問題は「等幅字形のテキストに [カラーを編集] を適用すると標準字形に戻る(Illustrator CS3)」というTechNoteに記載されています。標準字形に戻ってしまうのは
等幅半角字形
等幅三部字形
等幅四分字形
旧字体
をドキュメントで指定したときで、AdobeのTechNoteの最終更新日は「2009-12-17」となっています。Illustrator CS3の最終アップデートは「13.0.3」で、リリース日は「2008-02-29」ですから、アップデート後に見つかった不具合ということでしょうか。
*TechNoteにアップされている問題のショット。
ネット上にはこの問題のTechNoteを取り上げた記事がいくつもありますが、実際に検証して「証拠」をアップしている記事を見つけることはできませんでした。それで実際に等幅字形を入力してみて、グレースケールに変換してみましたが、字形はそのまま。葛飾の「葛」の旧字形も、標準字形に戻ることはありませんでした。
対象となるプラットフォームは、MacintoshとWindowsの両方なので、TechNote通りであれば、再現するはずです。しかし解決方法を読むと、
字形パネルから直接入力します。
と書かれています。ということは字形パネルから入力した場合は、標準字形に戻ることはないということでしょう。
しかし等幅字形というのは、字形パネルからしか入力できないのではないでしょうか。字形パネルの[表示]で「等幅三部字形」や「等幅四分字形」を選んで入力する以外の入力方法はあるのでしょうか。
Illustrator CS3でテキストを入力する方法は、おそらく5つです。
ダイレクトに入力
字形パネルから入力
インプットメソッドの文字パレットで入力
クリップボード経由でペースト
配置してペースト
ダイレクトに入力する場合は、等幅字形や旧字形を入力するのはまず無理でしょう。またインプットメソッドでも、数字の等幅字形は標準字形と同じユニコードに割り当てられていて、ATOKの文字パレットからIllustrator CS3には入力できませんでした。クリップボード経由でも、クリップボード経由にコピーしたときに標準字形に戻るはずです。配置メニューからテキストファイルを読み込んでも、旧字体は読み込みめせんでした。Illustrator CS3では、配置メニューではユニコードを選択できず、日本語で指定できるのはシフトJISです。
*Illustrator CS3から配置メニューで開いたときの[文字セット]リスト。
ということは、カラーを編集すると等幅字形が標準字形に戻るという問題は、どのようにして等幅字形を入力したときに発生するのでしょうか。TechNoteにはそのあたりの詳細が記載されておらず、検証が十分でないままアップされたのかもしれません。ひょっとすると、最新バージョンで解決されているにもかかわらず、対象のバージョンを記載せずに掲載されているのかもしれません。
というわけで詳細がわからない以上、Illustrator CS3でカラードキュメントをカラー編集の[グレースケールに変換]で強制的に変換するときは、テキストを先にアウトライン化しておく方が安全かも知れません。できればTechNoteには、バージョンの記載と、問題が発生する入力方法を追加して欲しいものです。
◆等幅字形のテキストに [カラーを編集] を適用すると標準字形に戻る(Illustrator CS3)[Adobeサポート]
http://kb2.adobe.com/jp/cps/234/234405.html
ラベル:Illustrator CS3
【関連する記事】
- Illustratorでプリント時にアートボード外トリムマークを簡単に出力する方..
- IllustratorのグラフィックスタイルとシンボルカタログをJIPPO Bo..
- Illustrator CS4、トリムマークをセンター配置する方法
- Illustratorの新バーションを売りたければパブリックベータにしろ
- Illustrator CS4、CS3互換のトリムマークは必要か?
- Illustrator CS3、トラブル解決を解説するビデオです
- Illustrator CS3、ダブルトーン画像はPSDで貼り込んでもOK?
- Illustrator CS3、プロファイル埋め込み画像は埋め込め!
- Illustrator CS3、特色をLab値で変換する落とし穴
- Illustratorオーバープリント属性の自動設定の怪
- Illustrator CS3のRGBのグラフィックスタイル
- Illustrator PDF復活するトリムマークの落とし穴