SakuttoBookはPDFを貼り込んで、iPhoneアプリを作成する。ページ物をアプリにする場合、PDFであれば扱いやすいからである。画像を取り込んでアプリ化することも可能だが、PDFであれば1ファイルを取り込むだけで電子書籍アプリを作成できるのがメリットだ。
ただし画面表示するときは、PDFのままで表示してはいない。PDFは画像に変換して表示しているのだ。画像に変換するタイミングがモニタ表示するときであれば、画像の解像度は関係ない。拡大率はピンチアウトの設定できまる。SakuttoBookでは最初に指定した画像解像度で画像化したものを使うようになっている。
SakuttoBook以外のPDFベースのiPhoneアプリは似たようなもので、たいていがiPhone 3GSの
320×480 pexel
の画像を表示する。iPhone 3GSの画面解像度は163 ppiあるが、人間の目はおよそ0.1 mm程度の解像力をもっているので、もう少し解像度が高くても識別できる。したがって、倍の解像度を持つiPhone 4の
640×960 pixel
の画面と比較すると、その違いは明らかになってしまう。そこで、PDFを表示するときの解像度を「640×960 pixel」にするべく、この1ヶ月の間、さまざまな方法を取り組んでいた。
実際に作業するのは私ではなく、制作者のシナジー・ソフトウエアの岡野さんだが、作成していたただいたものを何度チェックした。シミュレータで表示し、実機でも表示して確認する。一部を直すとと別の機能が動作しなくなるもあり、試行錯誤しながら機能アップを図ってきた。やっと、目処がたったのである。
SakuttoBookの普及のためには、高解像度は避けて通ることはできない。言うまでもないが、iPhone 4の普及が進めば、「320×480 pexel」での表示だけではどうしようもないからだ。画面表示の解像度をもっと高くすることも可能かも知れないが、解像度をアップしていくと、メモリやページめくり動作への影響も懸念される。まずは、Retinaの「640×960 pixel」とした。
実際、下にあるショットが「320×480 pexel」で作成した以前のSakuttoBookをシミュレータで表示し、ピンチアウトしたもの。画面を拡大すると文字がぼけてしまう。
ピンチアウトで拡大すると、
次にあるものがPDFを画像化するときの解像度を「640×960 pixel」にしたもので、ピンチアウトで画像を拡大したものだ。柱の小さな文字は「4.5 Q(約3.2 ポイント)」で以前のバージョンでは文字のディテールが失われているが、新しいバージョンでは拡大するとアンチエイリアスは適用されているが、小さな文字でも潰れることもなく表示されている。
「640×960 pixel」より大きな解像度で表示したい場合はどうすればいいのだろうか。実はこれについては、別案を用意している。今回のアップデートには含まれていないが、大きな画像でディテールを表示したいときは、別ウィンドウで表示させる方法に取り組んでいるのだ。iPhoneでもピクセル等倍で表示し、スクロールとピンチに対応する予定だ。それができれば、iPhoneでもA4サイズのドキュメントを画像化してピクセル等倍で表示することが可能になる。
画像解像度以外にもいくつかの点で修正を加えた。というのは、PDFサイズとiPhoneのアスペクト比は必ずしも同じであるとは限らない。iPhoneでは縦と横の比率は1.5倍。A4サイズでは1.41倍になる。最初からiPhoneサイズでPDFを作成している場合はそのまま差し替えれば済むが、既存の定型サイズのドキュメントを差し替える場合は、そのままでは使えないことになる。
貼り込むPDFは左右に合わせて「640 pixel」で画像化するが天地方向は成り行きになる。空いたスペースは白場で表示させることにした。いままではグレー表示だったのである。したがって、アスペクト比が多少違っていてもPDFドキュメントの背景を白にしておけば、MS Wordから作成したPDFでも取り込むことが可能になった。
なお、前バージョンのSakuttoBookで作成したiPhoneアプリは
◆銭形平次捕物控(一)(上)[iTunesプレビュー]
http://itunes.apple.com/jp/app/id415420561?mt=8
でご覧いただくことが可能だ。
Retina(レティーナ)に対応したSakuttoBookを是非、ご覧いただきたい。ユーザーに方には、明日には改訂版をお届けする予定である。
◆これだけでできるiPhone電子書籍アプリをローコストで作る方法
SakuttoBook(サクッとブック)
↓ ↓
http://www.incunabula.co.jp/book/Sakutto/
ラベル:Retina,iPhoneアプリ
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