2010年11月04日

コンテンツ・ワークフロー実践会、始動する

 11月1日に『コンテンツ・ワークフロー実践会』の第一回目のセミナーを開催した。コンテンツ・ワークフローというタイトルにしたのは、これから重要なのはコンテンツ・ホルダーになることだからである。コンテンツを保持して、複数のメディアやファイルフォーマットに素早く展開することが、ビジネスの決め手になると思われるからだ。

  印刷業界では印刷会社であっても、デザイン事務所であっても、企画会社であっても、基本的なスタンスは同じ。基本は受注産業であるということだ。クライアントに営業して「いまそこにある仕事」を請け負うことが役目だった。逆に言うと請負仕事がそれだけ多くあり、営業活動をすることで、印刷物の製作や印刷を受注することができたのである。

 十年以上の前だと思うが、大日本印刷が自社の立ち位置を「総合情報加工業」とした位置づけたことがあった。そのころは、クライアントの情報を加工することで受注を集めることができた。「総合」とあるのは、その頃から紙の印刷だけではなく、マルチメディア的な展開が始まり、紙以外の情報にも取り組むという意味であった。

 しかし今はどうなっているのかというと、「ハイブリッド出版」というのが大日本印刷のスローガンである。つまり黒子的な加工業ではなく、表舞台に立つ「出版業」への転身をうたっているのである。クライアントの意向を汲んでビジネスを展開するのであれば、「出版」を標榜すれば、クライアントである出版社との競合は避けられない。にもかかわらず、「ハイブリッド出版」としたのは、加工するだけでなく、さらに川上に遡って「コンテンツ」を握らないと利益を生み出しにくいと判断したからではないか。

 印刷することや制作するということは、昔に比べて価値が極めて小さくなった。品質を問わなければ誰にでもできるようになったので、価値が小さくなることは避けられない。また品質を良くすることは、他社との差別化の最大要因にはならない。品質をよくしても、売値がさらに比率してアップするわけではないからだ。

 印刷通販の普及もあって、印刷物の受注価格は下がり続けていく。受注価格が下がっていけば、当然利益は薄くなる。利益を確保するためには、別の方法を模索するしかない。しかし全く別の事業に転身することは難しいので、現在の設備やスキルを活用できる方向に展開することになる。スキルやノウハウを生かした方向で利益を生むには、川上にシフトすることが現実的な選択肢である。

 印刷業がデジタル化して、多くの印刷会社は川上も取り込んで展開してきた。デザインや企画部門があることは普通になった。DTPになって川上も取り込んで展開していくことが印刷会社の生き残る道ではなかったのだろうか。企画やデザインから印刷まで請け負うことで、工程をショートカットし利益を生み出してきたのである。商業印刷においては、既に印刷会社はコンテンツ産業化してきたといっても言い過ぎではない。

 印刷会社のコンテンツ化への道はこれからますます明確になる。コンテンツを握ることが利益を生むのである。コンテンツがなぜ利益を生むのかというと、

コンテンツにはおなじものがない

ということである。コンテンツは唯一無二なので、他のものでは代替できない。だから、価格競争に巻き込まれることはない。

 もちろん、最大のネックは売れるコンテンツかどうかは売れてみないとわからない。落陽の紙価を上げるようなコンテンツを見いだすのは簡単ではないだろう。しかし、売れるとなったら、素早く展開することが利益を最大化できる方法である。印刷会社がコンテンツを握るメリットは、もし売れるコンテンツが見つかったら、すぐに複数の販売方法やメディアにコンテンツをすぐさま展開できることにある。社内に設備もノウハウもあるので、そこで躊躇する必要はないのである。

 というような思いを描いて『コンテンツ・ワークフロー実践会』のセミナーを開催した。セミナーはiPhoneで撮影して収録した。デジタル・コンテンツをマネタイズするために、セミナー内容を公開することにしたのである。電子書籍iPhoneアプリの裏側とアップルやアマゾンを使わなくても可能な少額決済の秘訣を、是非セミナー動画でご確認頂きたい。


◆デジタル・コンテンツワークフロー実践会 第一回セミナー
 電子書籍のマネタイズは少額決済で決まる
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posted by 上高地 仁 at 23:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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