印刷業がなくなるとは思いませんが、産業規模はますます小さくなりそうです。となると、別の成長分野に参入するしかないのではないではないでしょうか。かつての紡績産業が、化学の会社になり、建材の会社になり、住宅会社になっていったように、強みをテコにして、ビジネスの重心を移していくしかなさそうです。
そうつらつらと考えていると、もっとも重心を移しやすいのは
コンテンツビジネス
ではないと思うようになりました。コンテンツを加工するのではなく、コンテンツを持つことがビジネスを飛躍させるポイントになりそうです。「持つ」というのは、管理下にあるという意味です。より多くのコンテンツを持っていれば、その中から売れるコンテンツが生まれてくるはずです。
現在のコンテンツ産業は出版社や新聞やテレビ局などのメディア持っているわけですが、彼らが自前で持っているコンテンツから最大の収益を生み出すべく頭をひねっているのかというと、そんなことはありません。業界の常識に囚われていると、飛躍した展開は望めません。テレビでも放送直後に、その番組のDVDをそのまま販売することもできるのに、どこのテレビ局もしないですね。テレビ局の意識がコマーシャルの奴隷である限り、コンテンツを中心にしてビジネスを展開するのは難しいのかもしれません。
コンテンツが売れるかどうかも重要ですが、コンテンツは価値を高くするノウハウが必要です。価値を高くすることが「プロモーション」です。プロモーションをうまくすれば、コンテンツの価値は何倍にもなるわけです。
たとえばリンゴが2つ並んでいるとします。見た目は全く同じです。どちらのリンゴに価値があるでしょうか。見た目ではわかりません。もし右側のリンゴに「糖度18度」、左側のリンゴに「糖度12度」と書かれたPOPを付けたとします。それで右側の「糖度18度」のリンゴは、左の「糖度12度」のリンゴの倍以上の価格で売れます。
「糖度18度」と「糖度12度」ではそれだけで価値の違いはわかりますが、「糖度15度」と「糖度13度」ではどうでしょうか。その場合は「糖度15度」と「糖度13度」の違いが食べたときどれほど違うのかということを伝えることができれば、やはり倍以上で販売することができるでしょう。高い価値をどのようにして伝えるのかということがコンテンツビジネスのキモとなります。
日本のコンテンツプロバイダーはあまりコンテンツの価値を高めるという点では、それほどノウハウを持っていないのではないかとよく感じます。もちろん、現在試行錯誤しつつ学びつつあるのだと思いますが、完成されるまではまだまだ時間がかかりそうです。
コンテンツビジネスといっても、さまざまなカテゴリーが考えられますが、そちらの方向に向かっていかなければ儲かりそうにありません。ただし電子書籍というのは、印刷会社にとってはたいへい取り組みやすいコンテンツビジネスでしょう。
コンテンツを握り、売るためのプロモーションを行い、売れるとなったら、さまざまなメディアに速やかに展開していくことで利益を最大化するべきではないでしょうか。印刷会社の場合は、複数のメディアに展開するのはお手の物ですから、あとは売れるコンテンツを見つけることです。できれば社内でコンテンツを抱えるべきです。
幸運の女神は後ろ髪がないといいます。幸運の女神は売れるコンテンツです。売れるコンテンツがあったから、すぐさまそれを掴み、複数のメディアへの展開を企画すべきです。電子書籍の小説が売れたら、紙の書籍も発行し、テレビ局にかけ合い、映画会社にも提案するべきです。電子書籍マーケットが混乱している今なら、印刷会社がコンテンツプロバイダーになる隙間はまだまだあります。
今からでも遅くはない、コンテンツプロバイダーを目指せ!
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