オフセット印刷するためにフィルムなりCTPに出力する場合、CMYKデータであっても墨版だけを選択して出力する。グレースケールのデータを出力する場合に、トンボがCMYK総ベタのレジストレーションカラーで貼り込まれていても、墨版だけを出力すればよい。
しかしプリンタの場合はグレースケールで出力するのはけっこう面倒である。手元にある複合機でも、モノクロで出力したいドキュメントは強制的にグレースケールを選択して出力している。理由は簡単で、
グレースケールとカラーではカウント料金が違う
からである。グレースケールとカラーだとトナーは4倍だから、カウントも4倍ということはなく、たいていそれ以上する。モノクロ出力は価格競争でカウンター料金を低く設定するが、カラーには価格競争が働かないようでかなり高くなる。
グレーで出力するドキュメント内にカラーデータが含まれていると、デフォルトの設定のままだとカラーで出力されてしまう。カラーがごくわずかな部分であっても、[自動]の設定ではカラーとしてカウントされてしまうのだ。そのため、プリント時に強制的にグレースケール出力するようにしておく。そうすれば、廉価なグレースケールのカウンタで済むことになる。
複合機とオンデマンド出力機のカウント代の仕組みが、どの程度おなじかは知らないが、やはりカラーのカウント代は安くないはずだ。またカラーとグレースケールを出力時に指定して使い分けることも可能だが、グレースケールでいいのにカラーで出力されてしまうと、コストに大きく跳ね返ってしまう。
もっとも簡単な方法は『PDF面付けの素』に貼り込んであるIllustratorのトンボをレジストレーションカラーからグレースケールの墨ベタに変換して貼り込み直すことである。『PDF面付けの素』で制作している場合は、この方法が手っ取り早い。
もしすでに面付けされたものの場合はどうすればいいのだろうか。そこでAcrobatを使ってCMYK総ベタの線のみを選択してグレースケールの墨ベタに変換する方法を考えてみた。Acrobat 9 Proではカラー変換するオブジェクトを詳細に指定することができる。つまりCMYK総ベタの線のみを選択して、グレースケールのプロファイルを割り当てることが可能なのだ。
CMYKモードの総ベタのトンボはフィックスアップで変換することが可能だった。しかし、レジストレーションカラーを選択して、グレースケールプロファイルでフィックスアップで変換したところ、なんと、ページ上のオブジェクトが喪失してしまったのだ。菊全に片面16ページのPDFの裏表のPDF(Illustrator CS4までのおいしい新機能活用講座で面付けした一部)に対して適用した。もちろん、InDesignでPDF面付けしたものである。


※[色を置換]フィックスアップを使って、レジストレーションカラーのみを選択、グレースケールに変換する。
↓


※フィックスアップを適用すると、2ページ目のみが白紙になってしまう。「見つからないカラースペース」が表示される。なお、1ページ目のレジストレーショントンボは変換されなかった。
レジストレーションカラーがグレースケールに変換できないのは、わからないではない。レジストレーションカラーは特殊なカラーなので、プロファイルは適用できないかもしれない。しかし、ページ上のデータが失われてしまうは予想外だった。というわけで、フィックスアップでレジストレーションカラーグレースケールに変換するのは注意して頂きたい。
◆DTP-S倶楽部はこちらから
http://www.incunabula.co.jp/dtp-s/club/club.html
◆InDesignでする『PDF面付けの素』
http://www.incunabula.co.jp/mentuke2/mentuke2.html
ラベル:レジストレーショントンボ
【関連する記事】
- Illustrator PDFのグレーを完全グレースケールモードにする方法
- Acrobat 9 Proでできない二重トンボをムリヤリ作成する方法
- Acrobatでする透明グラデーション分割・統合の謎
- Acrobat 9 Proのプリフライトを整理する
- 白オブジェクトオーバープリント、InDesign PDF書き出しの怪
- 印刷用のPDF、そのまま出稿・出力していませんか?
- グレースケールに変換できないPDFのグラデーション
- TouchUpでテキストを削除するとレイアウトが変わる[ピンチを救う Acrob..
- ダウンサンプルされる飾り罫線と印刷できない飾り罫線
- Windows XPの太字をプリフライトで調べる
- かけ合わせの線のみを選択してフィックスアップで置き換える
- Acrobat 9 ProでPDF内のかけ合わせを特色に変換する
- Acrobat 8 Proでする透明テキスト分割の精度とは
- TouchUpでテキストを削除する『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ..
- 白オブジェクトのオーバープリント『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ』..
- フィックスアップでカラーを変換『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ』
- フィックスアップで出力インテント『Acrobat 8 Proサクサク出力のコツ』..
- 透明分割の最適値はなぜベクトル100なのか
- ヘアラインの置き換えはどのようにして使い分ける?:Acrobat 8 Pro印刷..
今回はテンプレートのトンボをK100とし、面付けしなおしてモノクロ自動認識バッチリ大成功でした。
現有オンデマンド機使い始めのころ、どんなデータなら確実にモノクロ扱いになるのか?とメーカーに質問したところ、モノクロのモードで出力を、との答えでしたが、カラーモード、モノクロ自動認識の場合はやはりアクロバットの出力プレビューで確認するのが一番確実なようです。(大きいジョブの場合は、念のため試験刷りでカウンターを確認するようにしています)
ワンポイント程度のカラーならモノクロ料金という設定をしているメーカーもあるようですが(面積の基準は知りませんが)、こういったケースを想定しているのかも、と気がついた次第です。