Illustratorで分割水平線が現れるのは、Illustrator CSとCS2のみであり、画像の縦幅だけでなく、Illustratorのバージョンを合わせて調べることで分割水平線を調べることは容易になる。Illustratorのバージョンを絞り込めば、CSとCS2以外のバージョンから作成されたPDFは、エラーにならないからだ。
困ったのは、Illustratorではなく、InDesignである。InDesignにEPS画像を貼り込んでPDF書き出しても、当然ながら画像は分割されることはない。分割されるのは、すでに分割されたIllustratorのPDFである。つまり、IllustratorにEPSを貼り込んで保存したPDFをInDesignに貼り込んだときである。Illustrator PDFだけでなく、CSとCS2のIllustrator形式をそのまま貼り込んでも、EPS画像は分割されて貼り込まれるのだ。
InDesignが厄介なのは、貼り込まれたIllustratorのバージョンを絞り込むことができないというこどである。InDesignにPDFを貼り込んで、InDesignからPDF書き出しすると、オリジナルのIllustratorのバージョンはわからない。つまり、オリジナルがCSやCS2でなくても、画像の高さが小さいとエラーとしてリストされてしまうことになる。
とりわけInDesignでは、小さな画像をアイコンのように貼り込むことがよくある。分割された画像でなくても、高さの小さい画像を使用するケースは少なくない。もし、小さな画像がマスターページに貼り込まれていると、すべてのページでエラーが表示されてしまう。
これでは、プリフライトすると、たいていのInDesign PDFはエラーになってしまうではないか。はっきり言って実用的ではない。そこでもう少しスマートな方法はないものかといろいろ考えてみた。分割水平線を調べるためのポイントは
分割されても画像の横幅は変化しない
分割時の画像のサイズは約1MB
である。ということは、画像の横幅に対して高さが決まる。だいたい計算すると
約255,000ピクセル平方
で分割されるのである。横のピクセル数が大きい画像は、画像の高さが小さくなり水平線の数が増えるが、横のピクセル数の小さい画像は高さが大きくなる。
ということは、画像の幅と高さを組み合わせて複数のカスタムチェックを作成すれば、より正確に分割水平線を調べることが可能になるはずだ。
まずサンプル画像を作成した
10 mm
20 mm
30 mm
40 mm
50 mm
100 mm
150 mm
200 mm
250 mm
の画像を作成しEPS保存、Illustrator CS2に貼り込んで、PDF書き出しする。分化された画像のそれぞれの横幅と高さを調べてリストを作成する。
※Photoshopで各サイズの画像を作成して、雲模様を指定したサンプル用PDF。上からサイズの小さい順に並べてEPS保存し、Illustrator CS2に貼り込んでPDF保存したもの。
それで
30 mmまで
30 mmから50 mmまで
50 mmから100 mmまで
100 mm以上
に分けてカスタムチェックを作成した。サンプル画像を貼り込んだPDFでプリフライト。区分けした通りにエラーがリストされた。
これで完成だ。と言いたかったが、『Illustrator CS/CS2からのEPS画像PDF書き出しトラブル解決読本』を書いたときに使用した別のPDFに割り当てて見ると、あろうことか、リストされないではないか。
使用したPDFを調べて、『Illustrator CS/CS2からのEPS画像PDF書き出しトラブル解決読本』を読み返してみると、原因がわかった。そうだったのだ、そういう仕様だったから、いままで画像の幅に合わせたカスタムチェックを作成しなかったのだったことを思い出した。
理由は、Illustrator CSとCS2はEPS画像を分割してから、ダウンサンプルするのである。つまりPDF保存時にダウンサンプルしてしまうと、横幅のピクセル数が変わってしまうのである。もちろん縦も変わってしまうが、ダウンサンプルされても縦と横の比率は同じなので、エラーにならないのである。
というわけで、カスタムチェックを複数作成して、画像の横幅に合わせる方法はここで頓挫してしまったのである。(この項続く)