2011年11月10日

Master Collectionをメンバーシップ型モデルにシフトしたAdobeには後がない

 Adobeがとうとう、Creative Suiteに月額制を導入した。経営を安定させるためには、パッケージ販売から定額課金に変更する方が確実なので、遅かれ早かれそうなると思っていたが、とうとう現実のものとなった。定期的なアップデートを行う必要があるだけでなく、アップデート頻度を高めることで、スピーディにマーケットニーズに対応する必要があるからだ。

  Master Collectionを対象としたメンバーシップ型モデルは

Adobe Creative Cloudメンバーシップ


と呼ばれる。2012年上半期から、個人向けには月額49.99米ドル、日本では月額5,000円(税別)を予定しているという。年間契約になる。要するに日本では年間63,000円ということ。簡単に言うとMaster Collectionの年間使用料が、MORISAWA PASSPORTより少し高いという値段設定だ。Adobe Digital Publishing Suiteも含まれるという。

 次回のCS6のアップデートでCreative Cloudの適用を受けるには、パッケージもしくはライセンスのCS5またはCS5.5が必要となる。Creative Suiteのアップデートキャンペーンは来年の3月までなので、春先には予定通りCS6がリリースされそうだ。

 さらにアップグレードポリシーを過去3主要バージョンから、主要1バージョンに変更した。つまり、パッケージやライセンスでCS6にアップデートするには、CS5もしくはCS5.5が必要になる。実質的な値上げ戦略といってよい。

 実際にはCreative Cloudに含まれるすべての機能が必要なユーザーは少なく、必要とするアプリケーションだけを使うのであれば、今まで通り主要1バージョンでパッケージやライセンスをアップデートする方が安くつく。複数のアプリケーションを縦横無尽に使いたいユーザーにとっては、Creative Cloudは安くつくだろう。

 DTPユーザーとしては、Creative Suite Design部分だけというダウンサイジングした仕様でAdobe Creative Cloudメンバーシップを作ってもらい、使用料をうんと引き下げて貰う方がいいのではないか。普及するまでは、廉価版があってもいいかもしれない。

 モバイルでのFlashを完全に封じ込められたAdobeにとって、いまは切所なのかもしれない。リストラを断行し、販売方法を見直した。アプリケーションソフト販売というビジネスモデルは、完全に成熟化してしまった。既存のソフトの大半をセットとしてまとめ、定額制で安売りしてしまうと、そのあとで選択できる手法はそれほど多くない。

 Creative Cloudメンバーシップの普及は、ユーザーを儲けさせる機能をどこまで用意できるかにかかっている。役に立たない機能を追加することではなく、より実用的でビジネスに直結する機能こそが最新版に必要だろう。そして安売りするだけでなく、役に立つ機能をどのようにして告知していくのかという、ドブ板のようなマーケティング手法が必要かもしれない。少なくとも日本では。


◆Adobe Creative Cloud
http://www.adobe.com/jp/joc/products/creativecloud.html

 


posted by 上高地 仁 at 19:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | ニュース&トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、失礼します。
「Adobe Creative Cloudに要望を出すとしたら」みたいな記事を作ったのでよろしければグチとか提案とかあったら是非。
http://memogoto.blog.fc2.com/blog-entry-30.html
要望リストだけのページは
http://memogoto.blog.fc2.com/blog-entry-31.html

”ユーザーを儲けさせる機能をどこまで用意できるかにかかっている。”というのは完全に目からウロコでした。
クラウドの活用でできるビジネスを効率よく行なうために無くてはならなくなるような必須サービスの提案…。レベルが高すぎて考えただけで頭がパニックです(・¬・)
Posted by メモゴト・プレス at 2011年12月01日 20:51
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