Camera Rowのバージョンは5.0になり、Photoshop Lightroom 2と同等の機能を持つようになった。部分的な現像編集が可能になる。段階フィルターが用意され、選択エリアに対してグラデーション的な効果を与えることができる。露光量や明るさ、コントラストを簡単に追加可能になった。また、補正ブラシでストロークした部分をマスクすることが可能になった。切り抜きツールでは周辺光量を補正可能だ。


色弱に対応したICCプロファイルも搭載した。Color Universal Design Organization (カラーユニバーサルデザイン機構)のP型とD型のモデルをビューメニューの[校正設定]から選択する可能になった。公共の施設などで色弱の人がどのように見えるのかを、Photoshopでシミュレーションすることが可能だ。プロファイルを埋め込めば、PDF保存してもビューを再現できる。ただし、プロファイルは独立したものではなく、Photoshop CS4内部のプロファイルで取り出すことはできないようだ。

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◆Color Universal Design Organization (カラーユニバーサルデザイン機構)
http://www.cudo.jp/
画像のレタッチでもっとも便利な機能は、
色調補正パネル
だろうか。色調補正をイメージメニューから選ばなくても、色調パネルから色調補正を選択して編集可能になった。非破壊の調整レイヤーを自動的に生成して編集する。Adobeによると、色調補正パネルを使うことで89%クリック数が減ったという。いままでなかったのが不思議かもしれない新機能だ。

Photoshopは、CPUの高速化とメモリ増大によって、画像を直接編集するのではなく、編集データを別に持たせて、その都度適用するようになった。調整レイヤーを使うと、使用メモリは増大するが、元に戻しやすくなる。ヒストリーで戻るより、調整レイヤーを使う方が作業が簡単になるからだ。色調補正機能がパネル化されたのは、非破壊レイヤーがサクサク動作する環境が整ったからだろう。
今回のPhotoshop CS4でもっともよく取り上げられる機能は、編集メニューにある
コンテンツに応じて拡大縮小
の機能ではないか。変形ツールでそのまま変形すると、ピクセルを同じように扱うが、[コンテンツに応じて拡大縮小]ではインテリジェンスにピクセルを間引いていき、画像内のオブジェクトのバランスが歪にならないように変形する。人物などに対してアルファチャンネルが適用されて、ピクセルを保護するようになっているのだ。極端に変倍する場合は目立つかも知れないが、多少の変倍であればより自然に変倍することが可能だ。
それ以外の新機能も見てみよう。Photoshop CS3に追加された[レイヤーを自動整列]は投影法で4つのオプションが用意されていた。CS4ではそのオプションが追加されて
コラージュ
球面法
が加わった。[レイヤーを自動合成]もインテリジェントになり、画像をスタックすると、トーン、ピントを合成して被写体深度を調整するようになっている。まだ、グラフィックプロセッサに描画機能を任せるので、パンとズームがスムーズになった。カンバスのローテーションツールや覆い焼きやスポンジツールも機能が強化されている。アプリケーションフレームというPhotoshopのツールやパネルを一つのウィンドウにまとめる機能も用意されている。

Photoshop CS4 Extendedでは、3D機能が強化された。3Dモデルにダイレクトにペイントしたり、映り込みも反映するようになった。2次元画像をレイヤー合成すると3Dに変換することができる。2次元画像にライティング効果を適用したり、光に着色することも可能だ。
Photoshop CS4にはいくつもの新機能がある。既存の機能でも強化されているオプション設定もあるだろう。印刷関係でもっとも役に立ちそうな機能はなんといっても、[色調補正パネル]ではないだろうか。極めて実用的な機能で、画像のレタッチ時間を大幅に短縮できそうだ。「最高傑作へのショートカット」と呼ぶに相応しい機能だ。ただ、パレット化しただけといえばそうであるが、パレット化することで、もっとも使いやすくなったことは間違いなさそうである。
ラベル:Photoshop CS4
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