初期の頃は何度か原稿を書かせて頂いたことがある。そのころは出力系の記事も結構あったので、たまに原稿依頼がやってきた。昔のファイルを調べてみると、1999年のはじめに発行された第18号で最初に原稿依頼をいただいたようである。最後の依頼は第44号だった。
DTPWORLD誌は途中までほとんど持っていたが、引っ越しのときに処分した。もともと内容がDTP系といっても、印刷・出力をテーマにしたものではなく、デザイナー向けの雑誌だったから、もう開くことはないと思ったからである。
DTPWORLD誌はデザイナーといっても、MdN誌のようなハイエンド指向ではなく、どちらかといえば中級者向けにデザインノウハウを提供する雑誌だったと思う。そういう雑誌はすくなく、DTP誌としては新しいマーケットを開拓したといえる。
「DTPWORLD休刊のお知らせ」に
広告依存型のビジネスモデルの転換期に来ております
とあるように、広告費で制作・印刷コストを賄うというやり方が限界に来ているとしたら、雑誌広告の効果が小さくなり、企業が雑誌広告に価値を認めにくくなっているのだろう。広告依存型の雑誌では発行部数が生命線であり、部数が少なくなると一気にビジネスモデルが崩壊してしまうからだ。
むかしに聞いた記憶を辿ると、DTPWORLD誌を発行している株式会社ワークスコーポレーションは、リクルートからのスピンアウト組が立ち上げた会社だったはず。広告費だけで雑誌を発行して利益を上げるというノウハウをDTPWORLD誌も受け継いでいるはずだが、それでも「広告依存型のビジネスモデルの転換期」になっていて抗えなかったのか、発行部数の凋落を食い止めることができなかったのだろう。
DTPWORLD誌は、単にノウハウを提供するだけでなく読者参加型の記事を中心に、ある意味では先進的な取り組みをしていた。それにも関わらず、発行部数が減っているとしたら、紙媒体のデザイナーがやはり減っていると考えるしかない。
紙媒体をテーマにしたDTPWORLD誌が休刊になり、老舗のMdN誌が生き残っているのは、MdN誌が紙媒体に拘泥せず、その時代のトップデザイナーの関心事にテーマを絞っているからだろうか。メディアにも寿命がある。変革の時代はこれからかもしれない。
●DTPWORLD休刊のお知らせ
http://www.wgn.co.jp/dtpw/close.php
●印刷通販運営日誌[はてな]
http://d.hatena.ne.jp/peh01404/
ラベル:DTPWORLD
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