30分で訪問できなければ印刷代はいりません[印刷ビジネス閻魔帳02]



 「プリンターズサークル」の休刊を偲びつつ、これからの印刷会社はどうなるだろうかと考えてみた。大きな成長は見込めないにしても、印刷業がなくなることはない。ただし「なんでもやりまっせ」という印刷会社には厳しい道になりそうである。

 価格については、まだまだ下がると見て良い。原価を下げる方法を模索する動きはまだまだ活発になりそうである。もっとも価格競争は安易に使われると、麻薬のような中毒性を持つ。あとになって、カウンターパンチとなって自らにもダメージを与える。原点に戻って安さを売り物にして再スタートしたダイエーが再生できなかったように、安売りだけでは成長できない。多くの印刷会社は安売り競争から撤退していくことになるに違いない。

 したがって、コスト競争は自らを設備産業と位置づけた印刷会社同士で争われることになる。大半の印刷会社は設備競争には参加せず、印刷物はアウトソーシングすることを選ぶだろう。少しの印刷設備を持つことにはメリットはあるが、社内の印刷設備を優先せずに、コストや納期やメリットにあれば、印刷通販を中心に外注を活用していくしかなくなるだろう。

  印刷通販の価格はオープンだが、誰でも入稿可能なデータを作成できるわけではない。またあまり安すぎると不安を感じる場合もあり、もっと高い価格で売っても販売できないわけではない。むしろ、営業マンがついてサポートすれば、印刷通販に十分なマージンを乗せた価格で納得して売ることはできるはずだ。

 印刷通販を利用したときにネックになるのは、利益率が高くても販売額が小さいことだ。つまり利益額が小さいので、マージンの絶対額も小さくなってしまう。したがって、小口の顧客からはキャッシュで取引するしかない。

 廉価な印刷通販サービスは、あたかも自社のサービスかのように、セールスツールとして使うことが可能だ。印刷物に合わせて、ネット上にある印刷ショップを自由に選択できるし、相場が変動すれば発注先を変更することも簡単だ。

 印刷設備を捨てた印刷会社は、サービスを中心に営業展開で差別化を図るしかないのではないか。マージンが低くなっても、営業効率を上げればよい。印刷物の発注でマン・ツー・マンの訪問が必要なものにターゲットを絞り、受注に専念する。提案ツールはネット上の印刷通販のサービスを使えばよい。それで日銭を稼ぐのである。

 ローカルエリアで絨毯爆撃して訪問するなり、セールスツールを配布するなりして、顧客との距離を狭めていくのだ。取引金額が少なくても最初はキャッシュで取引し、印刷通販では対応できないような印刷物を待てばよい。発注量が少なくても口座があれば、将来顧客の規模が多くなれば発注量も多くなる。そういう印刷物は、印刷会社に間違いなく大きな利益をもたらすだろう。

 印刷の製造業部分の合理化がすすめば、次は来るのは営業部分の合理化ではないか。印刷通販は営業の合理化の進んだ形ではあるが、完全に合理化することが必ずしもすべての顧客のメリットになるわけではない。印刷物の発注で対面サービスを求める顧客はまだまだいるはずだ。

 そう考えると、営業エリアを細分化して素早い対応でサービスを差別化するのは1つの方法だろう。

30分で訪問できなければ印刷代はいりません

というドミノピザのようなUSPを持った印刷会社がそろそろ現れてもいい頃ではないだろうか。

 


タグ:印刷会社

posted by 上高地 仁 at 11:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 印刷ビジネス閻魔帳
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