【世界を動かす人脈】世界を動かす金持ちはただの商売人



世界を動かす人脈 (講談社現代新書) (新書) 欧米の金持ちたちが毎年リゾート地に集まって会合を開くという。一般のマスコミをすべてシャットアウトして行われる秘密の会合らしい。この会合は金持ちたちのネットワークで、ここで世界を動かすような話し合いが行われると本書では言う。その会合は

ビルダーバーグ会議

と呼ばれている。会議といっても、セミナーやディスカッション、また晩餐会を通じて情報の交換が行われる。この会合では「グローバル経済の抱える問題を比較的長期的視点で議論し、その解決策を模索する」するらしい。したがって、これらの金持ちたちが世界を動かしていのだ、というのが本書『世界を動かす人脈』の趣旨である。

  しかしこうした金持ちたちの「秘密結社」があったとしても、そこで世界の命運が決まるとはとうてい思えない。もちろんそういう内容の話は、ダン・ブラウンあたりが小説に取り込めば面白くなるとは思うが、現実問題として金持ちが集まったからといって、彼らの思惑通りに世界は動かないのではないか。

 それはともかく、この本には現在の超セレブともいえるロスチャイルド家ロックフェラー家について詳しく書かれていて、下世話ながらも面白い。ロスチャイルドやロックフェラーはいつまで金持ちでいることができるのだろうか。

 彼らのような金持ちは、いまあるお金を減らさず増やすことが最大の関心事であって、世界を動かすことにはあまり興味はないばすだ。世界はどう動くのかということには大いなる興味があるだろう。世の中が向いている方向を知ることができなければ、金儲けは難しいからだ。「ビルダーバーグ会議」も、世界を動かすというより、現実を把握して投資する先を見極めたいということではないか。

 世界を動かすのは、ロスチャイルドやロックフェラーなどのようなセレブではなく、やはり志のある政治家や起業家だろう。コンピュータの世界では世の中を変えてきたのは起業家だった。誰でも知っている名前を挙げるとしたら

ビル・ゲイツ
スティーブ・ジョブス
マイケル・デル
ジム・クラーク


といった面々である。彼らは「世界を変える」ために起業したのである。彼らの中に最初から銀のスプーンを加えて生まれてきた金持ちはいない。

 ロスチャイルドはナポレオンの時代に債権の投機で金を増やした。ロックフェラーは19世紀末にアメリカの石油を独占して大金持ちになった。彼から欲しいのは「金」であって、世の中を変えることではない。

 もっともっとお金が欲しい彼らは、毎年集まって儲け口の相談しているのだろう。「どのヘッドファンドのリターンが大きいのか」というようなことについて情報交換しているに違いない。商売人というのは、安く買って高く売るのが仕事である。株でも為替でも証券でも安く買って高く売れれば儲かる。そういう「儲け口」を探しているのが、彼らのような金持ちではないか。

 彼らのような金持ちは、「世界を変える」ようなことは行わない。「世界を変える」のはリスクが大きい。失敗したら無一文になる覚悟が必要だろう。金持ちはリスクを低くして、高いリターンを求める。つまり、彼らの理想は、裁定取引して儲かるものだ。そういうものをいつも探しているわけである。「世界を変え」たり「世界を動か」したりする大それた意志を持っていたとしても、その優先度は極めて低い。

 それにしても、世の中にはこうした起業家ではない商人が世界を支配しているかのように考える人がいるもので、そういう意味でこの本は驚きだった。フィクションだったら飛躍していて面白いネタだが、ノンフィクションとしてマジに書かれているところがすごい。金持ちは金儲けがすべて。彼らが世界を動かすというリスクを負うことはないだろう。

 金持ちとしてのステータスを保持し、お金を失わないことに粉骨砕身しているかれらにとって、人脈を広げることは重要だ。鮮度の高い情報がなければ資産を守るはできない。今すぐ儲かる情報は欲しいが、手間暇かけて自ら情報を発信し新しいビジネスを構築するということようなことは、多分しないだろうと思うけどね。


◆世界を動かす人脈 (講談社現代新書) (新書)
http://tinyurl.com/mbwroo

 




posted by 上高地 仁 at 10:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | みだれうち読書ノート
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