Design Premiumの資料によると、Design Premiumのターゲットは
デザイナー
出版社/新聞社/印刷会社
となっている。「出版社/新聞社/印刷会社」の項目では「クロスメディアの取り組みが必要な部署」と追記されている。つまり、Creative Suite 5を導入するユーザーのターゲット層は、主にWebとの連携を必要とするユーザーということだ。
どうやら本社の方針は、Illustrator単体ユーザーを新しいバージョンにシフトさせることより、Design Premium版を導入するユーザーを増やしたいということだろう。確かに紙媒体のマーケットは縮小しているので、そこに照準を合わせても得るものが少ないのは確か。
「出版社/新聞社/印刷会社」は先導して新しいバージョンを使うことは少ない。周囲の状況に合わせるのが基本的なスタンスである。新バージョンを導入しやすいデザイナーにまず売り込むのは理にかなっている。もっともその後、出版社/新聞社/印刷会社にどのようにしてマーケットを広げていくのか。それが次の課題になりそうである。
さて、Illustrator CS5の新機能だが、どのようなものがあるだろうか。搭載された新機能は描画に関するものが多く、Webとの連携では「ピクセルグリッドに統合」するのが目新しい機能。強力に連携するには、Design PremiumにしてFlash Catalyst CS5を使うしかなさそうだ。主な新機能を並べてみよう。
遠近グリッド
遠近グリッドをガイドとして作成して立体的なオブジェクトを作成をアシストする。PhotoshopにあるバニシングポイントのIllustrator版というと語弊がありそうか。ガイドのグリッド面に合わせて、オブジェクトが自動的に変形されて立体の遠近感が保持される。
線幅を一定しない線の設定
線幅の一部を太くすることが可能。線幅に効果を適用して変形した情報を持たせたもの。まゆげツールともいわれる。線幅を変形した情報をプロファィルとして保持できる。また、線パネルで線に39種類の矢印を指定できる。
ブラシツール
絵筆ブラシ風のウィット感のある表現が可能。
ピクセルグリッドに統合
CS4まではピクセルプレビューできても、Web用に書き出したときオブジェクトにアンチエイリアスが適用されるかどうかわからなかった。この機能を使うとオブジェクトを強制的にピクセルグリッドに合わせて整列し、アンチエイリアスが適用されないようにできる。
シェイプ変形ツール
選択した部分のみを指定してパスファインダーできる。2つのオブジェクトが重なっているとき、重なった部分を抜きにすることが容易になった。パスファインダー機能を強化する。
アートボードツールの強化
アートボードを再配置。また、選択したオブジェクトをすべてのアートボードの同じ位置にペーストできる。つまり、Illustratorをページレイアウトソフト的に使いたいときには、ノンブルや柱となるオブジェクトを一括してコピーすることも可能。
背面オブジェクトへの描画
optionキーを押しながら選択すると、背面にあるオブジェクトを選択できる機能。選択した階層に描画することもできる。
それ以外に「グラデーションメッシュへの透明効果」や「解像度非依存のフィルタ効果」などの新機能がある。目玉の新機能は「遠近グリッド」だろう。立体オブジェクトの作成が直感的に行えるのは便利そうだ。
ラベル:Illustrator CS5