Acrobat 8 Proでプリフライトにフィックスアップの機能が追加され、AcrobatはPDFを印刷用に変換することが簡単になった。複数の処理を一度に行い、PDFを出力用に作り替えることができる。
ただし、Acrobat 8 Proの印刷用変換機能でも苦手なものがある。Acrobat 8 Proでなくても、出力機のRIPでも苦手なものだろう。それは
特色
透明効果
グラデーション
である。単独で使う場合は問題がなくても、これらを組み合わせるとトラブルになりやすい。Adobeのサポートデータベースに書かれていることはないだろう。けっこう再現性が低いこともあって、これら3つを組み合わせても、トラブルが起こるとは限らないし、他にトラブルを招く要素もあるかもしれないからだ。解決方法があるとすれば、最新版にアップデートするしかない。こっそり直っているかも知れないからだ。
さて、最初に述べた特色のグラデーションと透明の組み合わせは、けっこう再現性がありそうだ。単純に特色のグラデーションの乗算を指定した塗りオブジェクトがあるだけである。これをAcrobat 8 Proの[透明を分割・統合]でを適用するとどうなるのかというと、グラデーションオブジェクトが消失してしまうのだ。

↓

↓

※真ん中にあった特色のグラデーションが、透明を分割・統合したさいに消失してしまっている。
原因はわからない。特色にグラデーションを指定したとき、透明オブジェクトの影響があると、どうやら特色を正しく扱えないらしい。透明を分割するというのは、CMYKモードで行うのが前提である。したがって、特色と透明オブジェクトを組み合わせて分割・統合するのは無理があるのというのも正しい意見だろう。
PDFとして入稿されるデータの中には、さまざまものがある。「特色」と「グラデーション」と「透明効果」を組み合わせたドキュメントが存在しないわけではない。「グラデーション」と「透明効果」の組み合わせはごく普通にあるし、CMYK出力の意味もわからず「特色」で指定しまくっているものも少なくない。
とすると、こういうPDFをAcrobatで印刷用に処理しようとすると、Acrobat 8 Proではできないということになる。このデータは残念ながら、フィックスアップを適用しても同じ。透明効果を分割・統合すると発生してしまうのである。
解決方法はあるのか。もちろんそれはある。ある方法を使えば、グラデーションオブジェクトは消失せずに、特色も透明効果も維持したまま透明を分割・統合することができるのである。
続きとサンプルデータはDTP-S倶楽部ブログで
◆Acrobatでする透明グラデーション分割・統合の謎
[DTP-S倶楽部ブログにようこそ:要パスワード]
http://dtp-s.seesaa.net/article/116498312.html
◆DTP-S倶楽部のご入会はこちらまで
http://www.incunabula.co.jp/dtp-s/club/club.html
ラベル:透明グラデーション
【関連する記事】
- Illustrator PDFのグレーを完全グレースケールモードにする方法
- Acrobat 9 Proでできない二重トンボをムリヤリ作成する方法
- PDF内のレジストレーショントンボはグレーベタに変換できない?
- Acrobat 9 Proのプリフライトを整理する
- 白オブジェクトオーバープリント、InDesign PDF書き出しの怪
- 印刷用のPDF、そのまま出稿・出力していませんか?
- グレースケールに変換できないPDFのグラデーション
- TouchUpでテキストを削除するとレイアウトが変わる[ピンチを救う Acrob..
- ダウンサンプルされる飾り罫線と印刷できない飾り罫線
- Windows XPの太字をプリフライトで調べる
- かけ合わせの線のみを選択してフィックスアップで置き換える
- Acrobat 9 ProでPDF内のかけ合わせを特色に変換する
- Acrobat 8 Proでする透明テキスト分割の精度とは
- TouchUpでテキストを削除する『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ..
- 白オブジェクトのオーバープリント『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ』..
- フィックスアップでカラーを変換『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ』
- フィックスアップで出力インテント『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ』..
- 透明分割の最適値はなぜベクトル100なのか
- ヘアラインの置き換えはどのようにして使い分ける?:Acrobat 8 Pro印刷..