2011年04月19日

ホリエモンアプリが売れて池上彰アプリが売れない理由 #denshi

 先月からApp Storeに過去に書いたものをアプリ化していくつかのコンテンツを登録した。たいして売れているわけではないが、コツコツとは売れる。App Storeはコンテンツさえあれば十分個人でも参入できるマーケットであると確信した。アメリカがAmazonのDTPで個人マーケットを確立したとすれば、日本のApp Storeこそがその代わりになるものだろう。

  いまのApp Storeは競争相手が少ないので、ランキングの順位をあげるのは難しくない。1日で1桁の冊数を売れば、App Storeのブックカテゴリー300位以内には確実にリストされる。大手の出版社がアプリ化を嫌ってアプリとして電子書籍を配信しないからである。

 いまブックランキングでもっとも多いのは「カイジ」である。おそらく300位内の30%ちかくは「カイジ」で占められているのだ。少なくとも92巻あり、何冊かはフリーダウンロードの巻もあるので、およそ90巻くらいが有料で販売されている。販売価格は115円か230円となる。

 販売価格を単純に平均してAppleの手数料を差し引けば、1冊あたりの印税は120円くらいだろうか。仮に平均ダウンロード数を控えめにみて5冊とすると月間では

90巻×120円×5冊×30日=1,620,000円

というペイメントになる。年間でいうと、二千万円程度の利益となる(平均5冊ということはなく、もっと売れてるはず)。いくら名の通った漫画であっても既に単行本化されているもののシリーズで、毎月の粗利としてはけっしてまずくない金額だろう。しかも連載開始は1996年である。

 漫画も過当競争の中、売れる漫画は書籍の形態を多角化してきた。App Storeで売る場合は、単価が低くても印刷コストも在庫コストも不要なので、出版社にとってはApp Storeで販売するのは大きなメリットがあるはずだが、大手は自前の配信プラットフォーム作りにいそしんでいで、目の前の金脈からは目を背けている

 残念ながら、噂では「カイジ」のような連作ものの漫画は審査が通りにくくなっているとも聞くが、本当のところはわからない。有料の漫画アプリは今年の最初にアップされた「無頼伝 涯 下」しかなく、そのあとはランキングされている漫画はないので、却下されているのかもしれない。

 漫画アプリを増やすと、ランキングが漫画一色になってしまうが、App Storeにとっては漫画は儲け口のはずであり、もし連作漫画ということで却下されているのであれば、惜しい話である。方法は簡単で漫画アプリのカテゴリーを別にすればいいのである。そうして漫画アプリはそこでランキングする。漫画カテゴリーにすざましい数の漫画アプリがアップされれば、ブックオフの屋台骨は軋むかもしれない。

 漫画は別にして、App Storeに儲けるヒントが「カイジ」にあるのではないか。つまり、連作にするということだ。同じ著者のコンテンツをたくさん発行していると、ついで買い効果が期待できる。それを実践しているが、ホリエモンだろう。本日の現時点で200位までにランキングされてるホリエモン関係のアプリは

なんかへんだよね 138位 600円
君がオヤジになる前に 60位 800円
堀江流 成功法則 夢をかなえる「打ち出の小槌」 162位 700円
拝金 94位 1,000円


である。以前はもっと多くの書籍がランキングされていたし順位も高かったが、一人のライターがランキング200位の2%を占めているのである。しかも単価は高め。昔の書籍をアプリにして配信しているだけで、ホリエモンはアプリだけで月にかなり稼いでいるはずである。

 ホリエモンのアプリが売れている理由は、書店の店頭で売れているからではない。彼がメルマガを発行しているからである。メルマガの購読者はオプトインでありロイヤリティは極めて高い。精読率もけっして低くない。毎週メルマガが配信されれば、読者と著者の親近感は確実に狭くなっていく。

 記事を書いてさらりと関連した自著を紹介すると、確実にアプリは売れるだろう。ホリエモンは電子書籍の本命はメルマガだといっているが、有料のメルマガが成立する人はごくわずかである。だれもがメルマガ配信でそれなりの収入を得ることは難しいが、書籍化していれば継続的に収入が得られる。1冊売れれば、他の書籍も売れる

 さらにメルマガを定期的に配信するのは、かなりつらい。新聞小説よりは楽かもしれないが、けっこう労力がいるはずだ。有料でもメルマガだけだと手取りは少ないのではないか。そこでメルマガのバックエンドとして電子書籍の意味が生まれてくる。メルマガでプッシュすれば、高いアプリでも売れる率は高くなる。

電子書籍はメルマガが本命ではなく
メルマガのプッシュが決め手


なのである。

 この間までブックアプリでトップだったのは、

「かけ算」思考ですべてが変わった

というブックアプリだが、この本は20万部の鮒谷周史メルマガ「平成進化論」を書籍にしたものである。一気にトップに上り詰めた理由は、価格が115円ということもあるが、20万部のメルマガ発行という実績があればこそである。20万部のメルマガを持っていれば、1万部程度のダウンロードは赤子の手をひねる程度ではないか。

 池上彰アプリが紙の書籍より売れないのは、彼がメルマガというリーチを持っていないからである。もし池上彰が無料のメルマガを配信し、書店にある書籍をすべてiPhoneアプリ化すれば、ランキングのトップを占有できるかもしれない。テレビでは知名度や好感度はアップしても、セールスはできない。セールスするのはメルマガが一番なのである。

 電子書籍を売るには、プッシュが不可欠である。リストを集めメルマガもしくはメールを配信してセールスしかない。もう書店の店頭には並ばないのである。廉価な電子書籍を売るには、見込み客を低コストで集めてセールスするのである。セールスしない電子書籍は決して売れ続けることはないのである。


◆堀江貴文氏「メールマガジンこそ次世代の電子書籍の本命」
http://getnews.jp/archives/107923


◆印刷会社のためのApp Storeで稼ぐ「B to C」ビジネス構築講座
 【2011年4月27日・東京開催】
http://bit.ly/if69bl


◆これだけでできるiPhone電子書籍アプリをローコストで作る方法
 SakuttoBook(サクッとブック)
  ↓  ↓
http://www.incunabula.co.jp/book/Sakutto/


◆18,900円でできるiPhoneブックアプリ作成サービス
 SakuttoPubli(サクッとパブリ)はこちら
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http://www.incunabula.co.jp/book/Sakutto/publi.html

 
posted by 上高地 仁 at 12:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | Apple/Macintosh/iPhone | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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