InDesignでは白の塗りや線にオーバープリントを指定できないが、ある方法を使うと、InDesignでも白にオーバープリントを指定できる。基本的にはInDesignでは白のオーバープリントは不可になっているのだが、操作手順によっては、白オブジェクトにオーバープリントが適用されてしまうのである。
その方法というのは、カラーパネルやツールパネルで
塗りと線を入れ替える
ことで発生する。たとえば「線に黒」「塗りに白」を指定して線にオーバープリントを指定する。線は黒だからオーバープリント可能だ。そして[塗りと線を入れ替える]と、線は白になるが、そのときオーバープリントの設定が反映されてしまうのである。つまり、「線の白」はオーバープリントになるのである。

InDesign CS2で白と黒を反転したところ。白の線にオーバープリントが反映されていることがわかる。チェックがグレーアウトしていて、そのまま外すことができない。
そのままPDFとして書き出すと、PDFにはオーバープリントが反映されてしまう。通常こういうケースはあまり考えられないが、塗りと線を入れ替えることはよくする操作なので、トラブルになるケースはけっこうあるのだろう。
ここで確認しておきたいことは、「塗りと線を入れ替える」ことで発生するトラブルは
InDesign CSとInDesign CS2
だということだ。InDesign CS3以降は、「塗りと線を入れ替える」とオーバープリントの属性も入れ替えとなり、白にオーバープリントが指定されることはない。CS3以降であれば、InDesignでは白のオーバープリントは発生しないのである。
ただし、InDesign CS2で作成したドキュメントをCS3で開いたところ、InDesign CS2で指定された白のオーバープリントはそのまま引き継がれた。CS3で最初から作成した場合はオーバープリント属性は白に指定されることはないにしても、CSやCS2で作成したドキュメントを読み込む場合は、白のオーバープリントは反映されることは知っておきたい。

InDesignから書き出したPDF。。オーバープリント化された白の線はプレビューされてオーバープリント化されている。インスペクタで確認するとパスのオーバープリントは「はい」になっている。
なお、InDesignのドキュメントはPDF書き出しして、Acrobatで白のオーバープリントに対処するとトラブルになりにくい。オーバープリントはAcrobatのフィックスアップで破棄することができるからだ。Acrobat 8 ProやAcrobat 9 Proを持っている場合は、Acrobatで調べるか、フィックスアップで白のオーバープリントを破棄しておく方が安全だろう。
◆「白ノセ」トラブルを解決する(3)[大日本スクリーン製造:出力の手引き]
http://www.screen.co.jp/ga_dtp/dtp/guideline13/20090305whiteop3.html
ラベル:白のオーバープリント