2010年05月29日

Creative Suite 5でアドビストアはさらに誘惑される

 Creative Suite5の発売が開始された。奇しくもiPadの日本発売日と重なった。Adobeのアプリケーションがスイーツ化されて、バージョンアップは4回目を迎える。時間がたつのは早いもので、CSの発売日は2004年の1月、それから数えると6年4ヶ月が経過した。

  もともとアドビがアプリケーションをパッケージ化したのは、Adobe Design Collection(Adobe Web Collection)からである。Adobe Design Collectionは2001年に発売されているが、もともとはドイツ法人の社長だったジェシー・ヤングがアプリケーションのパッケージ化を始めたと聞いた覚えがある。ジェシー・ヤングはその後日本にやってきて日本法人の社長になるが、Adobe Design Collectionがリリースされる前の1999年に日本法人社長を退任している。

 かつてのAdobe製品は、既存の流通ルートしかなかった。一次卸は2つか3つしかなくて、その少ない一次卸からさらに卸を経由して、ディーラーや量販店に供給されていた。しかし、Adobe Design Collectionが販売された頃から、セールスに陰りが見え始めたのだろうか。マーケットが成熟したために、CollectionとかSuiteとかの「抱き合わせ販売」にシフトしていくことになった。まあ、MicrosoftはOSを牛耳ってOfficeというSuiteで大儲けしたので、Adobe製品がSuiteされるのは、当然の流れだった。

 「抱き合わせ販売」と併せて大きく変わったことは、Adobe Storeでの直販だった。いままでの既存の販売ルートを捨てるわけではないが、自社での直販も始めた。これも時代の流れといえばそうだろうが、直販を始めれば直販に重点がシフトするのは当然だろう。今回は直販でのセールスを支えるために


アドビストア大特典
プレゼントキャンペーン


が用意された。一般の販売ルートではゲットできない特典を用意した。

アドビ特製ロイヤルカスタマーカード
3ヶ月間無制限スペシャルテクニカルサポート
Photoshop 20th History アイコンバッジコレクション
「Adobe Photoshopで実践するフォトレタッチ講座(玄光社刊)」
オリジナルスクリーンセーバーと壁紙

後ろの3つはPhotoshopを含む製品のみの特典となる。まだまだささやかな特典だが、これから、アドビストアの特典をボリュームアップする誘惑からは逃れられないだろう。



 直販するともう1つ、大きな誘惑がある。それは直販でしかできない販売方法である。つまり、「ダウンロード販売」である。すでにアドビストアではダウンロード販売しているではないかと言われてしまうが、サタンのように甘く囁かれる大きな誘惑とは

アップグレードダウンロードの廉価販売


である。

 現在のところ、製品版のダウンロード販売はされていても、カートのオプションで「アップグレード版」を選択すると[納品方法]で「ダウンロード」は選択できない。しかし、パッケージのCreative Suite5では、「アップグレード版」を選択してもダウンロードで購入が可能になっている。Adobe製品のユーザーの大半が必要としている「アップグレード版」は、ダウンロード販売が可能だ。つまり既存客でもダウンロードで購入はできるのである。

 しかし、このダウンロード販売、致命的なネックがある。それはパッケージ版と同じ価格という点である。ダウンロード版を用意したが、既存の販売ルートに顧慮して同じ価格にしているのである。実際の店頭の販売価格は、約10%オフである。大手量販店のポイントバックがそうだし、アマゾンもリリース直後は9%オフ(CS5 Design PremiumでアップグレードAが98,700円→89,700円)である。ネットでも製品版が9%オフで買えるのに、定価でダウンロード版を購入するユーザーはそれほど多くない。

 かつて素材集でも、ダウンロード販売が大きく騒がれたが、結局主流にはならなかった。アプリケーションのダウンロード販売はそのままでは主流にはなりにくい。日本人のメンタリティは、形のないデータではなく、パッケージが所有したいのである。

 ただし、店頭の実売価格より安い価格で提供すれば、アップグレードユーザーがダウンロード版を選択する可能性はある。店頭でのポイントバックやアマゾン価格より安ければ、ネット購入に抵抗を感じないユーザーはアドビストアのダウンロード版を選択するのではないか。ダウンロード版を購入しても、インストーラだけ、後から送付しておけばよい。

 既存ルートへの釈明も含めて、廉価版のダウンロード販売は、期間限定にしておく。最初の3ヶ月程度にしておけば、不当廉売のそしりも免れる。あるいは数量限定でもいい。キャンペーン終了時までに、ダウンロード版の購入数が増えれば、その後の後期追随者のインストール数を上乗せできると思うが、どうだろうか。初期のインストールベースをかさ上げできれば、既存の流通ルートでもその後の販売で成果を見込めるのではないか。

 ダウンロード販売すれば流通マージンの中抜きや、在庫スペースなどコストは低下する。売値を下げても販売数が増えれば十分以上の利益は確保できるだろう。そうなれば、アドビストアのアフィリエイターもより積極的に活動するだろう。いまのようにマーケットの平均価格より高い価格設定だとアフィリエイターにとっては全くうまみがない。どのような特典を付けても、誰もフォームの注文ボタンを押さないからだ。

 アドビの製品はAppleの製品のように、売り手市場ではない。ましてやソフトウエアには売り切れということがない(アマゾンは賢いので在庫数を表示しているけどね)ので、「いますぐ買いたい」という購入動機を強くすることが難しい。Adobeはいずれ、ダウンロード版の値引きキャンペーンを行うだろう。今回のCreative Suite5では見合わせたが、次のバージョンでは「アップグレード版のダウンロード廉価販売」という禁じ手に誘惑されるのではないだろうか。


◆Adobe Creative Suite 5 Design Premium アップグレード版A Macintosh版[アマゾン]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003F782LY/incunabucojp-22

◆Adobe Creative Suite 5 Design Premium アップグレード版A Windows版[アマゾン]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003F782MS/incunabucojp-22

◆Adobe Store - Japan
http://tinyurl.com/2efx7ph

 


posted by 上高地 仁 at 19:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creative Suite 5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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