Illustratorの新バーションを売りたければパブリックベータにしろ



 あるときA社のIさんが、こういった。「出版社やライターのみなさん、お願いです。Illustrator 8.0から最新版まで対応したというような内容の書籍は是非終わりにしていただいて、新しいバージョンの書籍を発行して下さいね」 細かい言葉は違うかもしないが、そういうニュアンスだったと思う。Illustratorは、複数バージョン対応でなければ書籍が売れないという現実を如実に物語る発言だった。

  Illustratorにインストール制限が追加されたのはCS2以降である。CS2以降はバックアップ用マシン分も含めて2台にインストールできるが、それ以上はインストールできない。試したことはわからないので、3台目にインストールしたらどうなるのかはしらないけどね。

 インストール制限されたためかどうかは知らないが、Illustratorは複数バージョンが乱立する時代になった。InDesignも同じだろう。ユーザーの多くは新しいバージョンの新機能を必要としていないか、使えばコストパフォーマンスは高いかも知れないが、それを知らないのかのいずれかだろう。

 新しいバージョンは、ユーザーの意志に関わりなく、Adobeのスケジュールによってバージョンアップしていく。約1年半のアップグレードは早すぎると思うのは、私だけではない。

 しかし問題はバージョンアップが早すぎるということではないかもしれない。新しいバージョンの告知期間が少なすぎるということではないか。昔のように新機能を隠す必要はない。だって競争相手はいないのだ。PhotoshopやIllustratorに競合は存在しない。InDesignにはQuarkXPressというライバルはあるが、しのぎを削っているわけではない。

 ユーザーは今のバージョンで満腹しているのだ。どうして新しいバージョンが必要だというのか。新しいバージョンはマーケティング用語で言えば

アドオン

ということだ。つまり、マクドナルドでいう「ポテトはいかがですか」というやつである。アドオンはユーザーのすべてに売れるわけではない。

 ところが、困ったことにAdobeは正式なアナウンスとして、いまだにアップグレードしたとき、旧バージョンの使用を認めていない。ユーザーにリスクを背負わせ、新しいバージョンを買って下さいという。売れるわけないではないか。新バージョンはアドオンですらないのである。

ハンバーガーを返していただいたら、ポテトをお売りします

マクドナルドでそんなことを言ったら、いったい誰がハンバーガーを買うというのだ。ポテトも売れなくなる。

 いまどき、リスクリバーサルはビジネスの常識である。昔のように飛ぶようにDTPアプリが売れる時代は終わったのである。極端な話、新しいバージョンを買ってインストールしたが、半年たっても使わないのであれば、

全額返金します

くらいしなければ駄目である。どうやらサンノゼのマーケティング担当者は、成熟しきったDTPアプリの現状をまったく理解できないくらい視力が劣っているか、頭を使うことことがよほど苦手らしい。どの企業でもやっている当たり前のマーケティング手法を使わなくても、IllustratorやPhotoshopは売れると錯覚しているらしい。あるいは新機能を追加すれば売れると勘違いしているらしい。

 新しいバージョンを売りたければ、パブリックベータを大々的にするのがよいかもしれない。パブリックベータはマーケティング用語でいうところの

ステップ販売

である。まず見込客に使わせることが重要だろう。できればパブリックベータは半年くらいかけて行なう。そうすれば、新しいバージョンについてのトラブルはを広く調べることができるし、買いたいと思っているユーザーは買う前に親近感を持つことになる。

 もちろん、パプリックベータは面倒だろう。したくないという気持ちはわかる。まあでも、それも今ではダウンロードしてインストールすればいいので難しくないし、コストもかからないのではないか。そういうことをしないのは、サンノゼの営業責任者の怠慢ではないかと思われても仕方がないという気がする。Adobeといえども、売る努力をしなければならないという時代になってきたというのが最近の偽らざる気持ちである。

 いずれにしても、アップグレードでの旧バージョンは制限は今すぐにでも止めるべきだ。旧バージョンを使うためには新しいパッケージを別に買えということで、全体の売り上げがアップすると思っている根拠はどこにあるというのか、是非知りたいものである。

 また新規のバーションを買ったときは、オプションでもいいから古いバージョンもインストールできるようにするべきだ。Yahoo!の知恵袋などで、CS4を買ったがCS2にバージョンダウンしたファイルの入稿を要求されるなど、バージョン互換で困っているユーザーの多さをAdobeは肝に銘じるべきである。



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 → 詳しい内容はこちらを御覧下さい。
http://www.incunabula.co.jp/book/illustcs3HB/index.html


 


タグ:illustrator

posted by 上高地 仁 at 11:56 | Comment(1) | TrackBack(0) | Illustratorトピック
この記事へのコメント
イラストレータ、フォトショップは競合がないが故の殿様商売のように感じます。歩がよかった故、新しいビジネスモデルに踏み出せないのでは?

かな・漢字処理「ネイティブ」の、国産版イラストレータがあるといいのに。
Posted by 中山 at 2010年04月08日 10:27
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