4月にSakuttoBookで作成したアプリが「スパム」としてリジェクトされた。リジェクトされるときの審査は早く、「In Review」の翌日には「App Submission Feedback」が送られてきた。経験的には審査結果が早い場合は、リジェクトされる場合が多い。
リジェクト理由はレビューガイドラインにある「2.20」で記されている「Developers “spamming”」である。具体的には「many versions of similar apps」をいい、たくさんの同じようなアプリは却下されるという。わかりにくいのは、「similar apps」という文字の意味である。「similar」とは
類似した、同様の、同種の
という意味がある。しかしここでいう「similar」が、具体的にどの部分が類似していると示しているのか全くわからない。そこで、全く別のアプリのようにして再申請してみた。
別アプリであるかのようにするためにいくつかの操作を行った。主な変更は
プロジェクト名の変更
iPadにも対応
ページめくりをスライドからカールアクションに変更
である。ファイル名を変更し、見た目も変更した。一見しただけでは、同じコードを使っているという確証は得られないはすである。もちろんプ配布用プロビジョニングプロファイルも名前を変えて作成し直してある。
SakuttoBookで作成すると、iPhoneで表示されるアプリ名は変更できてもXcodeのプロジェクト名はそのままになる。そこでプロジェクト名を変更した。単に名称変更でプロジェクト名を変更しても、一部のファイル名に「SakuttoBook」の文字が残ってしまうので、それらも検索して変更した。
最初に申請したアプリのパッケージ
2回目のアプリのパッケージ
*アプリのパッケージ内から「SakuttoBook」のテキストを一掃した。
にもかかわらず、結果はリジェクトであった。リジェクト理由も同じである。「Developers “spamming”」だったのだ。ただし、前回と少し違っている部分もあった。それはリジェクトアプリに表示されるResolution Centerでの表記にあった。
最初にリジェクトされたとき、リジェクトの解決策としてAppleは
たとえば、アプリ内課金として下記のアプリを統合するのが適切です
とのたまうが、そのあとにアプリ内課金として統合するアプリが下記にリストされる。そこにはいままで申請したすべてのブックアプリがリストされていた。これらはすべてプロジェクト名が「SakuttoBook」のままのものである。
ところが、今回は違うのだ。アプリ内課金として統合するようにリストされたアプリは申請した
Acrobat 8 Proサクサク出力のツボ
だけなのである。つまり、プロジェクト名を変更したことと見た目を変更したことで、いままで申請したアプリを「similar apps」としてリストできなくなっているのである。同じツールで作成しているという確証はなかったので、リストできなかったのではないか。
とはいえ、それでもリジェクトはリジェクトである。どうやら「similar apps」は、アプリのプロジェクト名やコードで判断しているのではなく、見た目の特徴で判断していると考えられる。つまり「similar apps」とは
同じような特徴を持つアプリ
という意味なのである。そのため見た目の特徴で判断すると、作成ツールと関係なく、ブックアプリということだけでリジェクトされてしまうことになる。コンテンツがPDFのソリッドのあろうと、リフローするリキッドであろうと、ブックアプリは「similar apps」と判断される可能性がある。
コードが違っていても、中味がPDFだから「similar apps」として判定されたのではないかという意見もあるだろう。しかし、実際にはリフローでもツールを変更しても、「similar apps」としてリジェクトされることがあるのである。
となると、やはりリジェクトされずにアプリを通す対策としては
using In App Purchase
しかない。しかしそれで一度却下されたアプリをアプリ内課金アプリとして申請したとき、審査が通るのかどうかはやってみなければわからない。Resolution Centerに書いてあるから大丈夫というのは、あまりに無責任すぎるではないか。
そこでSakuttoBookをアプリ内課金対応にすることを急務の課題とした。サーバ型は大変なので、組み込み型で対応することにした。組み込み型であれば、いままでのアプリに複数アプリを組み込む機能と、アプリ内課金サーバにアクセスする仕組みを実装するだけで完結するからである。
最初のリジェクトは4月27日
二回目のリジェクトは5月12日
で、三回目は6月19日に二回目のアプリを再申請する形で行った。リジェクトアプリが通るかどうかは、リジェクトされたアプリのバイナリデータを削除して新しく作成したアプリ内課金アプリをアップロードするしかないのである。
アプリ内課金する場合は、最低でも2つのアプリが必要になる。今回はリジェクトされたアプリをそのまま申請できるのかということが目的なので、SakuttoBook内のPDFを2つに分割し、2つのアプリにした。前半と後半を別々に買っていただく必要がある。ユーザーの立場ではアプリ内課金は面倒である。
後半のコンテンツだけを読みたいときでも、前半のコンテンツを買ってもらう必要があるが、部分的に立ち読み(つまり無料にする)にし、残りの大部分を有料にするのはあまり賛成できない。というのは、App Storeで有料アプリを探すユーザーと、無料アプリをダウンロードするユーザーはほとんど重ならないと考えられるからである。タダでダウンロードしたユーザーは、ブックアプリにお金をかけないと考えられるからである。
再申請だったので、その日のうちに「In Review」となったが、1週間たっても返事は来なかった。いままで「In Review」から「Ready for Sale」までは2〜4日程度だったのだ。審査が長いというのは、リジェクトされる理由が見つからないということではないかと、前向きに考えるしかない。
返事は十日後の6月29日であった。朝の5時に
Processing for App Store
というメールがとどいたのである。というわけで、リジェクトされたブックアプリは、アプリ内課金アプリにすることで審査を通過したのである。
◆Acrobat 8 Proサクサク出力のツボ 前編
http://itunes.apple.com/jp/app/id438401907?mt=8
*後編はアプリ内課金でお申し込みいただくとご覧いただけます。
次期バージョンでアプリ内課金に対応するSakuttoBookはこちらから
◆これだけでできるiPhone電子書籍アプリをローコストで作成する方法
SakuttoBook(サクッとブック)のご案内
↓ ↓
http://www.incunabula.co.jp/book/Sakutto/
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