校正用のDDCP出力ではそれなりに出力されていたのですが、CTPで印刷したときには、RIPの種類が違っていて、CMYKに変換されたときにカラーが変わってしまったのですとんだトラブルを招いてしまいました。もっとも、私のミスですけどね。
そういうときも、出力前にドキュメント内にRGBがあるかどうかを調べていれば、何一つ問題はありません。RGB画像が見つかればCMYKに変換して貼りこみ直せばいいだけだからです。
PDFでのプリフライトは簡単です。Acrobat 8 Pro以降があれば、極めて高性能なプリフライトができるからです。Creative Suite3があれば、Acrobat 8 Proが含まれています。もし、Creative Suite3を持っていれば、是非、Acrobat 8 Proをご活用下さい。
PDFのトラブルはだれに責任があるのでしょうか。
トラブルの責任は次のような三つが考えられます。
ドキュメントの作成者
ドキュメントの出稿者
ドキュメントの出力・印刷者
すべてが同じ場合もありますし、作成者と出稿者が同じことは多いわけですが、すべて異なっていることもあります。
ドキュメントを作成したときに、問題なく作成されていても、PDFに変換するとトラブルを招くこともあります。たとえば、埋め込まれていないフォントなどがそうです。
最初はRGBで作成していて、あとからCMYKに変換すると、墨文字がかけ合わせになってしまうこともあります。たとえば、C75、M68、Y67、K90などに変換されるわけです。こうしたかけ合わせの墨を印刷すると、カラーがにじんだように印刷されてトラブルをなることがあります。
また、Illustratorではオーバープリントもトラブルを招きやすい指定です。ドキュメントの作成者がオーバープリントプレビューをオフにしたままPDFを作成していると、モニタではオーバープリントを反映しないまま表示されます。プリンタからのプリントアウトも通常はオーバープリントを破棄してプリントしますから、オーバープリントは出力結果に反映されません。モニタ表示やプリンタ出力と、印刷結果が異なってしまうわけです。
こうしたトラブルはそれぞれの責任者が調べることで、失敗を減らすことができるのではないでしょうか。「完全原稿」を言い張ってドキュメントの作成者にすべての責任にしてもいいのでしょうか。。
印刷業は基本的にサービス業ですから、「ドキュメントの出稿者」ゃ「ドキュメントの出力・印刷者」であっもて、データのチェックは不可欠だろうと思うのです。EPSファイルでのプリフライトは専用のソフトが必要でした。出力機を持っている印刷会社でなければ、導入できないものが大半でした。RIPに付属していたものも少なくありません。
しかし、PDFではAcrobatがあれば簡単なのです。Acrobat 7.0 Pro以降のプリフライト機能を使えば、ここで上げたようなトラブルは簡単に見つけることが可能になります。Acrobat 8 Pro以降であれば、さらに詳しいプリフライトが可能になり、Acrobat 8 Proで問題のある部分をフィックスアップ機能で修正することもできます。
『AC8サクサクIllustrator印刷用プリフライト』のプリフライト:プロファイルを編集ウィンドウのカスタムチェックパネル。実用的なプロファイルを用意してあります。Illustrator CS/CS2の分割されるEPS画像もリストできます。
PDF出力に関わって十年以上になりますが、Acrobat 8 Pro以降のプリフライト機能の便利さがあまり知られていないことは残念でなりません。なんども言いますが、Creative Suite3をお持ちであれば、Acrobat 8 Proはバンドルされているはずです。是非、そのCreative Suite3に付属しているAcrobat 8 Proを活用して、IllustratorからのPDFを、手軽にプリフライトして欲しいと思い、フリーダウンロードでIllustrator用のプリフライトプロファイルを公開することにしました。
あなたが、「ドキュメントの作成者」「ドキュメントの出稿者」「ドキュメントの出力・印刷者」のいずれの立場であってもかまいません。Acrobat 8 Proでこのプロファイルを使って、出稿前、印刷前にプリフライトして、トラブルを減らして下さい。特にこのブログにアクセスしていただいたあなたにはPDFでのトラブルでしやな思いを味わって欲しくないのです。
◆AC8_IllustratorCMYKプリフライトフリーダウンロードのページはこちら
http://www.incunabula.co.jp/book/acrobat8_saku2/ac8_Illustrator_pre.html
追伸、Acrobat 8 Proで作成していますが、Acrobat 8 ProとAcrobat 9 Proはプリフライトのプロファイル形式が同じですので、Acrobat 9 Proでも読み込んでお使いいただけます。是非とも一度、お試し下さい。
ラベル:プリフライト
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