EPS画像を埋め込んでPDF保存
DistillerでPDFに変換
の二つである。Distillerで変換する場合は、当然ながらDistillerが必要であり、Illustratorユーザー全てに当てはまる方法ではない。また、Distillerで変換したときにデメリットがないのかとか、Distillerのバージョンの制限はどうなっているのかという詳しい解説もない。Distillerでの変換は、ユーザーの自助努力に任されている。
となると、もっとも確実なのは「EPS画像を埋め込んでPDF保存」ということなる。しかし、Illustratorに貼り込んだEPS画像を埋め込むのはけっこう面倒である。デメリットを列挙すると
画像の圧縮が解除
ドキュメントのハンドリングパフォーマンスが低下
保存時のファイルサイズが肥大化
というようなことを即座に思いついてしまった。EPSでなくても画像を埋め込んでしまうと、画像はIllustrator形式の画像に変換されてしまう。取り扱い要注意である。サイズの小さい画像だと埋め込んだほうがいいケースもあって、一概には言えないが数MBの画像だと、デメリットの方が大きいのではないか。
簡単なサンプルデータを用意して、ファイルサイズを比較してみた。EPS画像をリンクのままにして保存したものと、埋め込んだものとの違いを調べた。Illustrator形式で保存とたときの違いは
リンクのまま 6.8MB
EPSのまま 9.6MB
となった。ドキュメントに貼り込まれた画像は、JPEGエンコーディングされた画像で「1.1MB」のEPS画像である。Illustrator上で埋め込み処理すると、JPEG圧縮された画像が解凍されてしまうのだ。そのため圧縮されていないファイルサイズのままで保存されるのである。つまり、EPS画像を埋め込むと、保存時のファイルサイズが肥大化する。それだけでなく、ドキュメントのスクロールなどのパフォーマンスも低下するのだ。

ただし、画像の圧縮が完全にデコードされるわけではなく、サンプルで使用した画像はJPEG保存時は「1.1MB」のEPS画像だが
Photoshopのファイルサイズ 15.1MB
なので、完全に展開されているわけではない。Illustratorの内部形式で圧縮されてると考えた方がよい。おそらくそのために、埋め込むとスクロールなどのパフォーマンスに影響するのかもしれない。
したがって、EPS画像の埋め込みはPDF書き出し前に行うのがベターだが、その場合は、PDF書き出しするたびに、EPS画像を選択して埋め込まなければならない。極めて効率が良くない。IllustratorでPDF保存する場合、やはり貼り込み画像のファイルフォーマットをPhotoshop形式やTIFFなどに差し替えるしかない。それとも、Distillerをインストールする
EPSを貼り込んで知らないまま。PDF書き出した場合は、いかんともしがたい。Acrobatを使って修正する方法があるが、それについてはまた改めて別の機会に解説したい。