EPS 画像の解像度が 72 dpi 以下の場合、この問題は発生しません。
と書かれているが、これは試した限り正しくない。もっとも「EPS 画像の解像度が 72 dpi 以下」というのが、Photoshopで画像を保存したときの解像度なのか、Illustrator上の実寸法なのかはわからない。「350 ppi」で作成しても、Illustrator上で五倍に拡大すると「72 ppi」以下になる。
普通に考えて、Illustrator上での貼り込みサイズが「72 ppi」以下の場合だとしよう。しかし実際には「72 ppi」以下のEPS画像を貼り込んでも、画像によっては分割されることがある。Illustrator CS2で解像度「72 ppi」の画像を貼り込んで一切変倍せずにPDFに書き出したら、画像は分割化されて水平線が表示された。
分割される画像の法則は、画像の解像度ではないのだ。分割されるかどうかは画像のファイルサイズにある。たとえば、Photoshopのサンプル画像の「花」をIllustratorに貼り込んでみたとき、解像度を変更すると、分割される画像の数に違いが出る。
72 ppi 224.3KB 1枚(分割されず)
144 ppi 897.2KB 1枚(分割されず)
216 ppi 1.97 MB 3枚(分割)
288 ppi 3.50 MB 4枚(分割)
ここでは1MB以下のものは分割されず、1MB以上のものが分割されている。「216 ppi」は3枚だが、最後の一つは小さな画像であって、およそ1MB程度を目安に画像が分割されていることになる。

TouchUpオブジェクトツールで選択すると、「216 ppi」はほぼ2枚に分割され、「288 ppi」は4枚に分割されていることがわかる。それぞれの画像のサイズを調べるにはTouchUpオブジェクトツールでPhotoshopを起動すればよい。PDF保存時にダウンサンプルされていなければ、ほぼ1MB弱の画像として開く。
PDFにしたあと、TouchUpオブジェクトツールで分割画像を選択してみると、Photoshopで開いたときのファイルサイズは1MB弱になっているはずだ。PDFの作成方法によっては、もっと小さくなることもあるが、どうやら画像分割のリミッターはファイルサイズで
1MB
で動作しているようである。EPS画像を読み込んでPDFに埋め込むとき、Illustrator CSとIllustrator CS2では、EPS画像を1MB以下の画像に分割するのである。そして埋め込むと、画像と画像とすき間に白い水平線が現れるのである。
したがって、実寸法の「72 ppi」の画像でも、リミットの1MBを越えると、画像は分割されて白い水平線が現れてしまうのである。通常、Illustrator上に貼り込まれた実寸法が「72 ppi」の画像は、ファイルサイズで1MBを越えることはないので、実際上は「72 ppi」の画像が分割されることはないに違いない。
ラベル:Illustrator,水平線