iPhone用PDFで儲ける方法



 『これだけでできるInDesignからPDFの電子書籍を作る方法』という書籍を作成した。これはもともとセミナーのテキストとして企画していたもので、やっと仕上げることができた。7月にInDesignからEPUBを書き出すというセミナーを開催した後、電子書籍用PDFの作成方法もこれからは必須になるだろうと思い、9月にEPUBセミナーに合わせて

InDesignでiPhone、iPadのiBooksのPDFをラクラク作成する方法

というセミナーも併催した。その際のテキストにする予定だった。

 id_pdf_bookimage240.gif テキストの予定だったというのは、それまでに完成する予定だったが、できなかったからである。頭の中でうまく整理できなかったからであった。

 セミナーは以前別の名前で開催したことがあった。そのセミナーは

お金の取れる配布・配信用PDFの作り方

というタイトルで、Acrobatで閲覧するためのPDFを作成しましょう。そしてそのPDFの作成費はちゃんと請求しましょうという内容のセミナーだった。モニタ閲覧用PDF作成ノウハウのセミナーであったが、ビジネスを提案するセミナーでもあった。

 当時は印刷用ファイルがPDFに移行しつつあるときで、クライアント側が印刷物を作成すると、PDFの納品を求めることが多くなってきていた。PDFが最終成果物であれば問題はないが、印刷物の見積もりしか出していないのに、PDFも要求されるのは、印刷会社、制作会社側としてはつらい。もしリピートオーダーがあったとき、他社に仕事が流れていくおそれがあるからである。

 裁判の判例では印刷物作成時の中間生成物は特記していなければ、クライアントに引き渡す必要はない。しかし、以前からたとえそうでなくても、版下や製版フィルムの引き渡しは普通のことであり、求められれば納品するしかなかった。

 PDFはファイルなので、納品時に制約を付けたPDFを納品することが可能だ。セキュリティをかけておけば、高解像度のRIPからは出力できないし、画質を落として納品することも可能だ。そのまま印刷できないようにすることは簡単なので、少し手を入れたPDFを納品することでクライアントとの関係は丸く収まる。

 さらに、クライアントがPDFが欲しいといった場合、より使いやすい、モニタ閲覧用のPDFを作成して別途見積を出すことは可能だ。印刷用と違って、モニタ閲覧用のPDFに求められる要素は異なってくる。しおりやハイパーリンク、外部ファイルリンク、マルチメディアの取り込み、インデックスファイルの埋め込みや指定などが必要になる。モニタ用のPDFを合わせて提案すれば、売り上げのアップに貢献する。

 モニタ用のPDFといっても、実際には、インターネットでダウンロードするためのPDFであることが多いだろうが、ユーザーがAcrobatでPDFを開いたときにどのように見えるのか、どういう風に誘導したいのかは、モニタ閲覧用PDFでは重要なポイントになる。

 AcrobatでのPDFの閲覧はそれほど大きなマーケットにならなかったが、ここにきてiPhoneが登場し、モバイル環境でPDFを閲覧しやすくなった。iBooksはPDFの閲覧が可能なので、iBooksがインストールされていれば、PDFはiPhoneで確実に閲覧できる。

 iPhoneがあれば、SafariでWebにアクセスして情報の取得は可能だ。しかし、検索して調べるよりも必要な情報をPDFにしてプッシュするほうがアクセスは早い。PDFを事前にダウンロードして貰えば、iBooksで開くだけになるのである。

 印刷物を作成するとき、印刷物の内容をiPhone用として配布するのであればPDFがもっとも使いやすい。レイアウトも自在だし、画像も挿入できる。作成時のポイントは簡単でiPhoneサイズの

50 mm×75 mm

で作成すればよい。レイアウトをし直す必要はあるが、すでにできあがったレイアウトをサイズを変えて作り直しても時間はそれほどかからない。

 PDFはWebサイトにおいておき、ダウンロードしてもらって、手すきの時間に閲覧して貰えばよい。そういう使い方はこれから間違いなく増える。iPhoneでなくても、Androidでも同じだろう。スマートフォン用のPDFビューワーがあれば同じように使うことができる

 電子書籍という形にこだわる必要はない。閲覧ドキュメントの配布はいまのところPDFで十分。将来は別のフォーマットの方が便利かも知れないが、現在はPDFがもっとも使いやすい。iPhone以外では閲覧しにくいというのであれば、少し大きめのサイズでリレイアウトしたものを別途用意すればよい。

 印刷会社にしても制作会社にしても、コンテンツの多様なアウトプットに対応は不可欠だ。iPhoneなどのスマートフォン用コンテンツはこれからますます増えることはあっても減ることはない。印刷会社や制作会社にとっては、iPhone用PDF作成ノウハウを身につけることは当然のことになりそうだ。

 iPhone用コンテンツが常識となるまえに、iPhone用のPDF作成をクライアントに提案しておくべきではないだろうか。数百万台のiPhoneは確実にメディアとして機能する。メディアにするには、有用な情報をPDFにして配布配信することがもっともコストがかからず、他のメディアとの連携も計りやすいPDFを使うべきだと思うのである。

 iPhone用にPDFを配信することが普及する前に、つばを付けておれば、発注は向こうからやってくる。まずは、iPhone用PDFを作成してクライアントに提案してみてはいかがだろうか。iPhone用PDFはお金の取れるPDFになるに違いない。そこにiPhoneのPDFで儲ける方法があるはずである。


 『これだけでできるInDesignからPDFの電子書籍を作る方法』はiPhone、iPad用PDFをInDesignから作成する方法をあますことろなく解説した書籍である。InDesignからの目次の作成、ハイパーリンクの作成、iPhone、iPad用のカラーマネージメントなど、iBooksやGoodReaderで閲覧するために不可欠なノウハウをまとめてある。印刷用とは異なるモニタ閲覧用PDFの作成ノウハウを是非、身につけていただきたい。



◆これだけでできるInDesignからEPUBの電子書籍を作る方法
http://www.incunabula.co.jp/book/id_epub/


◆これだけでできるInDesignからPDFの電子書籍を作る方法
http://www.incunabula.co.jp/book/id_pdf/

 
 


タグ:iPhone

posted by 上高地 仁 at 15:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&トピック
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