出版社を中抜きして個人や企業が電子書籍を配信したい場合、DRMは気になるところだろう。配信してもコピーされまくったら、儲けに響く。中抜きしても、コストをかけずに電子書籍コンテンツを不法コピーされないようにしたいというのが人情だろう。
もしコピーされまくるような電子書籍が配信できれば、実はそこで次にステップに上がることができる。つまり、ビジネスとして成り立つ可能性が大いにあり、出版社や電子書籍のプロバイダーが放っておかないので、バックエンドを考えるのであれば、DRMは不要である。
しかし、コピーされるまくるようなコンテンツを電子書籍化できるかどうかは誰にもわからないので、とりあえず、コピーされないようにして、コツコツと課金を回収するしかない。
さて、実はアマゾンのKindleやiBooksの配信プラットフォームを使わずに、コンテンツの閲覧を制限する方法がある。といっても、DRMをかけるのではなく、ビューワーで制限する方法で、他のビューワーでは閲覧しにくくなる方法だ。
その方法とはStanzaを使う方法である。iPhoneにEPUBファイルをメールで送信する。メールに添付されたEPUBファイルを開くとどうなるだろうか。EPUBファイルをクリックすると、Stanzaが立ち上がるのである。つまりメールに添付されたEPUBファイルはStanzaにコピーされ、Stanzaで開くことができるのである。
StanzaはEPUBの読み込みはできても書き出しはできない。iTunesにコピーされたStanzaには、読み込んだファイルは含まれていないのである。したがってiTunesからEPUBファイルを取り出すことはできない。
iBooksがインストールされていると、iBooksが起動しても良さそうなのだが、iBooksは起動しないのである。一度Stanzaを削除してみたがiBooksはメールでは認識しなかった。両方入っていても、メールに添付されたEPUBを読み込むのはStanzaだけなのである。
この方法を使うと、ビューワーをStanzaに制限することで、他にコピーすることが難しくなる。iBooksのようにiTunesからコピーすることはできない。ただし、抜け道がある。それは受信したEPUBファイルを、PCのメールアドレスに転送することである。そうすると、PCのメールにある添付ファイルを取り出すと、iTunesにコピーしてiBooksで開くことができてしまう。
しかしメールのEPUBを転送すればPCでも開くというのは、誰にでもわかることではないし、面倒である。EPUBの電子書籍を販売したら、iPhone用のメールアドレスだけに送信するようにすれば、EPUBファイルをコピーしにくくなる。それでもコピーされていくようであれば、次の展開を考えればいいのではないだろうか。
◆これだけでできるInDesignからEPUBの電子書籍を作る方法
http://www.incunabula.co.jp/book/id_epub/
◆これだけでできるInDesignからPDFの電子書籍を作る方法
http://www.incunabula.co.jp/book/id_pdf/
ラベル:ePub
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stanzaはePub3に対応してませんし、メールに添付したファイルは、iOS4では直前に選んだアプリを第一候補のボタン、その下に他のアプリを選ぶボタンを表示します。MobileStudioなどのファイル保存アプリに置いておくこともできますね。