2010年04月19日

InDesign CS5はマルチユースツールに変貌できるか?

 InDesign CS5の新しい機能のなかで、最初に特筆すべき機能はFlashコンテンツの書きだしだろう。InDesign上のオブジェクトをアニメーションで動かすことができる。複数ページでコンテンツを作成してFlashとして書き出すだけで、コード不要のFlashコンテンツの作成が可能だ。

  もともとInDesignは初期の頃から動画の取り込みは可能だったし、ボタンやページの移動などの機能、ページめくり効果を追加してFlashを書き出すことがCS4ではできた。ただし、基本的にはCS4でもFlash形式で書き出しても、インタラクティブなコンテンツに編集するには、Flash CS4 Proが必要となった。CS5ではFlash Proがなくてもインタラクティブコンテンツが作成できるのである。IllustratorとPhotoshopはFlash Catalystが必要だが、InDesignはFlash Catalyst不要。単独で作成できるのがInDesign CS5の強みである。

 InDesignのメインユーザーと想定される出版社や印刷会社も、多用なメディアへの対応を求められており、印刷以外のフォーマットにコンテンツを書き出すことが必要になっている。InDesignはこれからますます多用なメディアへの対応を深めていきそうである。

 InDesignにはXMLの書き出しの機能があったが、実際には一般ユーザーの敷居は高く、高価なプラグインを使わなければ実用性は乏しかった。そういう意味では、今回のコード不要のFlash書き出しは画期的かも知れない。エメリッヒの『2012』でチャーリーが作成したFlashコンテンツ程度であれば、InDesignだけで簡単に作成できそうである。この方法はムーブメントになれば、幅広く普及する可能性を秘めているのではないか。

 もう1つのマルチユース書きだしは、[Digital Editions 用に書き出し]の強化である。EPUBの対応バージョンが3.0にアップ(CS4は2.2)した。といっても縦組みやルビにはEPUB自体が未対応なので不可。また、CS4までは日本語フォントはフルセットで書き出されてしまったが、CS4ではサブセットに書き出すことができるようになっている。できれば、iPhone、iPod用のDigital EditionsのAPPをリリースして欲しいものだ。InDesignで作成したEPUBがiPhone、iPodでそのまま閲覧できれば話題をさらうことは間違いない。

 さて、それ以外のInDesign CS5の新機能を見ていこう。

異なるページサイズ
InDesignのページサイズは、固定されていた。A4でドキュメントを作成するとすべてA4のサイズになってしまう。そこでCS5では見開きに異なるページサイズを複数指定できるようになった。簡単に言うと、三つ折りや観音折りも作成できる。背の幅だけのページサイズが指定できるので、書籍のカバーも可能だ。書籍カバーデザイナーもInDesignだけでレイアウト可能になった。

直感的なオブジェクト選択
コマンドキーで背面オブジェクトを選択してドラッグして移動できる。CS4では選択できても移動できなかった。またロックされたオブジェクトにはロックアイコンを表示し、環境設定で選択できないようにすることも可能になっている。

サブレイヤーを表示するレイヤーパネル
Illustratorと同じようにサブレイヤーを表示する。選択したいオブジェクトのみをレイヤーで表示非表示が選択できる。

段抜き・段分割
段抜きの組版を変更したとき、自動的に見出し位置を変更する機能が追加された。また、1つのテキストフレームを二段に分割してテキストを配置する機能もある。たとえば箇条書きのテキストを、一段のテキストフレームを分割してフレーム内で二段にして表示する。また、楕円内のテキストフレームのテキスト位置を調整する機能も追加されている。

画像の間隔ツール
複数の画像をレイアウトを一括してサイズ変更するとき、画像マスクの間隔を保持して画像ボックスのサイズを調整することができる。また、画像の角を掴むと回転することもできる。

ライブキャプション

キャプションを画像のメタデータから取り込んで表示する機能。Bridgeで追加したキャプションを表示するので、1つの画像をマルチユースし、キャプションを統一したいときは、この機能を使うと便利。メタデータのキャプションを変更すれば一括してキャプションを変更できる。

 それ以外に「テキスト変更履歴をトラック」したり、パッケージ書き出しでは、Adobe製日本語フォントも収集する機能が追加された。Adobeフォントを使っていれば、バージョンの異なる同名フォントがあっても、パッケージで書き出しするとPC内のフォントをオフにし、書き出したフォントを使用することができる。

 機能的には異なるページサイズやサブレイヤーなど、Illustratorの機能を取り込んだ新機能と、InDesign独自の新機能、FlashやDigital Editions書き出しなどのように、新しいメディアに対応したものに分けられる。IllustratorやPhotoshopに比較すると、強力な新機能が搭載されているのがInDesign CS5ではないか。

 InDesignでFlashを作成したい潜在ニーズをどこまで引き出せるのかが、今回のバージョンの興味深いところだろう。Web PremiumのユーザーがDesign Premiumに移行するというようなことも起こるかも知れない。FlashコンテンツのベースはInDesignで作成し、作り込みはFlash Proでするというような使い方もあるかもしれない(なお、InDesign CS5のFlashデータがFlash CS5Proでそのまま開いて編集可能かどうかは未確認です)。



 


ラベル:InDesign CS5
posted by 上高地 仁 at 11:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | Creative Suite 5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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