2010年02月25日

欧文組版のノウハウ、知っていますか?

 欧文組版の解説書が発行されました。『欧文組版 組版の基礎とマナー(高岡昌生著[嘉瑞工房])』という本です。欧文の組み方を解説した書籍はほとんどありません。タイポデザイナーであれば、是非目を通しておきたい一冊でしょう。

  日本語の組版のルールについては、かつて喧々諤々の議論がありました。DTPの初期の頃ですね。組版をまったく知らないユーザーが文字組みをするようになり、かなり盛り上がりました。

 まあでも組版に「ルール」というのはどうかと思いますけどね。「ルール」ではなく、美しく見せるため、読みやすくするための「ノウハウ」はありますが、そのノウハウを「ルール」として他人に押しつけるのはどうかと思ったことを思いだします。

 文字組みをするにあたって大きな枠組みではルール(というより、経験知、集合知というものですかね)はあるでしょう。議論になるのはもっとも細かい部分だったりします。見出しにインデントを付けるかどうかというようなことは「ルール」ではないでしょう。「ルール」だとしても

それっとハウスルールじゃん

というようなものですね。

 文字組みといっても、文字が使われている部分によって組み方も異なります。本文では読みやすくするというノウハウが必要です。キャッチコピーであれば、目立って思わず読ませるというノウハウが求められます。用途によって、文字組みの方法は違ってくるわけです。

100225-01.jpg
 とくに欧文文字組みのノウハウはあまり知られていません。たとえばInDesignの段落スタイルの設定でも、主に欧文の文字組みのための設定がいくつもあります。

ハイフネーション
ジャスティフィケーション
ドロップキャップと先頭文字スタイル
OpenType機能


などです。これらは、欧文のための機能ですが、どう使っていいのかわからなかったりします。この本にそれらについて書いてあるかどうかはわかりませんが、日本語組版にうるさいユーザーでも、欧文では文字組みを知らずに使っているのではありませんか。

 著者の高岡昌生さんは英国王立芸術協会フェロードイツ・ライノタイプ社 日本・極東地域 顧問だそうで、本場の欧文組版を学ぶには最適の人選でしょう。欧文での文字組みデザインをよりよくするためには、こういう本に目を通しておきたいものです。アマゾンの商品の説明によると、「本書を読んだ後は過去の自分の組版をやり直したくなるくらい衝撃的な本」だそうです。


◆欧文組版 組版の基礎とマナー[JDN/ブック・マガジン]
http://book.japandesign.ne.jp/w-book/100224-1.html

◆欧文組版 組版の基礎とマナー (タイポグラフィの基本BOOK) [アマゾン]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4568504112/incunabucojp-22

◆欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド) (単行本)[アマゾン]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4568502772/incunabucojp-22

◆欧文書体 2 定番書体と演出法 (タイポグラフィの基本BOOK) (単行本)[アマゾン]
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4568503647/incunabucojp-22


 
ラベル:欧文組版
posted by 上高地 仁 at 10:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース&トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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