
しかしiBooks Authorは違う。できたてのソフトで機能は少ない。Pagesの機能を絞り込んでiPad専用にしたと思ってもそれほど遠くはないのではないか。もっともPagesは使っていないので、それは憶測に過ぎないが、ツールバーのアイコンとかは同じなので、あながち間違いではあるまい。
iBooks Authorのもっとも画期的なところは、やはりHTML5ということになりそうだが、電子書籍を作成するためには、それ以前に必要になるスキルがある。それはレイアウトを思った通りに仕上げるということである。iBooks Authorでできることとできないことを知っていないと、簡単にブックを作成することはできない。
いやテンプレートを開いて、そのまま画像を差し替え、テキストをペーストするだけであれば、作成は極めて簡単である。レイアウトの自由度はあまりないので、チャプタとセクションの表題ページをレイアウトすれば、あとはテキストのみで、その上に画像やウィジェットを乗せていくだけである。
そういう意味ではiBooks Authorのブック作成の基本はHTMLと同じだろう。チャプタやセクションがHTMLの1ファイルだと考えれば理解しやすい。HTMLで作成したものを、iPadに最適化して読ませるためのツールなのである。実際の書き出しもXHTMLで、表示方法がiBooks 2で指定されているわけである。
EPUBは「船頭多くして船…」みたいなところもあって規格化では議論百出する。Dashcodeのアプリをそのままファイルフォーマットにぶち込むというようなことはまず考えられない。iPad専用にすれば、規格に縛られなくておいしいところだけ摘めるということになる。iPadのシェアの高さがあってこそできることだ。
このテキストはiBooks Authorを触っていてわかりにくかった点を中心にまとめてある。わかりにくいと感じたのは個人的な視点ではあるが、ヘルプには書かれていなことは検証して調べた。画像を貼り込むにしても
貼り込みできるフォーマットは
クリッピングマスクの処理は
背景のない透明を持った画像は
テキストの回り込みは
画像をウィンドウで表示するには
横向きで配置した画像を縦向きで表示するには
とかヘルプにはっきり書かれていないことがけっこうある。できるだけ実際のデータを作成してテキストの中に組み込んだ。
テキストにしてもハイパーリンクするとフォントが変わってしまう「問題」もあった。基本テンプレートで本文フォントをヒラギノ明朝で指定する。テキストを選択してハイパーリンクを指定すると、ハイパーリンクテキストはなんとGerogiaに変わってしまうのである。
ハイパーリンクすると、文字スタイルの「ハイパーリンク」が適用されるようになっているが、文字スタイルなのにフォント指定が含まれているのである。iBooks Authorの文字スタイルはフォント属性をすべて指定可能だが、通常はフォントはそのままにすべきものである。
フォントがGerogiaに変更されると、iBooks Author上では明朝で表示するが、文字送りが変わってしまう。さらにiPadではGerogiaはヒラギノ角ゴで表示されてしまうのだ。他のテンプレートにもいくつか同じような指定があった。こういうことは使ってみないとわからない。その辺りも配慮して、日本語版のテンプレートを作成した。ライブラリのマイテンプレートフォルダに移動するだけで、テンプレートセレクタに表示可能だ。
テキストが完成したので、お申込みいただいた方には、先行タウンロードページをご案内することにした。まだ、検証ファイルの整理などがあるので、プリント版とCDの発送はもう少し後になるが、PDFで先に読んでいただきたいと思い、アップロードした。
ついでに、デフォルトテンプレートの段落スタイルを日本語フォントに差し換えたテンプレートファイルもダウンロードできるようにした。無償でダウンロードいただけるのは「基本」だけで、テキストのバンドル版は6種類すべて含まれている。したがってそのままiBooks Authorで日本語のブックをすぐに作成してしていただけるはずである。

*日本語フォントに差し換えたテンプレート。ブックタイトルもわかりやすく日本語にした。カスタマイズしたテンプレートは、表紙のサムネールがそのまま表示される。
『これだけでできるiBooks Author作成ガイドブック』をお申込みいただいた方には、ダウンロードページをメールでご案内している。もしお申込みいただいてご連絡が届いていない場合は、ご連絡いただきたい。
◆書籍のご案内:iBooks Author作成ガイドブック入門編
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