InDesign CS3からは使えるEPUBは作成できないのか



 InDesignはCS3にファイルメニューに[XHTML・Digital Editions書き出しオプション]が用意されてEPUBの書き出しに対応した。ただしこのInDesignから書き出したEPUB、Adobe Digital Editionsですら開かない。当然、StanzaやiBooksでも開かない。どうすれば、どのビューワーでも開くことのできるEPUBが作成できるだろうか。それとも、InDesign CS3からのEPUBは使えない代物なのだろうか。

  もともとInDesign CS3をずっと使っているので、CS4はインストールされているが使うことはあまりない。CS4にはプリフライト機能も追加されているので使ってみたいのが、G5マシンでは荷が重そうだ。CS4のEPUB書き出しは、かなりマシになっていて、少なくとも、Adobe Digital Editionsでは開くEPUBは作成できる。敷居はかなり低くなった。

 しかし、しかしである。電子書籍が話題になり、出版社も印刷会社も電子出版の分野に業容を広げるには、EPUB書き出しのスキルは必須ではないか。InDesignからEPUB書き出しするためには、

InDesign CS4
InDesign CS5


を使わなければならないというのは、僕は少し納得いかないのだ。CS3のユーザーは次のバージョンまでアップグレードしなくてもいいわけで、CS3でもStanzaやiBooksで「使えるEPUB」を作成したいと思うのが人情ではないだろうか。

 EPUBを編集するのはSigilというフリーソフトを使う。InDesignからのEPUBを読み込むと埋め込まれたフォントは失われてしまうが、いまのところ、使えるEPUBの編集ソフトはこれしかない。StanzaやiBooksで読むのであれば、埋め込みフォントはいまのところ不要である。

 結論から言おう。

InDesign CS3のEPUBでもSigilがあれば

StanzaやiBooksで使えるEPUBに変換可能


である。Sigilで糞詰まりになっている部分を手直しすればいいのである。

 Web上ではEPUBを編集する方法として、EPUBをZIPに変換し解凍して修正するというものがある。ただしこの方法は、編集した後そのままZIP圧縮して、拡張子をEPUBに変更しても、EPUBビューワーでは開かない。EPUBであることを宣言する

mimetype

というファイルは非圧縮でなければならず、そのままフォルダを圧縮すると、「mimetype」ファイルもZIP圧縮されてしまうかららしい。そのためには、Windowsではコマンドライン、Macintoshではターミナルを使って「mimetype」のみを非圧縮にする方法がいくつも解説されている。

 Windowsの場合は、ZIPファイルは圧縮されていても、中身を見ることができる。中身のファイルを修正したものと差し替えてやると、コマンドラインを使わなくても、ZIPファイルを編集できる。そうすると、CS3でもAdobe Digital Editionsで開くのだが、そのEPUBをMacintoshに持ってくると、Macintosh版のAdobe Digital Editionsでは開かなかった。なかなか悩ましい。

 できればコマンドラインやターミナルを使わなくても、アプリを操作するだけで

InDesign CS3のEPUBをiPhoneのStanzaやiBooksで読める


ものにできないのかと僕はいろいろ試してきた。Webにある情報も参考になるが、最終的にはいろいろ試してEPUBを作成して、それぞれのビューワーで開いてみるしかない。

 たとえば、Stanzaには行間を調整する設定が用意されていて、ビューワー側で行間や段落間のアキをコントロールできる。しかしiBooksにはそういう設定はない。行間はEPUB内部の情報に依存するである。そうすると、行間が詰まったまま表示されることがある。それをせめて1.5倍にするには、どうすればいいかと考え、思いついたことを試してEPUBを編集しビューワーで開いてみるしかない。

 あるいは表紙画像も、Stanzaでは表紙としてうまく収まる画像も、iBooksで読むと、2ページ分として認識することがある。つまり、2ページ目が白紙で表示されるのである。画像が大きいので2ページ目に少しはみ出すのだろう。そうすると画像のサイズを変更したサンプルをいくつも用意してiBooksで開いてみるしかない。そうして適正なサイズを探すのである。なかなか面倒くさい。

 InDesignでEPUBを作成するメリットは、大きく言って2つあると思う。

印刷用データを流用できる
一部を修正するだけで完成できる


ということだと僕は思う。電子書籍がブームになっても、すべての書籍が電子書籍だけになるということは当分ない。おそらく両刀使いになる。紙の本も電子書籍も併存する。そうすると、効率的に制作するためには、紙の本のデータをそのままEPUBに使いたいということになる。InDesignではそれが可能なのである。

 EPUBは仕様にしたがって作成すれば、Sigilだけで作成することができる。テキストにタグ付けすればよいし、ややこしいのはCSSくらいだろう。InDesignから書き出せば、基本的な部分は自動生成してくれるし、CSSも段落スタイルの設定をある程度取り込んで書き出してくれる。CS3では無理だが、CS4以降ではInDesignの目次はEPUBの目次にできる。最初から作成するより至って便利である。

 InDesignで書き出してSigilでポイントだけ編集するスキルがあれば、電子書籍は簡単にできてしまう。InDesignのユーザーであれば、段落スタイルのどの部分がEPUBにどのような形で反映され、どういう風に編集すればいいのかということがわかればいいのである。

 DTPユーザーが電子書籍を作成するのは至って簡単である。Sigilの編集方法をすこし覚えればいいのである。Sigilを使いこなすのは当たり前の時代になりそうだ。Sigilがあれば、InDesignの段落スタイルや文字スタイルを反映したEPUBが作成できる。ちなみにiBooksでは、段落スタイルだけでなく、文字スタイルで指定したカラーは反映して表示できるのである。


◆【MacOS Xのみ】新規にInDesignで電子書籍データ(ePub形式)を作成する場合(2)[InDesignで電子書籍データを作成する]
http://www.openspc2.org/eBook/InDesign/basic/0002/index.html


◆第14回 [iPad発売記念]EPUBフォーマットの電子書籍をつくる![読むウェブ 本とインタラクション]
http://gihyo.jp/design/serial/01/digital-book/0014?page=6



◆これだけでできるInDesignからEPUBの電子書籍を作る方法
http://www.incunabula.co.jp/book/id_epub/


◆これだけでできるInDesignからPDFの電子書籍を作る方法
http://www.incunabula.co.jp/book/id_pdf/

 

 


タグ:ePub

posted by 上高地 仁 at 11:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | InDesignとEPUB
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