2011年03月07日

くまがい印刷、SakuttoBookでiPhoneアプリを出版 #denshi

 SakuttoBookのユーザーの方からiPhoneアプリ登録申請が通過したというご案内をいただいた。アプリを作成されたのは秋田県にある株式会社くまがい印刷さん。iPhoneアプリ化された書籍は「こずえちゃん」と「ゴンになったニャン太」の2冊だ。

  SakuttoBookを使った第一号は、制作されているシナジー・ソフトウエアの岡野さんの「銭形平次捕物控(一)(上)」となっている。かつて時代劇ドラマの黄金時代を築いた「銭形平次捕物控」の原作本を電子書籍化したものだ。この「銭形平次」はもちろんテキストデータは存在しないので、新しく底本からテキストを作成し直している。ほぼ同時期にiPhone版以外にAndroidアプリでも発行されている。

 「銭形平次捕物控(一)(上)」に掲載されているのは3つの短編。自宅の庭でくつろぐ平次のもとに駆け込んできたガラッ八。ガラッ八が連れてきたのは十八九の美しい娘で、足袋のままで駆け込んできた娘の着物には血糊が飛び散っていた。(買った遺書)。元旦の年始回りをすませた平次は、海賊橋のたもとでうろんな料理屋を見つけるとガラッ八とともに飲み直すことに。平次の勘は何を嗅ぎ付けたのか、店の番頭に手拭をねだりだした(平次屠蘇機嫌)。物を置いていった不思議な泥棒のあとに殺された河内屋の跡取り息子の謎を追う「碁敵」を収録している。

 さて、くまがい印刷の2つのiPhoneアプリは、もともと同社の出版部門である「くまがい書房」から発行されていたものだ。印刷した本をベースにiPhoneアプリ化している。「こずえちゃん」は先に英訳化されて「Kozue-chanとしてアマゾンのキンドルストアにも並んでいる。「こずえちゃん」も「ゴンになったニャン太」もApp Storeで「こずえ」「ゴン」で検索できる。

 「こずえちゃん」は三歳の女の子の感じた不思議な世界をテーマにしたもの。四季折々の事象に触れながら、女の子が成長していく様子を描いている。「ゴンになったニャン太」は野良猫になったゴンが、誕生日が同じ女の子に巡り会うまでの絵本をアプリ化したもの。

110307-03.PNG 
110307-04.PNG



110307-01.PNG 
110307-02.PNG


 もともと地方の印刷会社では、ローカルなテーマの出版物や自費出版を多く扱っているところが少なくない。こうした出版物の多くは取り次ぎを経由して書店で販売することはなかなか難しいが、iPhoneアプリであれば、日本中に配信することができる。もちろん配信してもプロモーションは必要だが、プロモーションのノウハウは、大手の出版社でも確固としたノウハウを積み上げているわけではないので、はなから勝負にならないということはない。いや、むしろ全国区でない出版物でも、プロモーション次第で認知度を高めること可能ではないか。

 先頭を切って電子書籍に取り組んでいるのは社長の熊谷正司氏。アップルの審査プロセスは煩雑だからこそ差別化につながるという意見を持って取り組んでいるという。確かにiPhoneアプリが簡単に作成できても、申請のためのハードルは決して低くない。

 iOS Developer Programもお金を払えばすむわけではなく、登録には書類の提出が必要になる。以前よりは簡単になったが、個人では住民票、法人では登記簿が必要だ。さらに有料のアプリを発行するには、iTunes Connectでの登録作業が必要になる。

 作成したアプリを申請する場合の登録方法もなかなか手が込み入ってる。

アプリIDの登録とプロビジョニングプロファイルの作成
販売用アプリのビルド
アプリ情報の登録
ピルドしたアプリのアップロード


が必要であり、それぞれ登録先や作成ツールが異なるためだ。慣れればそれほど難しくないが、サイトがすべて英文であることも手伝って、最初は面食らうほどの手順の多さに辟易する。手順の多さはiPhoneアプリをがっちりとプロテクトするためである。こうした複雑な手順を踏むことで、安心してiPhoneアプリをリリースすることができる。

 最近でもiPhoneアプリはリジェクト(却下)についていろいろと噂されるが、実際のところ、公序良俗に反しない限り、電子書籍アプリだらからといって却下されることはあまりないのではないか。却下されているのは、アップルに利益をもたらせない無料アプリであり、審査を通したいのであれば、有料アプリにすればいいはずだ。

 実際に「こずえちゃん」も「ゴンになったニャン太」も動画や音声がある訳ではなく、書籍データから作成されたPDFを貼り込んでアプリ化しているだけなのである。「こずえちゃん」は書籍のオリジナルサイズはA5、「ゴンになったニャン太」はA4のようなので、iPhoneでは文字小さめだが、SakuttoBookがiPadに対応すれば、より使いやすいiOSアプリになりそうである。

 正直言うと、A5サイズのドキュメントをPDFにしてそのままiPhoneアプリにするのは「無理がある」と思い込んでいたが、絵本のようなレイアウトであれば、iPhoneでも十分読むことはできるのではないか。「こずえちゃん」と「ゴンになったニャン太」のような書籍では、テキストサイズよりも、ページの全体像を見せることに価値のある場合もあると痛感した。テキストサイズが小さくてもである。ぜひ、実物をご覧いただきたい。

 たとえ印刷用のPDFであっても、iPhoneアプリにすれば、話題性は高くなる。作者・著者がいろいろな機会で告知することが可能になる。ブログやSNSだけではない。オフラインでのセミナーやパーティ、飲み会でも話題にすることが可能だ。紙の書籍を販売する場合はいろいろと心理的なハードルはあるが、iPhoneアプリだと、その場ですぐにダウンロードしていただくことも可能だ。

 まだまだ電子書籍化されたコンテンツは少ない。プラットフォームは出来上がりつつある。まずはiPhoneアプリで勝負して、売れれば別のプラットフォーム展開していけばよい。iPhoneアプリのリリースはハードルが高そうだが、だからこそ今がチャンスである。


◆iPhone/Androidアプリ「銭形平次捕物控(一)上」を販売開始しました[イーパブス・ドット・ジェーピー出版]
http://publishing.epubs.jp/2011/epublishing/zenigataheiji-1a.html


◆株式会社くまがい印刷[電子書籍のダウンロードサイト]
http://www.kumagai-p.co.jp/kumagaip/densisyoseki.html


◆これだけでできるiPhone電子書籍アプリをローコストで作る方法
 SakuttoBook(サクッとブック)
  ↓  ↓
http://www.incunabula.co.jp/book/Sakutto/


なお、「銭形平次捕物控(一)(上)」はアップデートしてRetina(レティーナ)対応バージョンになっていますが、「こずえちゃん」と「ゴンになったニャン太」は現時点では、Retina対応以前のバージョンになっています。SakuttoBookの実例を是非、ご覧いただきたい。

「こずえちゃん」と「ゴンになったニャン太」もiPhone 4で高解像度対応にアップデートされました。


 


posted by 上高地 仁 at 18:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | Apple/Macintosh/iPhone | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。