今年の2月頃に「アクティブック」という電子ブックを紹介した。書籍らしく見せるために、Acrobatを使わずに「アクティブック」を使うというのは、Acrobatのプレゼン能力があまりよろしくないということだろう。もし、Acrobatが実際の書籍のイメージを反映してモニタに表示できれば、「アクティブック」が立ち入る隙はあまりないからだ。
PDFを開いたときどのように見せるのか、というのは、ファイルメニューの[プロパティ]にある開き方パネルで設定する。というよりそこしかない。そのの設定に含まれないものは、開くときに指定することができないのである。しかもここの設定はAcrobat 7.0 Pro以降、ほとんど変わっていないのである。
モニタに見開きのドキュメントを表示するとき、どのように開き方パネルを設定すればいいのだろうか。ポイントとしては
ページ以外にパネルを追加するのか
倍率の指定をどうするのか
ウィンドウオプションの設定は
ユーザインタフェイスの選択はドウスル
というようなことになる。むかしのモニタは縦横比が4×3の比率だったが、最近は横長のモニタが多い。ということは、ナビゲーションパネルを表示してもページの表示エリアへの影響は少ないはず。しおりがある場合は
しおりパネルとページ
を表示し、しおりがなければ「ページパネルとページ」を選択するのがよさそうだ。InDesignからだとしおり(ブックマーク)を書き出すことができるが、それ以外では難しい。しおりは目次なので、別のページにアクセスしやすい。WordドキュメントをDistillerで書き出すときは、スタイルをしおりにできる。しおりがないときはサムネールを表示する。つまり、「ページパネル」のことである。
Acrobat 7.0 Pro以降は[ページレイアウト]に「見開きページ(表紙)」があるが、Acrobat 6.0 Proにはない。そのため「見開きページ(表紙)」を選択すると、Acrobat 6.0で指定通りには開かない。とはいえ表紙は必要なので、に「見開きページ(表紙)」を選択するしかない。
厄介なのは[倍率]である。倍率には相対倍率を指定するものと、絶対倍率を指定するものがある。簡単に言うと倍率を数値で指定してあるものは、絶対倍率なので、ページが指定した倍率で表示される。ページサイズがモニタより大きければ、ページの下部分が欠けて表示される。
「全体表示」とか「幅に合わせる」というのは、モニタのサイズに合わせて表示する。この場合はページの絶対サイズを無視して相対的に倍率が決まる。ただし、原寸よりも大きくなることはない。A5サイズで見開きにして「幅に合わせる」を選択しても、1920×1200のモニタで表示した場合、ウィンドウがモニタいっぱいに広がるわけではない。最大で原寸になってしまう。ただし、モニタが小さい場合は、ページを縮小して全体を表示する。
できれば、最大の拡大率を指定できればありかだい。A5サイズで作成しても、モニタが大きい場合は、125%程度で表示させたい場合もある。モニタの解像度は低いから、大きめに表示できる場合は大きく表示させたい。テキストが読みやすくなる。最初から125%を指定すると、小さいモニタではページの下が隠れてしまう。
幅に合わせる最大倍率125%
というような設定も欲しいものだ。
[ウィンドウオプション]は[ページにウィンドウサイズを合わせる]と[ウィンドウを画面中央に配置]をチェックしておく。そうするとウィンドウがモニタいっぱいに中央に表示される。[ユーザインタフェイス]は[ツールバーを隠す]を選択しておくのが良さそうだ。

*お奨めの設定。ただししおりが必要です。
あと欲しいのは、やはりページらしく見せる効果と、ページめくり効果だろう。Acrobatにはページを移動するときの効果が用意されているが、フルスクリーンモードのときしか適用されない。PDFをスライドショーとして表示するだけ、ページ効果があればいいと考えただろう。「アクティブック」が使われている背景には、ウィンドウで表示したときに、ページめくり効果が欲しいということがあるはずだ。このあたりは機能を強化できるのではないか。

*フルスクリーンでしか使えない「ページ効果」なんとかしてくれ。
また、ページ上にページめくりのアイコンを挿入したい。フッタとヘッダを挿入するように、アイコン画像を挿入する。もちろん、ロールオーバーをさせる設定も必要だろう。そのあたりはそれほど難しい機能強化ではないのではないか。
iPadやKindleなどのポータブルの電子書籍もけっこうだが、AcrobatでPC用の電子書籍を完成させることも、Acrobatの重要な役割ではないかと思う。文書のプロパティ、開き方パネルのアメージングな機能拡張を望みたいものである。
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