしページレイアウトが全く定型化できないような場合やページ物であってもページ数が少ない場合は、はっきり言ってIllustratorですべて作成するほうがよい。そしてInDesignに貼り込めばよい。

 しかしその場合でも、Illustratorだけで完結できればその方が面倒がなくてよいのではないか。InDesignではできなくてIllustratorで可能な描画機能はたくさんある。IllustratorドキュメントをInDesignに貼り込むのは面倒である。そこで登場したのがIllustrator CS4から搭載された

マルチプルアートボード

である。というのは嘘。マルチプルアートボードは、スウォッチやグラフィックスタイル、シンボルなどを複数のドキュメントで共有してそれぞれ個別に書き出すための機能である。マルチページを作成するための機能ではなかった。

 しかし、そうはいっても、同じサイズのアートボードを作成してPDFとして書き出せば、IllustratorからでもマルチページのPDFは作成できる。レイアウトが定型でなければ、Illustratorですべて作成することはまったく難しくない。100ページまでしか作成できないが、100ページ以上はAcrobatがあればPDFを挿入すれば対応できるだろう。

 とおもってCS4が発売されたときに、マルチプルアートボードでマルチページを作成する方法を何らかの形にしようと思って、いろいろとテンプレートを作成していたが、完成にはいたらなかった。それはやはりCS4の普及率がそれほど高いと思えなかったからである。普及していないバージョンの新機能を取り上げても、見込みがなさそうだったのでマルチプルアートボードを使ったマルチページPDF作成と面付けの機能は埃をかぶることになった。

 Illustrator CS6がリリースされ、Illustratorバージョンシェアの分布図が変わりそうになっている。Adobe Creative Cloudで、AdobeはAdobe製品のセールスを始めたのである。セールスというのは

あなたAdobe Creative Cloud買いますか、どうしますか

という選択を期限をつけて行うことである。CS3がリリースしたときも同様にアップグレードポリシーを3世代前までとして、なかなかアップグレードしないユーザーの喉元にあいくちを突きつけた(そんな下品ことはないか)。ユーザーはアップグレードの可否を迫られたのである。実際CS3にアップグレードしたユーザーは多かったと聞く。

 今回は既存ユーザーに初年と割引サービスを付けてセールスを行う。初年度でも月に三千円というのは驚きの価格であり、おそらく今回のセールスは成功するだろう。うまくいけば、Adobeはパッケージの販売で売上げを左右されずに、サブスクリプションで安定した経営を望めるようになる。

 ということを考えていたら、Adobe Creative Cloudが普及すれば、Illustratorの最新バージョンユーザーのシェアは高くなると予想した。もっともCS4以降の新しい機能で「これは」と思ったのはマルチプルアートボードの機能ぐらいしか思いつかない。CS5以降はどちらかといえば、Illustratorはデザイナーやイラストレーターが希求する描画機能を拡張しているが、そのあたりにはだれでも使いこなせる機能だと思えないからだ。

 日本のDTPはPhotoshopとIllustratorとQuarkXPressから始まった。画像はPhotoshopで作成しそれをIllustratorに貼り込む。そしてIllustratorからEPSを書き出してQuarkXPressに割り付けして出力した。QuarkXPressはDTPソフトであるより、大貼りソフトとして使われることが大半で、実際のレイアウトデータはIllustratorで作成されていた。少なくとも商業印刷ではそうだった。

 マルチプルアートボードを使えば、QuarkXPressやInDesignに貼り込み直す必要はない。Illustratorのままドキュメントを保存し必要に応じて書き出せばよい。CS3からはじめてCS6にシフトするユーザーも少なくないだろう。重ねていうが、そのときもっとも実用的な機能はマルチプルアートボードであるということだ。

 というわけで、だいぶ前に作成したものだが、Illustrator CS4以降のユーザーのために、マルチプルアートボードでA4のページ物をそのまま作成するテンプレートを提供することにした。テンプレートの構成は

A4_04横組テンプレート
A4_08横組テンプレート
A4_08横組中綴面付け


となっていて、A4サイズで8ページの場合はPDFに書き出して、もう一度Illustratorに貼り込むとプリンタから出力できるテンプレートも用意した。Illustratorで作成するマルチプルアートボードの可能性を確認していただきたい。


◆Illustratorマルチプルアートボード使いこなしツールキット
http://bit.ly/Lj8gDh

◆Illustrator CS6使いこなし動画チュートリアル:中綴テンプレートを作る
http://youtu.be/WWehcPv8JFA

◆中綴テンプレートを作るで使用したサンプルファイルはこちら
http://bit.ly/KD15mA

◆Illustrator CS4以降でするiPhoneと中綴じマルチページPDF作成テンプレートの
 お申込はこちらから[無料です]
 http://bit.ly/JihyAn
*iPhone用が案内されますが、両方ダウンロードいただけます。

 
 


posted by 上高地 仁 at 18:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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