既存のアプリ作成ツールを使わずに独自に開発したものであることが一目でわかる。トップバーが表示されたままなるのである。トップバーが表示されたままの電子書籍アプリは珍しい。もともとiPhoneサイズは紙の用紙サイズに比較すると、縦が長いので、トップバーを表示させてもそれほと違和感はない。一般的には表示面積が狭くなるので、トップバーは表示しないことが多い。
本文のテキストはなかなか「ひどい」ものがある。まず段落のインデントはない。書籍の場合は段落の最初の行には1文字分インデント処理をするが、全くそのままである。段落の最後が行いっぱいまで文字で埋まれば、改段落されたことがわからなくなる。
さらに、すごいのは拗促音が、横組みのままであることだ。おそらくシフトJISのままの文字コードを取得し、縦組みで組んでいるからだろう。通常は縦組みで表示するときは、文字コードを変換して拗促音は縦組み用の文字を使う。拗促音の位置が縦組みと横組みで異なるからである。通常、コードの変換はアプリが処理する。句読点もシフトするが、句読点は無理やり処理したらしい。
また禁則処理もほとんど行われていない。句読点はぶら下がりになっているが、括弧類は行末も行頭も禁則処理されていないのである。行頭に閉じ括弧が表示されるのは見るのはなかなかなさそうだ。もっと強烈なのは、同じテキストが2行続くことがあることだ。これは単なるアプリのバグだろうが、そういう箇所が何カ所かあった。
組版的にはとても及第点はとれないが、カスタマレビューを読んでも、文字組みについてのクレームはほとんど見あたらない。クレームの内容は、ナポレオン・ヒルの商材は高いので要注意だというくらいだ。iPhoneアプリだとリスト取りはできないので、あとから勧誘される心配はない。
iPhoneアプリの本質はコンテンツであり、このアプリの特徴は倍速の音声である。
2倍速
2.5倍速
3倍速
4倍速
で収録された音声ファイルがあり、アプリから直接聞くことが可能だ。単なるテキストのみのiPhoneアプリは淘汰されるとしても、音声ファイルや動画ファイルを組み合わせれば当分は電子書籍アプリは生き延びることができるのではないか。
文字組みができていなくても、iPhoneアプリが売れないわけではない。やはり中身に価値があるかどうかだろう。もっとも文字組みについては、一般的な組み方に集約されていくだろうが、中身を売れるモノにしていくことこそがもっとも肝要だろう。
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