InDesignからPDFは「PDF 1.4」が書き出すのがベターな理由



 InDesignドキュメントを印刷用に出力する場合、「PDF 1.4」以降で書き出した方がよいのだろうか、それとも透明を分割して強制的に「PDF 1.3」で分割した方がいいのだろうか。

 一部のオブジェクト効果を使用し「PDF 1.4」以降で保存すると、Acrobatでの編集時やRIPからの出力で効果オブジェクトが消失するという「仕様」がInDesign CS2とCS3にある。それを回避することを考えれば「PDF 1.3」で保存すればよい。

 「PDF 1.3」であれば、InDesignでドキュメント内の透明は分割・統合される。分割・統合されてしまえば、出力時にトラブルになることはない。InDesign CS3はAdobe PDF Print Engineを搭載しているはずなので、高品質に透明を分割・統合できるはずだ。

 しかしアドビのサポートデータベースを調べていくと、必ずしも「PDF 1.3」が万全というわけではないらしい。「PDF 1.3」で保存したがために発生するトラブルもあるのだ。

  どういうトラブルがあるのかというと、

書き出した PDF に白またはグレーの線が表示される

という問題である。透明を含み特色とプロセスカラーが重なっているところや、背面に画像があり透明度を変更したテキストにドロップシャドウを適用している場合に起きるらしい。

 サポートデータベースの文章はいまいちわかりにいく。そこで画像の上に特色をのせて、墨ベタのテキストにドロップシャドウを適用してみた。「PDF 1.3」で書き出すと、ドロップシャドウが消失してしまった。もちろん「PDF 1.4」では問題なくPDF化される。

InDesign

    ↓

InDesign

※InDesign CS3に画像と特色ベタ、ドロップシャドウ文字を貼り込んだもの。PDF 1.3で書き出したところ、テキストのドロップシャドウが消失してしまった。

 もともとInDesignだけでなくIllustratorも、特色と透明効果のかけ合わせは苦手である。透明効果は原則的にCMYK環境だけで使うべきものであり、特色に透明効果を指定するのは無謀である。というのは、透明を分割・統合すると、オブジェクトを別のCMYKに変換して処理するので、特色には対応していないからである。

 また、それ以外に

書き出した PDF に白またはグレーの線が表示・出力される

というサポートデータベースの記事もあった。InDesignにEPSファイルを貼り込んで「PDF 1.3」で書き出すと、「出力すると白またはグレーの線が印刷され」るという。透明分割時に画像化された部分に白い線がモニタに表示されることはあるが、通常印刷すると表示されることはない。サポートデータベースに掲載されるということは、実際に出力すると線が表示されるのだろう。

 InDesignにはもう一つ、PDFを作成する方法がある。それはPostScriptファイルを書き出してDistillerでPDFに変換する方法である。しかしこの方法もトラブル事例がサポートデータベースには掲載されている。

グラデーションを適用したテキストの線の色が正しく表示されない

というものである。

 InDesignのPDFはなかなか悩ましい。「PDF 1.4」で書き出して、出力前に透明の分割だけを先に処理するしかなさそうである。


◆書き出した PDF に白またはグレーの線が表示される(InDesign CS2/CS3)[アドビサポートデータベース]
http://www.adobe.com/jp/support/kb/ts/233/ts_233837_ja-jp.html

◆書き出した PDF に白またはグレーの線が表示・出力される(InDesign CS2/CS3)[アドビサポートデータベース]
http://www.adobe.com/jp/support/kb/ts/234/ts_234923_ja-jp.html

◆グラデーションを適用したテキストの線の色が正しく表示されない(InDesign CS3)[アドビサポートデータベース]
http://www.adobe.com/jp/support/kb/ts/233/ts_233649_ja-jp.html


 


タグ:InDesign

posted by 上高地 仁 at 16:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | InDesignトピック
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