CS2にダブルトーン画像を貼り込むと、特色はスウォッチに反映される。ダブルトーンで作成したかけ合わせも特色の扱いになる。ダブルトーンのカラーの中で特色にならないものがある。それが
プロセスベタ
の指定である。「シアン100%」とか「マゼンタ100%」などである。これらのプロセスカラーのベタ指定は、Illustratorはプロセスカラーとして認識するのである。
ダブルトーン画像で特色を扱う場合でも、プロセスカラーで代用することが多かった。特色2色で印刷する場合でも、シアンとマゼンタや墨版で指定して、使用したプロセス版のみを分版するのである。出力する側から言うと、プロセスで版を指定する方がトラブルが少なくてすむ。
プロセスベタを指定したダブルトーンは、Illustratorに貼り込んだときそのままプロセスカラーとして認識される。だから実際の印刷は特色であっても、ダブルトーン画像にプロセスベタを指定し、Illustrator上でもプロセスカラーで指定することが可能だった。
↓
*Photoshop CS3で作成したダブルトーンのプロセスベタ。「シアン」と自動的にテキストが入力される。
Illustrator CS3から、PSD形式でもダブルトーン画像を貼り込むことが可能になった。PSDのメリットは実画像を表示できることだ。CS以降はEPSでなくても、PhotoshopからPDF保存してもダブルトーン画像は貼り込める。しかし、Adobeは貼り込み画像にPhotoshop形式を推奨している。ダブルトーン画像のみをPSDではなく、EPSやPDFにするのは煩雑であり、CS3になってダブルトーン画像のPSD貼り込みに対応することになったのだ。これで、カラーもグレーもダブルトーンもPSDで貼り込めばよいことになる。
ところが、PSDでのダブルトーン貼り込みには、落とし穴があった。Photoshopでプロセスベタのダブルトーンを貼り込むと、Illustrator上でプロセスカラーとして認識しないのである。特色のままスウォッチが生成されてしまう。PDFで保存しても、プロセスベタにはならず、特色のままになる。
*PSDは貼り込んだダブルトーン画像。「シアン」と「DIC 200」を指定したもの。「シアン」に特色のアイコンが付いている。
CS3以降、ダブルトーンPSDには対応したが、プロセスベタには対応できなかった。これでは効果半減である。と思いきや、ダブルトーンのプロセスベタに対応してないわけではなかった。
Photoshopのダブルトーンでプロセスベタを作成すると、自動的にインキ名が追加される。実はこの自動入力されるインキ名が非対応なのである。シアンベタだとインキ名は「シアン」とカタカナでインキ名が入力される。これを英文表記にして「Cyan」と書き換えると、プロセスベタのダブルトーンはIllustratorでも認識可能になるのだ。Adobeのサポートによると、これはIllustratorの「仕様」らしい。
*Photoshop CS2でもシアンベタのダブルトーンを作成すると「シアン」と自動入力された。CS4でも直っていないようだが、CS5では直るかも。
なお、EPSのダブルトーン貼り込みでは、カタカナ表記でもプロセスカラーとして認識される。プロセスカラーとして認識させず特色にしたいときは、「Cyan」「シアン」ではなく、「C100」などの別の名前にすればよい。
◆ダブルトーンのプロセスカラーが特色で追加される(Illustrator/InDesign CS3-CS4)[Adobeサポート]
http://kb2.adobe.com/jp/cps/236/236096.html
ラベル:ダブルトーン画像
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