印刷会社、M&Aで怒濤の再編は始まるのか



 日本でもM&Aが増えているらしい。2012年3月30日の朝日新聞の記事を読むと、対前年比30%増だという。企業買収が増えているのは、手っ取り早く成長するには、買収する方が早いからである。かつては合併や買収は敵対的に捉えられ忌避されていたが、日本でも成長手段の1つとして抵抗感は小さくなっているのだろう。

  印刷会社でもこれから、M&Aはさらに増加しそうだ。いままでのM&Aは補完的な意味合いで子会社を合併することが多かったが、これからは企業再編の手法としてM&Aが使われるに違いない。日本の印刷会社は多すぎるので、さらに淘汰される可能性は決して小さくない

 印刷業界は社歴の古い会社が多く、経営者も二代目三代目は珍しくない。「売家と唐様で書く三代目」ということわざがあるように、三代目くらいになるとハングリー精神に欠け、行動力が鈍り脇が甘くなることが多くなる。思い描いていた未来図に影が差すと経営に行き詰まり打つ手を見失ってしまう。

 経営に行き詰まっても資産はあるので立ち直ることは可能だろう。立ち直るにはリストラするしかない。リストラを行うもっともわかりやすい理由の1つに「M&A」があると思えばよい。外部の力を借りないとリストラができないことはよくある。

 印刷業界の社員一人当たりの平均売上げは約二千万円程度。社員百人の会社の売上げは二〇億円くらいになる。M&Aで買収されると、確実に利益ができるようにリストラを行う。売上げが落ちても経費が下がれば利益は生まれる。経費の多くは人件費だから、人件費を削るしかない。

 社員を五〇人にしても売上げが半分になることはない。利益のないもしくは利益の薄い顧客を切ればよいからだ。優良な得意先をたくさん持っていれば確実に儲かる会社に戻ることになる。倒産したら百人の職が失われるが、M&Aすれば五〇人ですむかもしれない。冷たい方程式を成立させるためには、M&Aは一つの選択肢である。

 またコンサルタントを入れて、コンサルを悪者にしてリストラを断行するという手もある。そっちのやり方は経営者も同罪なので、面の皮は厚くなければならない。経営が傾いているのは経営者の責任なのに、落ち度のない社員を首にするのはよほどの冷血漢でなければ難しいだろう。

 日本で増えているM&Aには、業界再編のM&Aと成長戦略のM&Aの両方があるだろう。印刷業界では当面、業界再編のためのM&Aが広がっていきそうでる。少なくとも成長するためにM&Aする会社は印刷会社というくくりに入れることは難しそうだ(大日本印刷とか凸版印刷とかはすでに印刷会社ではないと思うけどね)。

 それではM&Aの対象にもならない中小零細は、どうすればいいのだろうか。資産のない中小零細の印刷会社は小回りを効かして、独自のニッチ路線を探すしかない。背負っている荷物が小さい分だけ、中小零細の方に分があるかもしない。成功すれば会社をそのままM&Aする西海岸方式も夢見ることができる。



◆日本企業のM&A、前年比30%増の13.7兆円[朝日新聞]
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201203300102.html

◆日本M&Aセンター「印刷業界の経営者様向け “業界再編”勝ち残リ戦略セミナー」開催決定![ドリームニュース]
http://bit.ly/HbLUVP

◆大村印刷を子会社化/小松印刷、収益基盤強化図る[四国新聞社]
http://bit.ly/wao7yd


*印刷会社向けにM&Aのセミナーがあるということは、そういう需要があるということだろう。M&Aに対する罪悪感が払拭さされば、印刷会社を手放したい経営者はけっこう多いかも。

 




posted by 上高地 仁 at 10:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 印刷ビジネス閻魔帳
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