2010年03月01日

InDesign CS3、[描画モードを分離]と[グループの抜き]の違い

 InDesign CS3から効果メニューが大幅に拡張された。CS2では「ドロップシャドウ」と「境界をぼかす」しかなかったが、CS3ではシャドウ、光彩、ベベルとエンボス、サテン、方向性のぼかし、グラデーションのぼかしが追加されている。最初に透明の[基本描画モード]のウィンドウがあり、[描画モードを分離]と[グループの抜き]の設定もそこに置かれている。

  透明の[基本描画モード]は、それぞれの効果と完全に独立したパネルではない。たとえばドロップシャドウでは描画モードに「乗算」が指定されているので、[基本描画モード]で「スクリーン」を指定しても無視される。ドロップシャドウパネルの設定がイキになるのだ。しかし、[基本描画モード]で不透明度で指定すると、二重がけになる。[基本描画モード]で不透明度「80%」にして、ドロップシャドウを適用すると、さらに「75%」の不透明度が適用されて「60%」になるのだ。不透明度については、注意して使いたい。

 [基本描画モード]の設定で一番ややこしいのは

描画モードを分離
グループの抜き


の設定だろう。わかってしまえば、簡単な設定だが、バルーンでの説明文はほとんど意味不明ではないか。[描画モードを分離]ではどのように説明されているかというと、

グループを超えて描画モードが適用されることを防ぎます

とある。グループというのは、グループされたオブジェクトのこといい、[描画モードを分離]をチェックするとグループ化されていないオブジェクトへの描画モードの適用がキャンセルされる。

[描画モードを分離][グループの抜き]オフ
100301-01.gif
*グリーンのオブジェクトのみをダイレクト選択ツールで選択し、ドロップシャドウと不透明度を適用した。[描画モードを分離]と[グループの抜き]をオフにしていると、グループに関わりなく、描画モードと不透明度が適用される。左側の赤いオブジェクトがグループ化されたもの。左側がグループ化されていないもの。


[描画モードを分離]オン、[グループの抜き]オフ
100301-02.gif
*[描画モードを分離]をオンにすると、グループ外のオブジェクト上のドロップシャドウが乗算になっていないことがわかる。なお不透明度はそのまま適用されている。


 たとえばドロップシャドウを適用したオブジェクトの下に2つのオブジェクトがあるとする。1つはドロップシャドウオブジェクトとグループ化してある。[描画モードを分離]をオンすると、グループ化されていないオブジェクトには乗算は適用されない。ドロップシャドウの影は作成されるが、背面のオブジェクトは透過しないのである。ということはバルーンの説明では

グループ化されていないオブジェクトに描画モードを適用しません

と書いてくれるとわかりやすい思うのだがどうだろう。「グループを超えて」という言葉がすぐさま「グループ外のオブジェクト」だと理解するのは簡単ではないのではないか。ヘルプには「選択したオブジェクトグループにだけ描画モードを適用」と書かれていて、まだそちらの方がわかりやすい。

 [グループの抜き]は同様にバルーンの説明は意味不明ではないか。バルーンの説明には

グループ要素がお互いに表示されることを防ぎます

とあるが、「グループ要素がお互いに表示される」という言葉はいったいどこから出てきたのか、首をかしげたくなる。そのまま直訳か。それにしても、よくできた翻訳とは到底いえない。[グループの抜き]は[描画モードを分離]とは概ね反対の意味があり

グループ化されているオブジェクト同士で描画モードと不透明度を適用しません

という方がわかりやすい。[描画モードを分離]は描画モードのみだが、[グループの抜き]は描画モードと不透明度に対応する。要するに、グループ化したオブジェクトがあって、その中の1つのダイレクト選択ツールで選択してドロップシャドウを適用してたとき、[グループの抜き]をオンにしていると、同じグループ内オブジェクト同士では描画モードと不透明度をキャンセルするのである。

[描画モードを分離]オフ、[グループの抜き]オン
100301-03.gif
*同じグループでの不透明度がキャンセルされている。ただし、ドロップシャドウ部分の不透明度はそのまま適用されている。グループ外のオブジェクトの不透明度はキャンセルされないので、前面に配置されているように見える。

[描画モードを分離]オン、[グループの抜き]オン
100301-04.gif
*両方をオンにすると、グループ外オブジェクトにドロップシャドウの乗算が適用されなくなる。オブジェクトとドロップシャドウの影部分の不透明度のみが適用される。グループ内オブジェクトはオブジェクトの不透明度とドロップシャドウの乗算がキャンセルされている。


 要するに、特定のオブジェクトにのみ描画モードを適用したいときは、グループを使って[描画モードを分離]を指定する。特定のオブジェクトに不透明度を適用したいときは、[グループの抜き]をつかうのである。したがって、特定のオブジェクト同士のみで描画モードや不透明度を使い分けないのであれば、これらの機能は使うことはない

 ヘルプには、どのような状況のときに[描画モードを分離]と[グループの抜き]を使うのかという「目的」が欠落している。InDesignをもっと普及させたいのであれば、

なんのための機能か

という要素もヘルプでわかるようにするべきではないだろうか。

 


posted by 上高地 仁 at 22:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | InDesignトピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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