2012年02月09日

iBooks Authorの入門書を書く

 iBooks Authorがリリースされて、個人が電子書籍を自由に出版できる道すじが出来上がりつつある。教科書作成ツールとして案内されているが、出版するものは教科書である必要はまったくない。iBooks Authorは無料でダウンロードでき、インタラクティブな電子書籍のオーサリングも至って容易。iBooks Authorでの電子書籍は間違いなく増えていくだろう。作成したコンテンツを無償で配信する場合には一切制限はない。デジタルコンテンツの配信では欠かすことのできないツールになることは間違いない。

  とはいえ、iBooks Authorの使うにはデメリットもある。最初にデメリットを押さえておきたい

・Mac OS X 10.7.2以降のMacintoshが必要
無料のiBooks Authorを使うためには、Macintoshが必要だ。OSは10.7.2以降。つまり最新版のOSが必要になる。MacintoshにLionをインストールするには、インテルMacが必要で、CPUはCore 2 Duo以降となる。Power PCだけでなく、Core Duoもアウトである。

・iPadが必要
iBooks Authorで作成した電子書籍をプレビューするには実機が必要。MacintoshにiPadを接続しなければ、プレビューすることができない。たとえば、日本語フォントに欧文フォントを適用するとiBooks Authorでは明朝で表示されるが、iPadではゴシック表示になる。iPadでのチェックは不可欠である。

・iPhoneやiPod touchでは表示できない

iBooks Authorで作成したコンテンツは、iPhoneやiPod touchのiBooks 2にはインストールできない。インストールできるのは、iPadのiOS5のiBooks 2のみ。iTunes経由でもiPhoneやiPod touchは不可。

・有償では自由に販売できない
iBooks Authorが無償のツールであるために、作成した電子書籍の販売には制限がある。有償で販売する場合は、必ずApp Storeを経由しなければならない。現在のところマージンは不明だが、アプリと同じ30%の手数料が目安だろうか。なお、無償での配布ではメールで送信したり、ウェブサイトからダウンロードしてiBooks 2に取り込むことができる。

・縦組みとルビに未対応
現在のバージョンでは日本語入力は可能だが、縦組みは不可。またルビを挿入する設定も用意されていない。これらはいずれ対応するものなのか、今後も対応する予定がないのかは不明。iBooks 2もEPUB3に対応し縦組みは表示できるようになったが、縦組みのページめくりには対応していない。

・日本のiBookstoreが用意されていない

iBooks Authorで作成したコンテンツは、iBookstoreでしか販売できないが、日本版のiBookstoreが用意されていない。ただし、アメリカのiBookstoreに日本語の本を登録できるかどうかはわからない。



 現在言われているデメリットはこれくらいか。しかし最新版のMacintoshを使い、iPad向けにコンテンツを販売したいのであれば、iBooks Authorはとても便利だ。インタラクティブなコンテンツに仕上げることは簡単で、それにも増して、テキストはほとんどペーストするだけでよい。テキストはセクション単位で貼り込むようになっており、テキストレイアウトはシンプルである。InDesignのようにマスターページを複雑に作成できないが、シンプルな機能しかないことで、使いやすくなっている。

 また、レイアウトは横向きで行うが、縦向きへの変更は自動で行う。二三の注意点はあるが、縦向きでは横向きとは違ったレイアウトをあまり考える必要はない。もっとも横置きではテキストはリフローせず、縦置きのときだけリフローするようになっている。

 iBooks Authorでのレイアウトは難しくないが、使い込むには多少はわかりにくいこともある。たとえば、横置きのオブジェクトを縦置きに反映するには、インスペクタでの指定が必要だ。ツールバーで指定することと、インスペクタで指定する部分を把握しておかないと作業は簡単には行えない。

 しかしiPadの普及度合いを考えると、iBooks Authorだけであっても、デジタルコンテンツの販売には不可欠なマーケットになることは間違いない。何時の時点で、縦組みやルビに対応するのかはわかりにくい点もあるが、対応したときからはじめても遅いのではないか。それまでに運用してノウハウを構築したいものである。

 有料販売の対応は遅くなるにしても、無償版の配信には制限がない。インタラクティブな機能をもった無償版コテンンツをビジネスツールとして活用することは可能だ。無償版の配信ではAppleの審査は不要だからである。

 というわけで、iBooks Authorの入門用の作成マニュアルを作成しようかと思っているのだ。もっとも、それほど多くの機能はないのでいまのところ応用編の予定はない。


◆iBooks Authorで扱える画像はどうなっているのか
http://bit.ly/ylQtK5

◆iBooks Authorのcssで強制的にルビを打つことはできるか
http://bit.ly/xXz8zd

◆iBooks AuthorはInDesignとどう違うのか その2テキストスタイル
http://bit.ly/wp9PGP

◆iBooks Authorのアクセシビリティで音声を再生させる
http://bit.ly/w7Swy4

◆iBooks Authorでテキストインデントをcssでカスタマイズする
http://bit.ly/AqWTO2

◆iBooks AuthorはInDesignとどう違うのか その1レイアウト
http://bit.ly/y3cADj



 
ラベル:iBooks Author
posted by 上高地 仁 at 15:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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